グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ/感想
各所で話題になっていた書籍で、渋谷の書店などではビジネス書の棚に平積みで置かれていることが多いほど注目度の高い書籍、それが本書グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶです。
個人的にはほぼ日刊イトイ新聞 – “Unusual(変わってる)…”で本書の存在を知ることができ、発売されるのであれば是非手に取ってみようと思ったのがきっかけでした。
グレイトフル・デッドといえば昔からあるヒッピー文化の象徴のようなバンドで、僕らが中学校とか高校の時に親友に借りたテープの中に毎回何曲か入っていたなぁという印象くらいなんですよね。まぁ当然その親友は絞り染めのドクロマークのTシャツをいつも着ていたのを思い出します。今思えばなかなかヒッピーなヤツでしたな。
本書は見た目は百科事典のように分厚いのですけども、中身は思ったほどぎっしり詰まっている訳ではないので、実はあっさりと数時間あれば読み終えることが可能です。
随所随所にライブの画像などがちりばめられているので、それだけでもファンにはたまらないかも。
グレイトフル・デッドは当時活躍していたすべてのほかのロックバンドと正反対のやり方で利益を上げた。それはライブでの録音自由だったり、型破りなファンを認めたり、データベースマーケティングを取り入れたりなど、その内容が具体的に本書には詰め込まれています。
グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ/レバレッジメモ
自分が戦いやすい土俵を作る
ライバルがひしめく競争の激しい土俵から抜け出し、よそとは違うユニークなやり方で顧客にメリットを提供する。
記憶に残る印象的な名前を見つけよう
検索エンジンやソーシャルメディアサイトでリストのトップに現れるような名前が良い。
会社のマーケティング部門を見直そう
自社のマーケティングチームは、他者と似ていないだろうか?以前働いていた会社と同じような構成ではないだろうか?同じようなスキルを持つ「総合職プロジェクトマネジャー」タイプばかりではないだろうか?
社員に自由を与えよう
最先端のマーケティングでも、結局は私たちが子供のころに親から教わったことが通用する。親は子供に、自分らしく、正直であるように説き、間違いを犯したら誤り、みんなの信頼を取り戻すよう教えるものである。
マーケティング部門で実験をしてみる
企業のマーケティングは、音楽と同じようにクリエイティブな仕事だ。失敗を恐れるのではなく、今の5倍上は実験してみるべきだ。これらすべての秘訣は、失敗から学べるということである。
業界の境界線を書き換えよう
どのような業界でもライバルとは違うカテゴリーを確立するような、新しいビジネスのやり方を編み出すことができる。あなたの業界でも同じことができるかもしれない。
変わり者を育てよう
何かに情熱を抱いている人は、それについて熱っぽく語るものである。だから、変わり者が引き寄せられ、ほかの人に情熱的に伝えたくなるような独自の体験を作り上げればよいのだ。
マーケティングのメッセージをコントロールしようとするな
自社について、何を、どのように語るのかまで指図するのではなく、コミュニティに任せてしまおう。
もっとも忠実なファンに絞った企画をしよう
企画は忠実なファンをどう育て、どう優遇するか、よく考えなければならない。
リーチを増やそう
サイトやブログなどを訪問して自社について知ってくれる「リーチ」を増やすためには、グレイトフル・デッドのように業界でアーリーアダプターであるべきだ。
お客さんと直接つながろう
インターネットのおかげで中間業者を取り除けるようになった。確保できる利益が増え、製品の価格と需要曲線をコントロールできるようになり、消費者に対して透明性を向上させることもできるようになる。
得ようと思ったら、まず与えなければならない
無料で価値のあるものは、磁石のように人々をひきつけ、見込み客を劇的に増やしてくれる。あなたの業界でもだ。
あなたのコンテンツを広めやすくしよう
ソーシャルメディアの初心者であろうと黒帯レベルのベテランであろうと、コンテンツを業界に広めやすくする努力は、同じように報われる。
無料版を作成しよう
ソフトウェアや情報ビジネスの場合、またはウェブで供給できる製品がある場合には、無料版を作成し、プレミアム版にアップグレードできるようにしてウェブで提供するべきだ。
自社の製品やアイデアをまねする者と提携してしまおう
営業妨害かもしれな。だが、法的に争うよりも、そうした個人事業主や中小企業と提携するほうがよいかもしれない。そこにチャンスがあるかもしれない。
自分のコミュニティに恩返しをしよう
自分の専門分野で恩返しをしよう。
今、この瞬間を楽しもう
もし現在の「仕事」が嫌いなら、今日からそれを変える努力を始めよう。不平を言うのをやめて、何かを始めるのだ。
グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ/まとめ
もう既にお気づきの方も多いとは思いますが、フリーミアムモデルとか、そのほかの項目に関してはこれまでも様々な書籍内で論じられていることばかりなので、マーケティング関連の仕事に精通されている方などにとってはかなり”当たり前のこと”が多く羅列されているという印象で、ただグレイトフル・デッドというバンドがかなり昔からそれを実践していたよね?といっただけの書籍であるので、新しいものやアイデアなどを得るために読む本ではないという印象を強く受けました。
どうもこの感覚は以前にも感じたことがあるなぁと思ったので著者を調べたところ、ブライアン・ハリガンはインバウンド・マーケティングの著者だったようです。僕はこのインバウンド・マーケティングという書籍はかなり前に読んだけど”書評に値しない書籍”ということで書評を書かなかったんですね。
内容はグレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ同様に”いまさら感”が強い為、おそらくこれからマーケティングを学ぶ人向けなのだろうと思うわけです。
とはいえ、本書はグレイトフル・デッドはどのようにして熱狂的なファンを生み出してきたのかを学ぶには非常に良い本であり、いち音楽ファンとしてであれば楽しく読み進めることができる可能性があります。ただし、前述通りマーケティング視点という意味で読み進めてしまうと全然物足りませんので、そのあたりは気を付けて読まれるのが良いと思われます。残念ながら僕は後者でした。
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