顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング-/感想

顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング-

正直に生きている人が最後は得をする、そんな世の中であってほしいと思います。
正直に経営する企業が最後は得をする、そんな世の中であってほしいと思います。

そんな流れで書き出されている本書は、マーケティング云々というよりも、商売とは何たる物か?という箇所を説いており、非常に共感させられる一冊です。

アドボカシーの哲学は人間関係の根本に焦点を当てたものであり、正々堂々とビジネスを行う企業が大きな収益を得ることになる、マーケティングの本来あるべき姿を見直すものだと、山岡隆志氏は綴ってます。

本書はマーケターのみならず、営業、商品開発、経営者、全てのビジネスに関わる方々に是非とも読んで頂きたいと思えるほどの良書です。本書を読むことで現在の間違っている点、今後の方向性などを見つける事が出来る可能性が大いにあるでしょう。

顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング-/レバレッジメモ

アドボカシーマーケティングとは?
徹底的に顧客側に立って物事を考え実行する信頼ベースのマーケティング手法

アドボカシーマーケティングが求められる背景
マーケティング環境は様変わりし、顧客が力を持つようになりました。つまり、「売手主導型」から「顧客主導型」へビジネス環境が劇的に変化してしまった

発想の逆転
インターネット時代においては、顧客がパワーを持つことを阻止することは無駄な努力となります。顧客はますますパワーを持ち市場を変えていく主導者となっていくでしょう。顧客とパワーのバランスのゲームに挑戦する企業は無謀をいわざるを得ません。発想を逆転して、むしろこの時代の流れに身を任せ、より一層パワーを持ってもらえるように顧客を支援します。顧客は企業を良き理解者と考えるようになり、信頼してくれるようになるでしょう

顧客と一つになる
消費者の立場になって、消費者の生活に潜んでいるポジショニングを独自に想像するのです。そうすれば、消費者から長く支持され、社会的にも存在感がある製品やサービスを作り出すことができる

コンシュマーインサイト
消費者の行動結果などの「表層」を単純に分析するのではなく、消費者のどのような価値判断が生じたのかといった「内面」を深く掘り下げることをさします。消費者一人ひとりの行動様式や判断基準、ライフスタイルを浮き彫りにすることで、より多様化した消費者像を見出し、製品開発や広告宣伝、販売などの戦略につなげていこうというものです

ネスレ日本コンシューマーリレーション部部長 藤崎順平氏
メーカーはどうしても製品単位で考えがちですが、消費者の生活の中でどのようにネスレ製品が生かされているかをつかむことが重要

顧客との関係から「イノベーション」が生まれる
顧客が抱えている難題に対して実直に向き合うことによって、今までに無いイノベーションを起こす発想が生まれ、リスクをとってそれを実現しようとする大きなモチベーションが生まれるのです。この強力な実行するパワーは、徹底的に顧客の気持ちになり、その問題と不便さを理解することから生まれてきます。アドボカシー発想は、顧客を創造する源泉となるイノベーションを創出する大きな原動力となるのです

競合他社を見るのではなく顧客を見る
顧客の信頼を勝ちとり、長期的な関係作りができれば、少ないマーケティングコストで売上を上げる事ができ、利益を生み出す事ができるのです。それに気づかず、ライバル企業の動向に気を取られ、マッチング戦略ばかり行っている企業は、今の時代に生き残る事が難しいでしょう。企業の競争優位性は重要な経営指標ですが、ライバル企業からシェアを奪い合う競争はやめ、顧客ロイヤリティ競争へ軸足を移すべきなのです

デビッド・パッカード
マーケティングはあまりに重要だからマーケティング部署にばかり任せておけない。経ちえ企業が最高のマーケティング部隊を持っていたとしても、他の部署が顧客の利益を満足させられなかったら、マーケティングは失敗する

  • ロイヤリティは間違いなく売上増とコスト減に貢献する

どこにも負けない品質に価値がある
製品やサービスの質はアドボカシーの前提条件です。アドボカシー戦略では、製品が顧客の期待と同等ないしそれ以上の品質を有し、同価格の他社製品と競合できるだけのレベルにあるかが重要です。「絶対基準による品質」よりも、顧客の期待や競合他社の製品との比較による「相対的な品質」が重要であるということです。その為に、他社を薦める必要がない究極の品質を目指します。アドボカシー戦略では、相対的な品質の高さがなければ、他社製品を薦めることになります

相対的な品質の高さで競争優位を築く
相対的な品質の高さを生み出すには、顧客視点で顧客ニーズのジュ尾方を十分に入手し、競合他社の品質レベルを常に把握する事が重要です。そして、それらの情報を短いサイクルで製品開発に生かし、開発された製品について顧客のフィードバックを受ける営業と開発が一体となって、顧客側に軸足を置いた体制が確立されれば、他社がおいつくことは難しくなります

クレームは収益源
クレーム対応はコストではなく、収益源であると認識すべき

ジョージ・S・パットン将軍
「人にやり方を教えるな。なにをすべきかを教えなさい。そうすれば、彼らの創意工夫に驚かされるだろう」
細かい指示までしてしまうと人は考えなくなり、結果も無難なものになってしまいます。人は考える生き物であるので、目的さえ伝えれば創意工夫を行い、期待以上の結果をもたらしてくれる
 

顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング-/まとめ

アドボカシー・マーケティングとはなんぞや?に限らず、ビジネスとは何ぞや?という箇所を適切に解説している良書だと思います。ネスレ、MKタクシー、TOTOなどの具体的な事例も非常に興味深く、ただの概念的なことだけを書き綴ったライトな書籍ではありません。

中身はかなりボリューミーなので必要な部分だけを読むことをお薦めし、非常に素敵な書籍に出会えたことが嬉しくもある、そんな一冊です。

顧客の信頼を勝ちとる18の法則-アドボカシー・マーケティング-
山岡 隆志
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