フェイスブックインパクト つながりが変える企業戦略/感想


著名な方々が書き出した、話題のフェイスブックインパクトを読みました。

どれだけ売れているのかわかりませんが、発売前から予約して、実際に届いたのは既に発売から数日後でした…。

著者は高広伯彦氏、池田紀行氏、熊村剛輔氏、原裕氏、松本泰輔氏、という錚々たる面々です。著者それぞれが異なるスタイルでフェイスブックについて書き出しています。

個人的には池田紀行氏の考え方や書籍ブログが非常に楽しみにしているクチでして、更に高広伯彦氏の書き出した内容が読みたい!ということで読まなければいけない書籍をかき分けて、早速読み進めました。

本書はフェイスブックに対する姿勢や考え方、企業での活用の際の視点、国内外での活用・成功事例だけではなく、フェイスブックが何故流行らなければいけないのか?などを学ぶことができます。こんなことが学べるのは本書だけでございましょう。大変貴重な書籍だと感じます。

フェイスブックインパクト つながりが変える企業戦略/レバレッジメモ

フェイスブックが持つ3つのリアル
その1、リアルグラフ
フェイスブックは、現実社会を反映した人間関係が成形されている場所だからこそ、健全かつ活発なコミュニケーションが発生するのである。

その2、リアルタイム
フェイスブックは、友人のデイリーペースの状況を把握し、比較的ゆっくりした時間軸の中でコミュニケーションをとる従来のSNSを、友人や知人の「いま」を基点にしたコミュニケーションプラットフォームへ変貌させた。

その3、リアルワールド
フェイスブックは自分や友人の「行動と感情」がリアルタイムで共有されるライフログ兼コミュニケーションプラットフォームである。

「検索」はニーズが顕在化されている状態
自分に明確な疑問や問題意識がなければ「検索」はしない。つまり、検索をする時点で、すでに解決したい問題は明確なのである。

ソーシャルグラフ経由の情報によって興味が喚起(顕在化)される
私たちは友人が写真付きで「餃子うまい!」と投稿すれば餃子が食べたくなるし、「この本、気になる」と投稿すればそのリンクをたどってアマゾンで本を購入する。自分でも予期せぬところに、ソーシャルグラフ経由の情報によって興味が喚起(顕在化)され、実社会における消費に結びつくのである。

「能動的」検索から「受動的」行動へ
検索エンジンの利用やウェブサイトをみているとき、私たちはある程度の目的意識がある。目的意識があるから、能動的に検索をしたり、そのサイトを訪れる。しかし、私たちがフェイスブックのニュースフィードを眺めているときに、明確な目的意識が存在しない。

フェイスブックはユーザーとのエンゲージメントを高める
消費者に選ばれる「最愛の商品・サービス」の座を獲得するためには、フェイスブックを活用したエンゲージメントが欠かせない。

マザーテレサ
愛の反対語は憎しみではなく無関心です。

野村克也
好きの反対は無関心。嫌われる方がまだマシ。

河野さん
「最愛を目指せ」:競争が熾烈な現代社会において、消費者に選ばれる商品・サービスは、いちばん安いか、いちばん性能がいいか、いちばん愛されているかのいずれかである。

顧客は囲い込めない
インターネットやソーシャルメディアによって情報がオープンかつフラットに行き届くようになった社会では、「会員登録」「ポイント」「特典」などだけで顧客を一か所に留めることはできない。私たちが考えるべきは、どうやったら顧客が「継続的につながっていたい」と感じてもらえるかを考え、実行していくことだけなのだ。それがコミットメントなのである。

フェイスブックやツイッターがつまらない
これらは「自分のソーシャルグラフ(人間関係)がつまらない」といっているのと等しい。

クチコミサイトとフェイスブックやツイッター
クチコミサイトが、ニーズが顕在化した後に「比較検討」を行う場として使われるのに対し、フェイスブックやツイッターのフロー型のクチコミはニーズを顕在化させる装置になっている。

消費者が選ぶのは…
消費者は、知っているブランドとしたないブランドでは知っているブランドを選ぶ傾向がある。コカ・コーラ、マクドナルド、ペプシ、ローソンなどのように、購買プロセスにおける比較検討段階が短く、純粋想起率、好感度の向上が、そのまま商品購入や来店に直結しやすい商品やサービスにおいては、ソーシャルゲームによって得られるマーケティング効果は高い。

フェイスブックの成長がその新たなマーケティングの可能性を切り開く
これからのマーケティングは、リーチを獲得するマスマーケティングと、トライブと深くエンゲージするトライバルマーケティングのハイブリッドになっていく。

フェイスブック広告の役割
フェイスブック広告は「ファン」をある程度効率よく確保していくためのものとして、広告の存在は大きい。

フェイスブックだけでは何も変わらない
フェイスブックはこれまで用いられてきたコミュニケーション手段ならびにツール等を完全に代替するものではい。言い換えれば、フェイスブックはフェイスブック以外のメディアを含めた包括的なコミュニケーション戦略が前提として、初めてそのポテンシャルを開花させることができるということである。

企業が自ら設計図を描く
企業自身がコミュニケーションの設計図、つまり戦略を描かなくてはいけなくなってきた。企業自ら、顧客やファンとのコミュニケーションの知見を貯えて成果を出すことが求められるようになってきた。

「量」から「質」へ
企業のマーケティングコミュニケーションが「量」から「質」へ転換を迫られている。

CPF(Cost Per Fan= ファン一人あたりのコスト)
CPAではなくてファンというライトなリードに対して広告費をかける。

背景を理解する
マーケティング/広告/メディアというのは単独で存在するものではなく、人々の生活や文化、社会経済的変化と密接に結びついている。それ故に、どんなマーケティング/広告的な「バズワード(流行言葉)」であってもそれが生まれた背景、話題になる背景がある。こうした背景を理解することで、一時のネタとして終わるのか、それとも大きな変化をもたらすものになるのか、見分けるスキルが身についてくるはずだ。

ファインダビリティの重要性
「探される」ため、「ファインダビリティ(見つけられやすさ)」が情報提供者の責務である。

Google AdWords
Google AdWordsはそういう広告のように「華美・派手」でなくとも広告が効くこともあるということを証明した。「目立つ」ということ以上に「ユーザーがある情報が欲しいと思っているとき」にそれに合った広告を「情報として」出せば、たとえテキスト広告であっても効果は抜群に高くなる。その効果についてはご存じのとおり。検索連動型広告であってもコンテンツ連動広告(コンテンツターゲット)であってもグーグルの目指す広告というのは、ユーザーの「意図(intention)」を対象にしたターゲティングの広告だった。

フェイスブック広告はソーシャルアドの最右翼
フェイスブックは、行動ターゲティングに続く新しい広告配信技術「ソーシャルアド」の最右翼にいる。「ソーシャルアド」とは、ユーザーの人間関係(ソーシャルグラフ)、興味関心つながり(インタレストグラフ)などに基づいて広告が配信されるという仕組みだ。

フェイスブックは普及するのか?
こういった議論は広告業界関係者やマーケターがしていてはいけない。そうではなく「フェイスブックを普及させなければいけない」のだ。そして、日本の広告業界/マーケターはフェイスブック上で始まる新しい広告ビジネス、そこで生まれるテクノロジーに注目すべきだと思う。

フェイスブックインパクト つながりが変える企業戦略/まとめ

ここの書評では書いていませんが、本書を読むまでに数冊フェイスブック関連本を読んでいます。しかしながらどれも書評をするに値しないレベルで、正直フェイスブックというものに胡散臭さすら感じていました。

ところが本書はそういった書籍とは全く異なる本質的なアプローチでフェイスブックを語ります。フェイスブックとは一体なんなのか?どんな役割を担っているのか?どういう姿勢で付き合っていけばいいのか…などなど。

フェイスブックだけのことに限らず、広告に関する本質も語られていますので、そういった視点でも非常に面白いです。

ソーシャルメディアマーケター美咲のような面白さがあるような書籍ではないけど、これからフェイスブックに何かしらで関わるような業界の方々には是非とも1度は目を通しておくべき書籍だと思います。

フェイスブックインパクト つながりが変える企業戦略
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