検索連動型広告でブランドキーワードを出稿するデメリット

僕は情報というものは多角的な視点で見るべきものだと考えています。だから何かしらのメリットを提示するのであれば、その後ろ側で見え隠れしているであろうデメリットも合わせて提示することで、その情報がより信頼性を増すのではないかなと思うのです。

そう、丁度先日書いた、何ができるかより、何ができないかと同じ考え方と捉えてもらってもいいかもしれません。

検索連動型広告でブランドキーワードを出稿するメリットという記事は題名通り検索連動型広告においてのブランドネーム出稿の3つのメリットを記載しています。

  1. ブランドキーワードのモチベーションテスト分析が可能
  2. 検索結果の表示回数に対してのクリックシェアの増加を後押し
  3. 検索結果の表示回数に対しての流入数が分かる

個人的には概ね同意するわけですけども、ここに補足するのであれば、「検索結果の表示回数に対してのクリックシェアの増加を後押し」に付け加え、どの程度のクリックシェアを増加させるのか?という部分でしょう。ここで下記のデータが記事の信憑性を増すことができますね。

検索連動型広告のクリックの89%は自然検索では獲得できないものであり、対象サイトが自然検索の1位表示にあるとき、検索連動型広告のクリックのうち純増分といえるのは50%ほどだったという調査結果があります。つまり、検索連動型広告を停止した場合、検索連動型広告で獲得することができていたクリックの半分を自然検索では補えなくなる。

参照記事:Organic search results and their impact on search ads:自然検索結果と検索連動型広告への影響

※訳が誤ってたらごめんなさい。正確には英文の元記事を参照してくださいね。

つまるところ、自然検索で1位表示になっていても、検索連動型広告を出稿することによってより多くのクリックを発生させることができ、サイトに呼び込むことが出来るようになるというデータです。このデータはGoogleが発表しているものですからある程度疑ってかかる必要はあるかもしれませんが、個人的には同感覚とは言わないまでも、Googleと同じくブランドネームを出稿したほうが何かと良いと考えています。

僕のブランドネームに対する考え方は、数年前に以下のように書いています。

仮に競合他社がこちらの会社名、ブランド名で入札しているということであれば、オーガニック検索で1位表示されていようがその上に来ているリスティング広告がある限り、必ずチャンスロスに繋がります。
~中略~
自社名やブランドネームを購入することを無駄なコストと考えるのではなく、より見込み客を自社に誘導する手法と考えれば出稿しない手はない。

参照記事:リスティング広告でブランドネームは買う?買わない?

とまぁ、ここまでは「検索連動型広告でブランドキーワードを出稿するメリット」です。

検索連動型広告でブランドキーワードを出稿するデメリット

本題です。検索連動型広告にてブランドキーワードを出稿する際には以下の様なデメリットが存在すると考えます。

  1. 無駄な費用がかかってしまう可能性
  2. 効果測定が曖昧になりがち
  3. ブランディングにはならない

無駄な費用がかかってしまう可能性

検索連動型広告と自然検索はカニバリしない、というデータはあれど、前述した通り「対象サイトが自然検索の1位表示にあるとき、検索連動型広告のクリックのうち純増分といえるのは50%ほど」と考えると、どうしても無駄な費用、つまり、既にあなたのサービスを知っていてアクションに繋がる可能性があったユーザーを、わざわざお金をかけて誘導しているという事実は否定できません。

そんな時はアクセス解析などを利用して新規率などを1つの指標にするという選択肢もあります。

意識の高いユーザーをより多くサイトに誘導できるのは良いことですが、必ずしもメリットだけではないということは覚えておいたほうが良いでしょう。予算が許す範囲で出稿するのは良いことかもしれませんけどね。

効果測定が曖昧になりがち

はっきりいうと、ブランドネームを出稿した場合と停止した場合とでの流入比較は非常に難しいんですね。仮に6月と7月などでテストしても、時系列での増減なども加味したり、他のメディアなどでの露出なども考えてしまうと、計測すべきパタメータが多すぎて明確な判断を下すことが困難と思います。

更には「ブランドネーム」という魔法が使えると、リスティング広告プレイヤーは非常にありがたいんですね。それはレポートの見栄えが良くなるからに他なりません。ブランドネームは総じて獲得単価が安くなり傾向があるため、それにつられてアカウント全体の獲得単価も安く見えがちです。特にエグゼクティブサマリーなどでは見栄えが良いんですねぇ。

正確に判断するのであれば、ブランドネームとその他のキーワードなどで分割したレポートが必要となるケースもあります。こういった流れもあり、「効果測定が曖昧になりがち」ということですね。

ブランディングにはならない

「ブランディングになります」という提案がよくあるようですけど、じゃぁ計測してみて下さいと即座に切り返しましょう。

参照記事:リスティング広告でブランディングできるという概念はそろそろ少し否定しておいた方がいいかもしれない

まとめ

簡単にまとめると、ブランドネームを検索連動型広告にて出稿することで競合他社に逃がす可能性をいくらか減らすことができるため、出稿するという選択肢は一見最善のようにも見えます。ただし、社内事情(予算、部署での派閥、やりとりなど)なども加味しながら、どのような姿勢でブランドネームを取り扱うのかを明確にした上で判断するのが良いのではないかなと思います。

個人的には散々試行錯誤した結果、ブランドネームでの出稿を推奨していますけれども、それも結局はクライアントサイドの姿勢であったり、体制であったり、競合とのポジションなど、さまざまなものを加味しながら、ある程度柔軟に考えるべき問題点だと捉えるべきです。

決してプレイヤー側のエゴで選択をしてはいけない問題だと思うのです。

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