Amazonを創業する際に、ベゾスが参考にした8つの内容とは?[ワンクリック―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛/感想]


ジェフ・ベゾスが証券会社や投資銀行、普通銀行が持つさまざまなコンピューターをネットワークでつなぎ、株取引をする通信プロトコルを構築するファイテルを辞め、書籍のインターネット販売を行うAmazonを創業したのは書籍に対する使命感や情熱のようなものがあった訳ではなく、ただ単に可能性が大きければどのような事業でも良かったのだと著者は言い放つ。

なんと「物理的な世界では真似できない、オンラインでしかできないことはないか?」この思考を基にフローチャートから本の販売を選び出したのだ。なんとも堅実的ではないか。セルゲイ・ブリンやラリー・ペイジ等のような大義を持たずして、ジェフ・ベゾスはAmazonを創業した。

ベゾスがディールフローに書いたのはこんなことのようだ。

  1. 良く知られた製品であること
  2. 市場が大きいこと
  3. 競争が激しいこと
  4. 仕入れが容易なこと
  5. データベースが作成可能なこと
  6. ディスカウントのチャンスがあること
  7. 送料が優遇されること
  8. オンラインの可能性を生かせること

なるほど。たしかに書籍のオンライン販売は当時は上記に当てはまったのかもしれない。ただし、インターネットがここまで普及した今の世の中では上記に当てはまる業種を見つけ出すことは困難だ。これを1994年に嗅ぎ分けるには想像もつかないリテラシーが必要だったのだろう。

本書はジェフ・ベゾスの生い立ちから幼少期、青年期、Amazon創業からKindleの開発・発売までを書いた書籍で、ジェフ・ベゾスという人間をより知りたい、Amazonという一見謎に満ちた企業(特に日本は)の詳細を知りたいという方に適した書籍でございましょう。

書籍の前半は退屈で仕方がないのだけれど、読み進めるにつれて徐々に面白くなっていくので、ある程度の忍耐が必要かも。ベゾスの名言が多く記載されているので、その箇所を中心的にレバレッジメモ化します。

ワンクリック―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛/レバレッジメモ

ジェフ・ベゾス

  1. インターネットといった技術に人々が圧倒される時代なのだから、オンラインでやることはシンプルにしなければならない。
  2. 業界2位の10倍になるには、実は10%だけ優れていればいい。
  3. 障害は、障害だと思うから障害なのです。そう思わなければチャンスになります。
  4. 僕らは単に教えるのではなく、その応用を求めますから。
  5. 大事なのは、辛抱すべきか諦めるべきか、その判断である。
  6. 発明するためには、頑固だったり柔軟だったり、あるいは頑固であると同時に柔軟であったりしなければなりません。勿論、一番難しいのは、いつ、どちらの側面を使うか、です。
  7. 大きな非効率が行われている時、そこにチャンスがある。
  8. 結果を出すには「ゆっくり、たゆまず」進めるしかなく、しばらくすれば楽になると自分たちをだますことはしません。小さな一歩を細かく繰り返す方が多くを学べますし、そのほうが目的を見失いにくく、最新成果の飛行を早期に見られるようになります。

まとめ

読み物としては前半の読みにくさ、それと3時間程度で読めてしまうので若干物足りなさは残るけれども、カルト的だとも言われるAmazonという企業、そしてその創業者のジェフ・ベゾスを知るには面白い書籍だと思う。

あと、最後に僕自身も最近よく考えることでもあって、大きく共感する内容があったので取り上げてみる。

後悔最小化理論
年を取って人生を振り返った時、どちらの道を選んだ方が後悔しないのかと考える。1994年半ばでウォールストリートの会社を辞め、ボーナスをもらいそこねても、80歳になったとき、それを後悔することは絶対にないと思ったのです。そういうことがあったと覚えてさえいないかもしれません。逆に、このインターネットというもの、燃えるような想いを抱いているものに身を投じなかった場合、あのときやっておけばよかったと心から後悔する可能性があると思いました。トライして失敗しても、それを後悔することがないのもわかっていました。

人生って思っている以上に”決断”の連続だと思うのです。決断をしない日は1日も無いんじゃないかと思うくらいに。半ば無意識的に決断をしてしまっていることが大多数だろうけど、何かしらで立ち止まって考えるようことがあるのであれば、”後悔最小化理論”を適用してみると、どんな悩みでも答えは意外と近くにあったりするんじゃないかな。

本書はそんなベゾスの覚悟も垣間見ることができる一冊です。多読するような方ではなく、たまにしか本を読まないような方にお薦めじゃないかと思います。

ちなみにキャリアポルノは人生の無駄だと思う方は読まないほうがいいでしょうねぇ。僕はすべてが無駄だとは到底思えないけど。

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