Google AdWordsのエンハンストキャンペーンのよくある50の質問

2013年2月7日にGoogle AdWordsはマルチスクリーン化を捉えたGoogle AdWordsの機能強化、エンハンストキャンペーンを正式に発表しました。

エンハンストキャンペーンによる影響はリスティング広告に関わる者であれば無視することは困難で、エンハンストキャンペーンの仕組みを根本から理解する必要があります。

今回の記事は、先日行われたエンハンストキャンペーンの説明会で話されたエンハンストキャンペーンのよくある質問の重要な個所を一部書き起こしをして公開致します。

個人的にエンハンストキャンペーンは小規模クライアントを育てようと考えるGoogle AdWordsのプロダクトではないか?と考えている為(だって代理店や専門家にはプラスになるようなことはほとんどない)、それであればこういった情報はそういった小規模クライアントへ直接届くべきと考えます。

少しでも参考になれば幸いです。

※注意※
「モバイル」とは特に指定が無い限りスマートフォンを指します。

AdWords Editorについて

[Q].AdWords Editorはエンハンストキャンペーンに対応しますか?
[A].はい、2月末に対応予定。最初はエンハンストキャンペーンのアップグレード選択、モバイル優先広告とデバイス/地域の入札単価調整比が追加される予定。

品質スコアについて

[Q].品質スコアの計算方法/表示方法に変更はありますか?
[A].品質スコアは今まで通りデバイス別で計算されますが、管理画面やレポートではデバイス毎に見ることができないため、表示される数値に関しては平均値となります。

[Q].品質スコアは実際にどのような形で表示されますか?
[A].品質スコアは今まで通りキーワード/デバイス別で計算されますが、管理画面上ではデバイス毎で見ることができません。今後、スコアが確認できるツールの追加が検討されています。

キャンペーン設定について

[Q].モバイル(スマートフォン)のみのキャンペーンは作成可能でしょうか?
[A].検索ネットワークへの配信はデジタルダウンロード広告以外はモバイルのみのターゲット設定はできません。ディスプレイネットワークへの配信については、モバイルのみのターゲット設定が可能です。

[Q].PCのみのキャンペーンは作成可能でしょうか?
[A].PC+タブレットのみのキャンペーンは作成可能です。モバイルの入札を-100%に設定することで、モバイルへの広告配信は行われなくなります。尚、タブレットはPCから切り分けることはできません。

[Q].PCとモバイルでの効率のいいキーワードは異なりますが、除外キーワードはデバイスごとに設定できますか?
[A].除外キーワードの設定はキャンペーンレベルであるため、デバイス毎での設定はできません。

[Q].検索ネットワークでかつモバイルのみをターゲットする方法はないのでしょうか?
[A].デジタルダウンロード広告を作成すると、iOS/Androidターゲットになります。こちらであれば、検索ネットワークかつモバイルのみをターゲットすることになります。

[Q].OSをターゲティングすることは可能ですか?
[A].ディスプレイネットワークへの配信の場合可能です。

コンバージョン/トラッキングについて

[Q].クロスデバイストラッキングのローンチはいつごろでしょうか?
[A].ローンチ日程はまだ決まっていませんが、6月末までにローンチ予定です。

[Q].デバイス別にアカウントを分けているため、コンバージョンタグがモバイルとPCで異なります。統合された場合、コンバージョンオプティマイザーはどうなりますか?
[A].どちらかのアカウントのコンバージョンタグを張り替える必要があります。例えばモバイルをPCのアカウントに統合して、モバイルのコンバージョンタグをPCと同じものに変更しなければ、モバイルのコンバージョンは計測されません。コンバージョンオプティマイザーもPCのみの実績が考慮されます。タグを再設定すれば、PC/モバイルのコンバージョン率の実績双方が考慮されます。

[Q].通話コンバージョントラッキングは日本で対応していますか?
[A].通話コンバージョントラッキングは、現状アメリカ、イギリス、ドイツで選考開始予定です。

サイトリンクについて

[Q].(検索)デジタルダウンロード広告(Click to download)でGoogle Play/AppStoreの出し分けは可能ですか?
[A].自動的にデバイスを判断し、適切なデバイスのみ表示されます。

[Q].商品リスト広告(PLA)は対応されますか?
[A].対応されます。

[Q].App Extensionは対応していますか?
[A].デジタルダウンロード広告(Click to download)同様、モバイルサーチのみ対応しています。広告テキストの部分はすべてのデバイスに表示されます。

[Q].Call Extensionは対応していますか?
[A].はい、可能です。

[Q].モバイル用のみのサイトリンクを設定した際、PCにも表示される可能性はありますか?
[A].キャンペーン、広告グループ内のすべてのサイトリンクがモバイル優先広告であれば、PCには表示されません。

ディスプレイネットワークについて

[Q].エンハンストキャンペーンはサーチだけではなく、ディスプレイネットワークも影響ありますか?
[A].Googleディスプレイネットワークはサーチと異なり、モバイルのみの配信設定が可能です。(Android/iOSのOSターゲットも可能)。尚、広告グループ単位とターゲット別(トピック毎/インタレストカテゴリーのインタレスト毎/ユーザーリスト毎)で単価%の調整が可能です。例として、エンタメトピックのみ単価を10%上げ、自動車トピックの単価は15%上げるなどの調整をすることが可能となります。
※ディスプレイネットワーク関連のプロダクトがエンハンストキャンペーンへの対応を開始するスケジュールは2月中旬から下旬を予定しております。

[Q].モバイルディスプレイも対象に含まれますか?
[A].はい、含まれます。

[Q].ディスプレイキャンペーンはモバイルのみに設定できますか?
[A].はい、可能です。

モバイルについて

[Q].従来型携帯電話への広告配信はどうなりますか?
[A].広告フォーマットの1つとして対応されるので、従来型携帯電話専用のキャンペーンは作成可能です。また、入札単価はPCの入札単価が適用されます。

[Q].Flashが多いサイトはモバイルにも表示されますか?
[A].現状の機能同様、Flashが多いサイトはモバイルには表示されません。

[Q].モバイルのWeb App広告は、PCで表示したくありません。対応策などはあるのでしょうか?
[A].現時点では特にご用意がございません。

レポートについて

[Q].同一キャンペーン内で実績の振り返りはデバイス毎にできますか?
[A].はい、可能です。

[Q].エンハンストキャンペーンに移行後、過去の実績は確認することができますか?
[A].移行のパターンによって異なります。新規でキャンペーン作成した場合、過去のデータはご確認いただけなくなります。キャンペーンを統合した場合はそれぞれのキャンペーンで過去履歴をご確認いただくことができます。

[Q].実績はデバイス別に確認できますか?
[A].レポートを分割して実績を見ることができます。

[Q].検索クエリレポートはデバイス毎に見ることができますか?
[A].デバイス毎でご確認いただけます。

入札について

[Q].モバイルでの入札は、キャンペーン単位で入札額を変更できますか?
[A].モバイルのキーワード入札の金額は設定できませんが、PCのキーワード単価は設定でき、モバイルの入札単価調整比が上乗せになります。

[Q].従来型携帯電話の入札はPCと同値ですか?それともモバイルの入札単価調整比が適用されますか?
[A].PCの入札が使われます。

[Q].キャンペーンの統一をしてモバイルとPCの予算の割り振りはできますか?
[A].キャンペーンを統一した場合、PCとモバイルでの予算の割り振りはできませんが、PCの入札金額を設定すると、モバイルはその何倍にするのか(0.5倍、1.2倍、など)を決めるという仕様になっています。その為、予算を割り振るというとりは、入札額を割り振るという仕様になります。

[Q].入札単価調整比-100%というのはオークションに参加しないということでしょうか?
[A].はい、そのようになります。

[Q].デフォルト入札単価を100円とし、モバイル+10%、ロケーション+10%、スケジュール+10%と設定した際の入札金額はどうなりますか?
[A].例では、100円×1.1×1.1×1.1=133円で入札金額が計算されます。

[Q].モバイルのみ時間帯別に入札金額を調整することは可能でしょうか?例えば午前中はモバイルでのアクセスが多く、午後PCが上がってくるという調査結果などに基づき適切にアプローチしたいのですができますか?
[A].いいえ、できません。PCのみであればモバイルをオプトアウトすれば可能です。代替案としては、スケジュール別にキャンペーンを分け、モバイルの入札単価調整比を調整する方法がございます。

広告/リンク先URLについて

[Q].モバイルとPCでサイトのURL(ドメイン)が異なる場合はどうなりますか?同じ広告グループのドメインは1つのみという広告掲載規定があると思いますが、不承認となりますか?
[A].はい、広告グループ内の表示URLは今まで通りのリンクポリシーが適用され、統一する必要があります。ただし、example.jpとwww.ec.example.jpのようにサブドメインが付くのは構いません。

[Q].モバイル最適化広告でもモバイル以外に表示される可能性はありますか?また、モバイル最適化広告よりも優先されて、デフォルトで設定してる広告の方がモバイルに表示されることはありますか?
[A].モバイル最適化広告はモバイルのみに表示されます。ただし、広告グループにモバイル最適化広告しかない場合は、PCに表示されます。デジタルダウンロード広告の場合はモバイルのみに表示されます。モバイル最適化にチェックを付けていない広告が最適化広告より優先されることはありません。

[Q].キーワードレベルのリンク先URLをPC/タブレット/モバイルで分けられますか?
[A].はい、ValueTrack parameter{ifdevice}を使用することで可能です。

[Q].モバイル最適化広告とモバイル優先にチェックをつけていないテキスト広告を入稿して、最適化広告のみ審査落ちした場合、モバイルにはモバイル優先にチェックをつけていないテキスト広告の方が表示されますか?
[A].はい、そうなります。

[Q].モバイル最適化広告は複数作成できますか?
[A].はい、可能です。

[Q].Click to Download広告のみ作成することは可能ですか?
[A].はい、可能です。その場合、モバイルのみに表示されます。タブレットappと判断した場合はタブレットのみに表示されます。

[Q].デバイスごとにスケジュール設定をすることはできますか?たとえばスマートフォンで土曜にアクセスがあった時に出す広告を指定することはできますか?
[A].スマートフォンのみのスケジュール設定はできません。スケジュール設定はキャンペーンレベルで有効となります。

移行について

[Q].2/7のエンハンストキャンペーンローンチ後に新しいキャンペーンを作成した場合は、全てエンハンストキャンペーンになるのですか?
[A].エンハンストキャンペーンを有効かしたアカウント、及びこれから新しく作成するキャンペーンはデフォルトでエンハンストキャンペーンとなりますが、旧キャンペーンに変更することもできます。こちらは6月まで変更可能ですが、6月以降は全てエンハンストキャンペーンに変更される予定です。

[Q].従来型携帯電話(WAP)のキャンペーンは引き続き機能するのでしょうか?
[A].WAP広告は従来型携帯電話(WAP)にしか表示されませんので、エンハンストキャンペーンニ完全移行後も引き続きWAPキャンペーンとしてご利用いただけます。

[Q].移行期間中にテストは新アカウントを作成し既存アカウントと比較することは可能ですか?
[A].可能です。キャンペーンが重複する場合は関連性の高い広告が表示されます。

[Q].既存のキャンペーンをエンハンストキャンペーンに変えたい場合は一括で変更できますか?
[A].3月中旬から末以降に移行ツールのローンチを予定しております。

[Q].移行期間中AdWords Editorで既存設定のキャンペーン作成は可能ですか?それとも新規で作成したキャンペーンは全てエンハンストキャンペーンになりますか?
[A].エンハンストキャンペーン(有効無効)の選択が可能となる予定です。

自動化機能について

[Q].コンバージョンオプティマイザーに影響はありますか?
[A].コンバージョンオプティマイザーでは入札単価調整比が適用されます。

[Q].デバイス毎にCPA目標が異なるのですが、コンバージョンオプティマイザーのCPAはデバイス別に設定できますか?
[A].現状、デバイス別の設定はできません。

[Q].動的検索広告(DSA)に影響はありますか?
[A].いいえ、動的検索広告(DSA)に影響はありません。

[Q].コンバージョンオプティマイザーを利用している場合、デバイスの予算配分が出来ないため、PCのみで予算が消化され、モバイルへ予算が回らず、掲載されづらいという可能性がありますか?
[A].コンバージョンオプティマイザーはデバイス別のコンバージョンデータに基づいて運用されます。そのため、モバイルでのコンバージョンがなく、PCでの実績が良い場合、PCにしか掲載されない可能性はあります。

その他

[Q].動画広告向けGoogle AdWordsに影響はありますか?
[A].現時点ではエンハンストキャンペーンの影響はありません。4月~6月でのアップデートを予定しております。

[Q]:ディスプレイネットワークビュースルーコンバージョンは今までどおり出せますか?
[A]:出せます

まとめ

ソーシャルゲーム業界の方々はさぞかし大変でございましょう。心中お察し致します。ただし、悪態を垂れているほど時間は多くはありません。

今回のGoogle AdWordsのエンハンストキャンペーンへの移行は並々ならぬ覚悟での取り組みと理解すれば、私たちは早い段階でエンハンストキャンペーンの仕組みをより理解し、最適なソリューションをクライアントに届けるべきだと思います。だってこんなのリリースしたら各界から苦情や罵倒が殺到するのは明らかなのを承知のうえでのリリースなのですから。

Google AdWordsは営利企業ですけれども、それでもエンハンストキャンペーンへ舵を切ったのだということは、エンハンストキャンペーンによりGoogle AdWordsだけではなく、ユーザーサイドにも大きなメリットが得られると踏んでの決断なのだと思います。そしてユーザーサイドの利便性を考えてのこの行動だとも私は思うのです。

たしかにこれまでのGoogle AdWordsは町のパン屋さんやカフェのオーナーが利用するには少し難しすぎた。これにより、さまざまなサービスがGoogle AdWordsへ参入することを切に願います。

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