キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる/感想
佐々木 俊尚氏の話題の”キュレーションの時代”を読みました。
リアル書店では品切れが続出しているようで、かなり売れているようですが、実際に読んでみてわかりました。この本は非常に面白い。ストーリー仕立ててで流れに全くの違和感を感じません。
3分の1まで行ってしまえばストーリーに引き込まれ読みとめることなく、最後まで一気に読み進められます。
キュレーション【curation】
無数の情報の海の中から、自分の価値観や世界観に基づいて情報を拾い上げ、そこに新たな意味を与え、そして多くの人と共有すること
キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる/レバレッジメモ
ビオトープとは
「生息空間」、小さな生態系が維持されるための、最小の単位。本書内では小さな情報圏域。
ビオトープに法則は存在するのか?
ビオトープのありかを特定していくのが容易ではない。情報を受け取る消費者にとって、これは危険的な事態です。なぜなら以前と違って、「自分が求めている情報はどこに行けば得ることができるのか」ということが明確ではなくなってしまったから。
再定義されるとき
その来るべき世界では「広告」や「広報」や「報道」や「マーケティング」といった、従来の情報配信の概念の意味と理念は再定義され、情報と人の関係は新たな階段へと踏み込んでいくことになるでしょう。
ビオトープを探し当てる重要性
これからの広告は、ピンポイントでその情報を見てくれる人のビオトープを探し当て、そこに情報を送り込んでいく緻密な戦略を構築しなければならない。
エンゲージメントの必要性
企業か個人か、という問題ではないのです。そこに人間らしさがあるか、自分の言葉で語っているかということが、エンゲージメントを形成してお互いにリスペクトを感じる為に絶対に必要だ。コンテキストが共有されるような場を作ることが大切。
検索連動型広告はビオトープ的な広告
検索連動型広告はマス広告とは違い、キーワードに紐づけられていることから、ビオトープ的な広告配信が可能なモデル。
他者の視座へのチェックイン
キーワードやジャンルや場所のような無機物を視点にする限り、斬新な情報はなかなか入ってこない。でも他社の視座にチェックインして、その人たちの視点で世界を見ていくと、鮮やかな新着情報が次々と流れこんでくる。私たちは広大な情報のノイズの海をわたり、圏域が細分化された湿地帯のビオトープの中へと歩みを進め、そこに生息する人々と共鳴し合い、その小さく豊かな空間の中で生きていくことができるのです。
この「視座」を提供する人が、「キュレーター」で「キュレーター」が行う「視座の提供」がキュレーションです。
キュレーションの価値
一時情報を発信することよりも、その情報が持つ意味、その情報が持つ可能性、その情報が持つ「あなただけにとっての価値」、そういうコンテキストを付与できる存在の方が重要性を増してきているということなのです。情報爆発が進み、膨大な情報が私たちのまわりをアンビエントに取り囲むようになってきている中で、情報そのものと同じくらいに、そこから情報をフィルタリングするキュレーションの価値が高まってきている。
キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる/まとめ
本書が言いたいことを、佐々木 俊尚氏は下記のように本書内でまとめています。
私たちの成果の膨大な情報のノイズの海から、それぞれの小さなビオトープに適した情報は、無数のキュレーターたちによってフィルタリングされていきます。それらの情報にはコンテキストが付与され、そのコンテキストがキュレーターによって人それぞれであるがゆえに、「何が有用な情報なのか」というセマンティックボーダーは揺らいでいきます。その「ゆらぎ」こそが、セレンディビティの源泉となる。
これこそが本書の全てであると思いますし、これだけで何となく理解できる人は全てを読む必要はないかもしれません。
自分自身がtwitterなんかを利用していると実際に小さなビオトープを感じることができるし、自然にフィルタリングしています。それらの実際に感じる部分を佐々木 俊尚氏は素晴らしいほどに本書内でまとめていました。
私の場合、正直な話、本書を読むまでは「”キュレーション”なんて言葉は誰かさんが流行らそうとしているだけの胡散臭い言葉」としか思っていませんでしたが、今では”キュレーション”という言葉に激しく共感するまでになっています。
佐々木 俊尚氏の凄いところはしっかりとした情報収集とその裏付けがしっかりしていて、情報に常に一貫性があり、綺麗にまとめて最後には”共感”に落とし込むところだと感じました。若干学術的な記載も多いですが、この本は”キュレーション”を学ぶ上で欠かせない書籍になることは間違いありません。
そして佐々木 俊尚氏以外には書けない、唯一無二の”キュレーション本”になっていると思います。
今の時代背景を知るには本書が欠かせません。読むべし。
筑摩書房
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