スマートフォンリスティング広告で覚えておきたい5つの注意点

さまざまな個所で報じられている通り、日本国内でのスマートフォンの普及率は2012年第1四半期時点で20%超えを達成し、現時点では24-26%程度などではないかと公表されています。

また、シード・プランニングによればこの勢いはまだまだ継続し、2016年までは70%の普及率にまで引きがると公表しました。しかもその勢いは日本だけに留まらず、世界レベルでも同様の傾向です。


※参照:世界のスマートフォン普及予測

ここまで普及が進むと目が離すことが出来ないのがスマートフォンでの広告展開でしょう。その筆頭格がスマートフォンリスティング広告なのは疑う余地もありません。

その証拠に先日参加したセミナー、「新任ウェブ担当者のためのスマートフォン」は早い段階でお申し込みが締め切られるなどニーズも非常に多いようですし、当ブログへのアクセスで常に上位にランキングされるのが2011年8月に書いたスマートフォンのリスティング広告対策で覚えておきたい5つの事という題名の記事です。

この記事は既に1年前のものですが、当時から比較すると市場規模は全く違えど、本質的な部分は大きく変更されていません。今回はこの記事を少し意識しながら(リライトとはいかないまでも…)、現在のスマートフォンリスティング広告で覚えておきたい5つの注意点を書き出したいと思います。

Google AdWords、Yahoo!リスティング広告で仕様が異なる

Yahoo!リスティング広告がVer.3になり、その後の小刻みなバージョンアップの賜物によりスマートフォンデバイスへの単独でのリスティング広告配信が可能になりました。これは非常にうれしい進化です。

ただし、2012年8月現在でYahoo!リスティング広告ではGoogle AdWordsのように管理画面上で既存のキャンペーンのデバイスを変更することが出来ません。その為、これまでに[PC/スマートフォン/タブレット]にまとめて配信されていたキャンペーンを[スマートフォン]のみへ配信する場合は、新たにキャンペーンを新設する必要があります。更に、[スマートフォン]のみへ配信するキャンペーンを新設するということは、[PC/タブレット]へ配信するキャンペーンも新設する必要も出てきます。つまり、合計で2つのキャンペーンを新設する手間が必要になってきます。

配信形態やユーザーインターフェースの異なる各デバイスでは、それぞれの特性を理解した上で広告配信を行うことが成果の分かれ目になるでしょう。

※勿論、タブレットを分けなければいけない状況であれば、更にキャンペーンがもう一つ必要になります。

上位表示が更に重要度を増す

PCと比較して画面の小さいスマートフォンでは検索エンジンを利用後のファーストビューがほぼリスティング広告で埋め尽くされます。その為、やはり上位表示が圧倒的に有利です。Google AdWordsでは1位~2位までがオーガニック検索の上部に表示されますが、Yahoo!リスティング広告は最大で3枠、つまり1位~3位までがオーガニック検索の上部に表示されることになります。

※Yahoo!リスティング広告ではあまり知られていないが最大で3枠がオーガニック検索の上部に表示。

こうなってしまうとファーストビューでオーガニックな検索結果を見ることが全くできない状況になります。その為、より上位表示が有利であるということになるでしょう。

地域ターゲティングは強力ではない

ヘルプなどを見る限り、表面上ではスマートフォンでの地域ターゲティングはガラケーよりも精度が高いということになりますが、以前にもご紹介したように、地域セグメントが行えるのはIPアドレスが判別できるWiFiに接続している場合のみとなり、3G回線(携帯電話の通信ネットワーク)で接続された場合に核となるデータが含まれない場合には地域セグメントは機能しません。

※参照:スマートフォンリスティング広告の地域セグメントはなぜ正確に配信されないのか?の詳細

つまり、それほど強力に地域セグメントは行えないということです。地域限定でサービス展開されているみなさまにおかれましては、注意しながら施策を進める必要があります。

Call as Conversionsの計測はiPhoneでは行えない

電話でのコンバージョンが比較的多い業種では、広告の投資対効果の計測には手を焼くものです。そんな時に便利な機能がGoogle AdWordsのスマートフォンからの電話コンバージョンを計測するCall as Conversionsという機能です。ただし、Call as ConversionsはiPhoneでは計測ができません。Call as Conversionsの詳細は以下より確認できます。

参照:スマートフォンの電話コンバージョンを計測する方法

ここで計測されるコンバージョンはiPhone以外からの数字であるため、ある程度割り切ってみるのが良いでしょう。

リマーケティングはiPhoneでは機能しない

doubleclick.netがSafariに対してset-cookieを発行しなくなったため(公式発表ではない。あくまでも検証ベース)、リマーケティングはiPhoneでは機能しません。つまり、iPhoneだけでということではなく、PCやiPadなど端末に限らずSafariを利用するユーザーへはリマーケティングは発動しません。

これらを非常に詳しく検証している記事は以下です。

参照:リマーケティング広告がiPhone、iPadに表示されない2つの理由(2/2)

尚、Safariを利用するユーザーへはリマーケティングだけではなく、インタレストカテゴリーも発動しません。

スマートフォンリスティング広告で覚えておきたい5つの注意点/まとめ

従来型携帯電話(ガラケー)からスマートフォンへのシフトの急増により、ユーザーのストレスは減少し、より豊かな体験をすることができるようになりました。この流れは留まるどころかしばらくの間は加速の一途を辿るでしょう。

今回取り上げた内容以外にもさまざまな点でスマートフォン独特のユーザー行動が確認できていますし、デバイスごとの施策がより重要度を増している印象があります。今、私たちプレイヤーにはより柔軟な姿勢と発想で施策に臨むことが求められているのかもしれません。

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