よくありがちなインプレッション数の話


リスティング広告におけるインプレッション数(表示回数)というのは実に曖昧に語られることが多いのではないだろうか。もう昔のこと過ぎて覚えてすらいないのだけれども、かくいう筆者も本質的に理解するまでにそれ相応の時間を経過したのかもしれない。

なぜ今更インプレッション数の話になったのかというと、最近こんな話を聞いてしまったからだ。

8月は夏休みということもあってか、インプレッション数が減少傾向にありました。ニーズ自体が低下していたと仮説立てすることができます。その結果、コンバージョン率が低下し、CPA(顧客獲得単価)が高騰してしまいました。

一見、なるほどなと、わかりやすい説明だと思ってしまう、もっともな言い訳のように聞こえてしまうけれど、ちょっと待って欲しい。そもそも、この担当者はどのような定義で”インプレッション数”という言葉を利用しているのだろうか?

改めてリスティング広告におけるインプレッション数を定義する

と、その前に、リスティング広告というひとくくりではこの定義すら難しい。それはリスティング広告には検索連動型広告とコンテンツ連動型広告という異なる性質のものを混同しているためだ。ここではそれぞれに定義する必要がある。

検索連動型広告におけるインプレッション数とは?

検索エンジン、または検索パートナーにて検索行為、または検索行為に準ずる行為を行った場合に特定のキーワードをトリガーとして広告が表示された回数。尚、キーワードには完全一致、部分一致、フレーズ一致、絞り込み部分一致などのキーワードマッチが存在し、それぞれに拡張性が異なる為、注意が必要。

コンテンツ連動型広告におけるインプレッション数とは?

特定のキーワードやカテゴリー、さまざまな配信方法の選択により選出された配信形態に準じて、提携パートナー(メディアや個人ブログなど)などの広告配信網で広告が表示された回数。

こんな形ではどうだろうか?若干の突っ込みどころは残しつつ、少し固いかもしれないけれどこのあたりで止めておくとしっくり来るかもしれない。

これを元にはじめの発言を見返すと、かなり曖昧で突っ込みどころが満載などが解ってくるだろう。

特に「インプレッション数が減少傾向に…」という部分においては突っ込みどころ満載だ。そもそも、インプレッション数は検索連動型広告のものなのか、コンテンツ連動型広告のものなのか?また、検索連動型広告ではどのようなキーワードのインプレッション数が減少傾向にあったのか。また、そのキーワードのキーワードマッチは何か?完全一致以外であればどのようなキーワードで誇張しているのか、またスマートフォンやタブレットなどのデバイスでの内訳はどうか、など、まだまだ書ききれないほどの突っ込みどころがあるだろう。

まとめ

つまり、何が言いたかったのかというと、リスティング広告におけるインプレッション数とは相対的なものなのだ。「インプレッション数が減少傾向に…」とたった一つの言葉を使うにしても、さまざまな要因が絡みあう為、安易に使うべきではないということ。また、場合によってはそれによるトラブルや思わぬハプニングに遭遇してしまう可能性だってあるのだ。

これらをしっかりとした言葉で相手に伝えるには、表面的なデータの上下に惑わされるのではなく、インプレッション数の定義や仕組み、それらの内訳や要因を根本から理解・把握する必要があるということだ。

勿論、相手のリテラシーに合わせて簡略的に伝えなければいけない場合などもあるだろう。そんな時には相手を惑わせることない範囲で的確に簡略化を行わなければいけないのを忘れてはいけない。

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