今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則――『ジャイアントキリング』の流儀/感想


本書は今いるメンバーを”チーム”へと変貌させ、大きな成果を上げるにはどうすればよいのか?について、モーニングで連載中の大人気漫画、ジャイアントキリングを題材として書き起こしされた珍しい形のビジネス書です。著者は楽天大学学長が教える「ビジネス頭」の磨き方でもおなじみの仲山 進也氏で、相変わらず読みやすい文章と的確な解説・比喩で読ませるものを飽きさせません。

僕は個人事業主から法人に切り替わる時、また、法人格が次のフェーズへ本格的に動き出すとき、複数名(今は”チーム”だけれど、当時は”グループ”だったかもしれない)での活動を余儀なくされた経験があります。一匹狼のような形で動いていた人間からすればそれは中々難しい経験でもあり、それはもう人生のうちでも1、2を争うほどに良い経験だったといっても過言ではないほどに。だからこそ、本書は本当におもしろかったので一部だけをピックアップしてご紹介します。

では、”チーム”と呼ばれるものの定義はなんでしょうか?本書ではそれぞれに自分の持ち場を守り、他人の仕事には口をはさまない状態を”グループ”と定義しています。それに対し”チーム”は、互いに自己主張し、納得のいく形を探ります。初めは意見などの対立により非効率に陥りますが、やがてその”グループ”は”チーム”へと変わり、それまででは考えられなかったような「期待値を超える」成果を発揮できるようになるといいます。

それを以下のようにジャイアントキリング内のシチュエーションを出しながら解説していくスタイルです。

DFは相手の攻撃防ぐのが仕事…。FWはゴール狙うのが仕事。それは最低限の役割…役割をおろそかにしてたらゲームは成り立たない。でも、組織として差が出るのは、個々がどれだけ役割以上のことが出来るかだよ。 by 達海猛

ジャイアントキリングの主人公である達海猛(タッツミィー)が、ピッチ上の11人だけでなく、フロントも含めたクラブ全体として「チーム」になることを意識している瞬間です。

つまり、チームでは個々の役割だけではなく、それ以上の力、すなわち個々人での力の相乗効果が求められます。ビジョンや目的を共有することでしかこれらは不可能なんですよね。


ビジネスをバトンタッチリレーで例えるならば、第二走者が受け取りやすいようにバトンを渡すのが第一走者の仕事で、同時に、第一走者が渡しやすいようにバトンを受けるのが第二走者の仕事になるわけですが、「自分の仕事はここまで」と割り切ってしまうようなメンバーがいればよいタイムが生まれるはずがありません。「自分の仕事の範囲はどこまでか?」そんなことを考えているようなメンバーがいれば、それはチームではなく、グループにすぎないんですよね。


上図はグループはさまざまな工程を経て、チームへ突如変貌を遂げ、成果をあげていくという「ジャイアントキリング(大番狂わせ、大金星)が起こるメカニズム」です。こういったものも本当に面白いです。チームへの変貌という意味では皆、クラスや部活、サークルなどで1度は経験したことがあるかもしれないので、なんとなくイメージは掴めるはず。

このほかにも多くのチーム活性アプローチについて書かれており、複数名で仕事に取り組まれている方々には大いに参考になる書籍だと思いますし、1名でもクラウドなどを利用してパートナーなどと協力しながらお仕事をされている方によっては良書になり得ます。

また、普段ビジネス書なんかが苦手、という人も、本書であればかなりいいかも。マンガも含めながらなので抵抗なく読めると思う。そして内容が素晴らしいってんだから文句のつけようがないもの。

そして、本書を読み終わるのを待たずして、ジャイアントキリングを全巻買ってしまうのも致し方なし、といったところでしょうか。

マンガ本なんてほとんど購入するようなことはないんですけど、久しぶりに大人買い。現在27卷まで出ていて未だにJリーグの1シーズンが終わっておらず、全く最後を迎えるような気配が無いのがちょっとあれだけど、原作もお薦めです。

GIANT KILLING(1) (モーニングKC)
ツジトモ
講談社

何故、今チームなのか?

「何故、チームで行動するのか?」と聞かれることがあります。僕は先にも書いたように、チームから個人事業主になり、再度チームという選択肢を選びました。それは一人で出来ることには限界があることが如実に痛感してきたし、達成したいビジョンがあるからです。勿論、目標やビジョンの度合いや大きさにもよるんだけれど、これからもきっとチームという選択肢を選ぶんだろうなぁと思うのです。

リスティング広告というカテゴリーの中でのチームという活動に興味がある方は以下よりどうぞ。
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