リスティング広告における「時期的な要因」がもたらす弊害

筆者の経験上、リスティング広告担当者の悩みの95%以上が獲得単価(CPA)の高騰だ。その他にもいくつかあるにはあるが、そのいずれかもほとんどのケースにおいて獲得単価の高騰がトリガーになっているケースが多い。

では、獲得単価が高騰してしまった場合、どういったことが要因となっているのか考えてみよう。

  • 部分一致の過剰な誇張
  • ディスプレイネットワークの急激な露出
  • 競合の出稿強化

※競合の出稿強化はオークション分析レポートで分析可能だ。

などなど、上げれば切りがないほどに多種多様なのは容易に想像出来るだろうと思う。そんな中で、驚くほどにどこへいっても出てくるのではないかと思えるのが時期的な要因という良く聞くフレーズだ。

この「時期的な要因」というフレーズは一見限りなくもっともな意見に見えるし、提案される側も納得してしまいがちなフレーズなのだけれども、その問題は本当に素数になるまで分解したのか?を今一度考えて見るべきだと僕は思う。経験上、この「時期的な要因」というフレーズが早期に出た場合には完全なる思考停止であるケースが非常に多いので要注意であり、その問題を改めて別の角度から見直すべきだと筆者は思うのです。

運命というならまだしも、宿命という言葉は実に嫌な言葉だね。二重の意味で人間を侮辱している。1つには状況を分析する思考を停止させ、もう1つには人間の自由意志を価値の低いものとみなしてしまう。宿命の対決なんてないんだよユリアン。どんな状況の中にあっても結局は当人が選択したものだ。宿命なんていう便利な言葉があると、つい自分の選択をそのせいにして正当化したくなる。私は別にいつも自分が正しいなんて思っちゃいない。が、同じ間違えるにしても自分の責任で間違えたいのさ。

このフレーズは銀河英雄伝説の一コマで半主人公であるヤン・ウェンリーが養子であるユリアン・ミンツに向けた言葉だ。上記では「宿命」というフレーズを便利な言葉で思考停止させる言葉だと言っているけれど、僕はこのフレーズを「時期的な要因」に置き換えることが出来ると思った。

「時期的な要因」は便利な言葉なんです。これを言えばその場が丸く収まる可能性が高いことだって僕は知っています。それでも、敢えて言わせてもらえばこの魔法のフレーズは最後の最後に持ち出すべきだと思う。大きな問題にぶつかったらその問題に対して「何故?」を繰り返し、割り切れなくなるまで分解する。そしてその問題が割り切れなくなった時に初めて「時期的な要因」という選択肢が出せるんじゃないかな。リスティング広告に関わる者は、考え続けるのを止めてはいけないんですよね。

参照URL:リスティング広告は因数分解で考える

勿論、これはリスティング広告だけに限らない話で、どのような問題解決に言えることなのだけれども。

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