AISAS理論は代理店の罠!?からの考察と、リスティング広告プレイヤーは知っておかなければいけない考え方

先日、あがった「「AIDMA」、「AISAS」…Aから始まるモデルは代理店の罠?」という記事が一定層の間で話題になりました。偉大な先人の記事に対して僕がいうのも大変烏滸がましいですが、非常に示唆に飛んでいて素晴らしい問題定義だと思います。それと同時に、この問題は一言では語りつくすことは出来ない内容だなと感じたんですよね。もっともっと議論しなければならない問題であるとも思います。

参考:「AIDMA」、「AISAS」…Aから始まるモデルは代理店の罠?

なぜなら僕は、全国各所で行ってきたセミナーを初め、書籍の中でもリスティング広告の構造や成果をわかりやすく伝えるために、AISAS理論を多用しているからですね。AISAS理論を使うとリスティング広告初心者にでも、リスティング広告上級者にも非常にわかりやすくリスティング広告の役割や成果を説明することができます。

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なぜ、リスティング広告の効果が高いのか?という問いには「リスティング広告の代表的な機能の1つである検索連動型広告(Search)という行動自体が購買(Action)の直前にあるから」という一言でほとんどのケースにおいて腹落ちさせることが出来ます。

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まだ読めていない方は是非。

ただし、ここで履き違えてはいけないのは、AISAS理論はあくまで一般的な消費者の行動モデルを簡易化して説明する為に便利な理論であり、すべての消費者がAISAS通りに動いていると考えてしまうと、本質からは脱線するという部分です。さまざまなメディアがあり、更にはさまざまな手法で情報収集が可能になった今の時代、すべての消費者が同じように行動するなどありえません。

例えば、検索行動(Search)から注意が喚起され、検索行動(Search)から興味に変わり、実際に検索行動(Search)によって行動に移す、なんてことだってあるはずです。ダイエットをするユーザーで例えれば、「健康+方法」などといったインフォメーショナルクエリから、「教えてgoo」などのナビゲーショナルクエリへ変動し、「ダイエットサプリ」などといった実際の行動につながるトランザクショナルクエリに検索語句自体が変容していくことも十分に考えられますよね。

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これを仮に理論化するのであれば、SSSAS理論となるはずです。実際にこんな理論は存在していませんが、SSSASのような行動をActionの直前のSearchだけで捉えるのがこれまでのリスティング広告だとするのであれば、その前の行動で捉えることが出来るかどうか?といった取り組みは、これからのリスティング広告とも言えるでしょう。つまり、リスティング広告プレイヤーのバリエーションの一つだと言っても過言ではありません。

リスティング広告は全体のポートフォリオで考える

マーケティング施策の本質とは、購買ファネルのどこにどれだけ投資するかを決めて実行することに尽きるのではないかと考えている。

先出しの記事でも横山さんが言及されていますが、「購買ファネルのどこにどれだけ投資するか」といった考え方は必須です。僕はこれを「ポートフォリオ」と表現しますが、言いたいことは同じで、広告に限らず、マーケティングは限られた予算をどこに投下すれば効果を最大化できるのか?この一言に尽きます。だからこそ、その探求をやめてはいけない。

まとめると、すべての消費者の行動を安易に受け止め、AISAS理論の「A」にひたすら投資し続けるのは詳細な分析による根拠がなければ愚行です。多少しんどくても「どこに投下すれば効果を最大化できるのか?」を常に追い求めることがこれからのリスティング広告プレイヤーに限らず、マーケターの責務と言えるでしょう。

尚、余談ですが、これから本気でリスティング広告を学ぼうという人に僕が声をかけることがあるとすれば、リスティング広告に依存するな、とお伝えしたいのです。

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金槌をうまく使える人は、すべてのものを釘と見てしまう。by Abraham Harold Maslow

これはマズローの有名な言葉です。「リスティング広告に依存するな」というのはこれと同じで、一見矛盾しているように感じる方もいるかもしれませんが、リスティング広告について詳しくなった人間は全ての物事をリスティング広告で解決しようとしてしまいます。

よく使う例え話ですが、大分県、国東市でカフェを営んでいる知人がいる場合、果たしてリスティング広告で集客を手伝うことが出来るでしょうか?答えはNOで、この場合は最寄り駅でのビラ配りやポスティングの方が適切と言えるでしょう。勿論、地方ですからメディア戦略も有効に働くケースが考えられます。

つまり、本当の意味での成果を上げるには、どのようなビジネスであってもリスティング広告だけの理解では不十分で、ビジネス構造を徹底的に理解し、購買ファネルのどこに投資すれば成果を最大化することが出来るのか?を見極める必要があるということです。これにより、本当の意味での成果を上げることができるようになるのですから。

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