使ってもらえる広告/感想
博報堂、クリエイティブディレクターの須田 和博氏の手掛けた「使ってもらえる広告」を読みました。
個人的にアスキー新書シリーズが好きなのと、題名がずっと気になっていたのと、さまざまなブログなどで書き出されていたので、いつか読まなければいけないものとしてストックしておりました。
内容は題名どおりに「使ってもらえる広告」とは何か?という問いに、須田 和博氏の経験やこれからを含め、彼なりに解説しており、その彼なり感がこれまた面白い!
今までのアスキー新書シリーズとは良い意味で少し違った内容で書かれているので、かなり楽しめますよ。
こういったスラスラ読める新書シリーズは、小難しい書籍の間と間に読むと頭が整理されるので非常にいいですねー。
使ってもらえる広告/レバレッジメモ
今の広告の世界
生活者への向き合い方が不十分なせいで、コミュニケーションが成立しにくくなっているところが少なからずある
届かなくなった理由
みんな忙しいから
使ってもらえる広告とは
ようするに人々が商品を買ってくれやすくなるような、便利なサービスや仕組みのことだ
ユーザーと企業の間に立つということ
メッセージの送り手は、とにかく何をすればユーザーに一番喜んでもらえるのかを、いままで以上に丁寧に考えていく必要がある
広告の新しい可能性
役に立って愛される、共感される、毎日接触してもらえる、そういうアプローチこそアリだろう
どう伝えるか、ということ
素晴らしいCMはごく少数に過ぎない。多くのCMは企画の段階でユーザーに商品のことを「どう伝えるか」を考える前に、条件反射的に「どう表現するか」を考えてしまっているのではないか。別の言い方をすれば、本来「手段」であるはずのクリエイティブが、「目的」になってしまっているような気がするのである。それも、企画している本人も気づかないうちに
いい広告とは
接する人の数にかかわらず、(もちろん多いほうがいいのだが)、「ユーザーが動かない広告は、ダメな広告なのだ」と、この際、みんなで言い切ったほうがいいんじゃないだろうか。だって広告なんだから!
ウェブがやってしまったこと
「広告宣伝費の半分は無駄である。ただし、どの半分かがわからない」という揶揄される言葉があるが、その分からなかった半分を分かるようにしてしまった
ウェブにおいて求められる価値
どんなによくできたコンテンツであっても、ウェブの世界では「鑑賞して終わり」じゃ意味が無い。何がしかの体験なり、サービスを提供できて、初めて進化を発揮する。それがウェブにおいて求められる価値というものだ
須田 和博氏
ウェブで広告やるっちゅーときに、何が一番ウェブにあうのかなって考えると、やっぱり人に使ってもらえる何かなんじゃないの?電車の乗り換え案内のようなものを広告がやりゃーいいんじゃねーの?
みんなメンドクサイからウェブ使うんじゃん。なのに、ウェブの中にまたメンドクサイコンテンツがあってどうすんだ
使ってもらえるということ
「使ってもらえる」は、広告にかぎらずデジタル化の進んだ現代社会のさまざまなシーンで「使える」と思う。今の時代のコミュニケーション作法を考える上での最重要キーワードなのだ
CGMの仲間に入れてもらう
CGMにアプローチするときに一番マズイのは「CGMを使ってやろう」といったエラそうな考え方だ。あくまでも、「CGMの仲間に入れてもらう」という謙虚さが絶対に必要だ
人間が変わらない限り、広告の基本原理は変わらない
いくらテクノロジーが進化し、その手法やスタイルが変わろうとも、広告に求められる物は、本質の部分では、これまでとまったく変わらない。だって人間の欲しい物全ては、昔から存在していたわけだから。ただし、メディアだけは確実に進化していくのである
広告制作の5大ハードル
- 新しいか?
- 見たこと無いか?
- わかるか?
- 企業や商品のシズルがあるか?
- 荷(商品)が動くか?
大事なこと
中島祥文氏
「広告クリエイターは、商品の一ユーザーとしての視点を忘れてはならない」
須田 和博氏
「ユーザーを見ろ、クリエイティブを見るな」
使ってもらえる広告/まとめ
こうやってレバレッジメモを見ていくと、SEM業界にも共通する部分が多く、読み進めるうちに「そうなんだよ、その視点なんだよ」みたいな箇所がいくつもあり、なんだか久々にホッコリとしました。読んでよかった。
別ジャンルとはいえ、同じ”広告”を扱っているという部分では彼らの業界の方が歴史が深く、考え方だったり、物事の捉え方というのは非常に参考になります。そして、やはり最後の中島祥文氏の言葉である、「広告クリエイターは、商品の一ユーザーとしての視点を忘れてはならない」、これは私自身が一番大切にしている部分でもあります。
すべての”広告”というものに携わる方に読んでいただきたい良書です。是非。
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第六章を読むべし
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