アトリビューション分科会という取り組み


今、Google アナリティクスのマルチチャネルの導入でますます活気を帯びているアトリビューションから目が離せない。

そんな中、アクセス解析イニシアチブではアトリビューション分科会を既に3回も開催し、僕自身、全ての会に参加している。

それには訳がある。僕自身、アトリビューションに取り組んだのは昨年の夏前からだったと記憶しているが、さまざまな取り組みの中から多くの要因の足りなさにより、何度も失敗し、成果が出たと思ったら今度は全く違う要因が関連していたなど、かなりの頻度で行き詰った経緯があるからだ。

※実際のリスティング広告を主体としたアトリビューションおける取り組みはウェブアナリスト養成講座 第9回 リスティングとアクセス解析でもその一部を公開した。

他の方々はどういった手法で実際にアトリビューションに取り組んでいるのかということには大いに興味があり、どんな予定が入ったとしても最優先で参加するようにしている。

ぼくのブログは毎日更新ではなくなっているのでなかなかアップすることができなかったけど、今日はその一部をぼくの覚書と共にご紹介したいと思う。

アトリビューション分科会、第1回

講師はクロスリスティングの治田さん。

いつもとってもファニーなポストで僕らを楽しませてくれている検索エンジンマーケティング考の中の人で、リス男会の江田島平八的存在で塾長でもあらせられるわけですな。はい。

治田さんはいわゆる媒体側なわけで、検索エンジンの中の人でもあるわけだから、正直、この人の話は面白いだろうなぁとは思っていたけど、その遥か彼方へぶっ飛んでしまっている状態だった。

僕らの知りえないデータなども含めた態度変容を含んだアトリビューションに実際に取り組んで既に成果を上げていたんだ。

このあたりの詳細は書くなと言われたので書けないんだけど、治田さんがしきりに伝えていたのはこれだと思う。

消費者は常に態度を変容している。この態度変容をどのようにビジュアライズするかが、アトリビューションの肝になる。

ええ、そう思います。そう思いますけど、ここを明確にビジュアライズできるのは媒体側だけ…、というのはさておき、素晴らしい考え方と取り組みだった。

# ちなみに態度変容ってなに?という方は@noogleさんのネット広告を”態度変容課金”にしたいのです : Defining the Future を見て頂ければ万事解決。

その際の資料がこれ。※一部削除されてます。

もうこの資料だけでアトリビューションのこれからの展望が全て丸見えになっている感は否めないけど…。もうオナカイパイ。

ただアトリビューションにはまだ、いやこれからもきっと正解がない。商材や提供しているサービスによって正解が全く異なるからだ。「仮にこうやったらうまく行くんじゃないか?」というような仮説が立てられているのであれば、資料内でもムスカ大佐が言っているように、「このまま進め!光は常に雲の渦の中心を指している!」といった具合で、ぼくも正解だと思う。

取組む前からいろいろ考えすぎてバルス状態にだけはならない方がいいだろう。

アトリビューション分科会、第2回

講師はソネットエンタテインメント株式会社の小栗さん。

物腰が柔らかく、ゆったりと話される印象の小栗さんにはなんだか癒されたし、取り組み自体にも非常に興味深いものがあった。

アトリビューションには取り組む人間にとってやっかいな問題点がある。そう、ビュースルーコンバージョンの取扱いだ。

ただ、小栗さんはきっぱりと言い切ったよ。

ビュースルーコンバージョンは参考値に入れません。ビュースルーコンバージョンって結局のところ”見たのか、見ないのか”といった議論になると答えがなくなるので、ビュースルーコンバージョンは参考値に入れません。勿論、取れないというのもあるけども。(たぶんこんな感じの表現だったかと…)

ぼくが取扱いに困っていたものこそ、ビュースルーコンバージョンだったからここまで言い切ってくれると肩の荷が下りた担当者も多かったのではないだろうか。

正確にアトリビューションを行うにはビュースルーコンバージョンが必要だとは思うけど、2011年時点でそもそもビュースルーコンバージョンが取得できる媒体なんて限られているし、すべてのもので取得できるわけではないものね。更にはそれを繋ぎ合わせることも難しい。ここを割り切って取り組んでいる小栗さんは素晴らしいと思う。

アトリビューション分科会、第3回

講師はattribution.jpを運営されているアタラ合同会社の有薗さん。

有薗さんのお話は事例を交えたお話で非常に興味深いものがあった。内容に関してはアタラのアトリビューションコンサルティングをご参考に頂ければ、ほぼ網羅できると思う。

特徴的なのはA-スコア=「アトリビューション・スコア」やA-CPA=「アトリビューションCPA」などといった、アトリビューションには必要不可欠ないわゆる”重みづけ”として明確に表している点だ。上記の記事で紹介されている以上に実際には細かい定義があり(例えばビュースルーから無料でコンバージョンした場合は、ビュースルーに1スコアを与える、等)、そういった重みづけの視点は非常に参考になったのはいうまでもない。

そして一つの道しるべも与えてくれた。

決して単純なモデルが悪いわけではないし、複雑なモデルが良いわけでもない

こんな風に付け加えたことは、ぼくらに安堵感を与えてくれた。

どんなことでも(リスティング広告でも!)そうだけど、複雑なモデルが正解とはかぎらない、これはアトリビューションにも言えることだった。

アトリビューション分科会という取り組み/まとめ

上記でも上げた通り、これまで全部で3回のアトリビューション分科会が開催されていて、取り組み方はそれぞれで若干異なるものの、やはり皆同じゴールを目指しているのだと感じた。手段は違えど、やはりゴールは一緒。それはコンバージョンの最大化(売上最大化)に他ならない。

そんな中で皆に共通する意識があると感じた。それが数ではなく人にフォーカスするという点だ。この流れはアクセス解析もリスティング広告も同様で、おびただしい数を徹底的に分析するのもいいけれど、やっぱり人にフォーカスすることで道が切り開かれるよね、といった認識で間違いない。

今後、アトリビューションの導入、発展によってマーケティングの全体最適化が必要になってくるし、それによって、媒体社、広告主、広告代理店、業界全体の発展も可能になるだろうと思う。これはこの業界で生きている皆にとっても良いことであるはずだ。

そして最後にはなるけど、重要なことを一つだけ。

いずれのセッションでも100%の確率でリスティング広告の話題が上がってきていて、その重要度はまだまだ衰えない印象だ。

勿論、アトリビューションに取り組まずとも、今現在ではリスティング広告のアカウントを再構築するだけでも効果が何倍にもなる事があるのは事実だし、そういった事例を何度もみてきた。そういう意味では、今はリスティング広告の地固め的な要素もまだまだ必要だとは思う。

しかし、その次のフェーズ、つまりリスティング広告の次なる扉を開くのは、アトリビューションだといっても過言ではないはずだ。それにも関わらず、この会にはリスティング広告関係者が少な過ぎるのが僕は少しだけ残念に感じている。

# 治田さん、小栗さん、有薗さん、素晴らしいセッションをありがとうございました。このポストは時間が経過しているうえ、覚書で書いているため、誤った記述がありましたら大変お手数ですがご連絡頂ければ幸いです。

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