リマーケティングをユーザーの行動履歴から効率良く使う方法

同じ広告にばかり追われてしまって困っている。

そんな経験はありませんか?もしかするとその広告はGoogle AdWordsの提供しているリマーケティングかもしれません。2010年3月に登場して以降、大規模サイトだけの利用に留まらず、その普及スピードは瞬く間に中小規模のECサイトなどまで広がり、もはやGoogle AdWordsを利用しているユーザーの大多数は利用している、または利用しないまでも1度は検討したことのある機能に成長していると言っても過言ではありません。

それほどまでに普及したリマーケティングですが、2012年9月時点での仕組みは簡単です。簡潔にお伝えすると、サイト所持者がリマーケティングタグを特定のページに導入した場合、そのページを訪問したユーザーにCookieが付加され、施策者側が決めているリストの期間中にGoogle AdSenseが導入されているサイトに訪問した場合にターゲティングされる広告がリマーケティングです。

※イメージ
※実際の広告掲載は他の広告とのオークションにより行われます。

つまり、一度サイトへ訪問し、コンバージョンまで結びつかなかったユーザーを追うことが可能です。それも最大で540日間。(日程調整可能)

一度サイトに訪問しているユーザーですから、そのサービスに興味があるのは当然として、やはりさまざまなサービスでそれ相応の成果も見込むことができました。

ところが、これだけリマーケティングを取り扱う競合他社が増加し続けると、これまでのような成果を出し続けることが難しくなるケースも多々見受けられます。そんな場合には現在のリマーケティング施策を見直す時期かもしれません。自社サイトに訪問したユーザーを闇雲に30日間(デフォルト設定)追いかけ回すなんて設定が行われているのであれば尚更です。

では、どのように、どれくらいリマーケティングを出すのがいいのか、利用にあたって考えるべき幾つかのポイントを数回に分けて解説してみましょう。

リマーケティングの期間はユーザーの行動履歴から導き出す

「行動履歴」などと言ってしまうと少しだけハードルが上がってしまう気がしますが、Google アナリティクスを導入しているのであればユーザーの購入までの期間を簡単に導き出すことができます。

※弊社データより。

Google アナリティクスにログインし左メニューの[コンバージョン]→[マルチチャネル]→[期間]からサイトに訪問されてから購入に至るまでの期間を見ることができます。これはとあるECサイトの事例ですが、このECサイトではサイトへの訪問から5日間の間に約55%ものユーザーが購入アクションへ遷移しています。つまり、半分以上のユーザーは5日間以内に購入の意志を決定することになります。その後はちらほらとコンバージョンを生み続け、30日以内に残りのコンバージョンが発生しますが、明確にどの期間に多くなるといった傾向はありません。

このデータを起点として、リマーケティングを設計していきましょう。

期間によって“リストを絞込みする”という視点

一般的なECサイトなどではページを訪れた時期が近いほどユーザーのモチベーションは高いと言えるでしょう。その反対に、時間が経てば経つほどユーザーのモチベーションは下がっていくとも言えるかもしれません。前述のECサイトでは約55%のユーザーが訪問から5日以内に購入アクションへ遷移していました。これらを踏まえ、下図のような仮説を立ててみます。

※イメージ
※パターン1では[特定のページ訪問30日間]からコンバージョンしていないユーザーのみをリスト化。
※パターン2では[特定のページ訪問5日間]からコンバージョンしていないユーザーのみをリスト化。

ここでは「パターン2>パターン1」という仮説です。ではこれを実際にGoogle AdWordsの管理画面で設定していきましょう。

新しくなったリマーケティングの設定方法


リマーケティングのリストを作成するには、Google AdWordsにログインし、左メニューの[共有ライブラリー]から入っていきます。


[ターゲットユーザー]の[View]をクリックします。


[リマーケティングを設定]をクリック。


リマーケティングコードをコピーし、サイト全体に挿入します。


※GoogleAdWords_remarketing_7

まずはサイト訪問後5日間のリマーケティングリストを作成します。ここでは[www.example-site.com]のサイトすべてを対象としたリマーケティングリストを作成する為、[次を含む]とし、[www.example-site.com]を入力しています。
※期間やページなど、行いたい施策によって柔軟に変更が可能です。

[有効期限]を[5日]として、リマーケティングリストの名称を記入しましょう。わかりやすければどのようなものでも構いません。その後[保存]。


するとこのようなターゲットリストの一覧を確認することができます。


続いて[新しいユーザー層]から[リマーケティングリスト]を選択します。


サイト訪問後5日間のリマーケティングリストを作成したとき同様にURLを記入し、[有効期限]を[30日]として、リマーケティングリストの名称を記入しましょう。その後[保存]します。


これで [訪問から5日間]と[訪問から30日間]のリマーケティングリストが出来ました。


更にコンバージョンを定義する必要があります。再度[新しいユーザー層]から[リマーケティングリスト]を選択します。ここで予めコンバージョンタグを発行しているサイトの場合にはラジオボタンを[選択したページに新しいタグを設定して、サイト訪問者のリストを定義する(以前のバージョンのリマーケティング)]に合わせることで、これまでのコンバージョン定義をリストとして利用することが可能ですが、「GoogleAdWords_remarketing_7」で書き出しているような形でサンキューページのURLを指定することでコンバージョン定義をリスト化することも可能になりました。ここでもリマーケティングリストの名称を記入して[保存]しましょう。

※Google AdWordsは後者を推奨していますが、現時点ではどちらも利用可能です。

さて、ここからが本番です。


このような状態になっているはずです。


[新しいユーザー層]から[カスタムの組み合わせ]を選択します。


ここでもわかりやすい[組み合わせの名前]をつけます。[該当するユーザーの条件]として以下のように条件を組み合わせます。

[いずれかのユーザー(OR)]:[ユーザー層:訪問から5日間]
AND
[選択したユーザー層以外] :[ユーザー層:CV-コンバージョンA]

※[訪問から5日間]-[ CV-コンバージョンA]の意。


※イメージではこのようになります。
設定が終われば[保存]し、更に[カスタムの組み合わせ]を作成します。


ここでもわかりやすい[組み合わせの名前]をつけます。[該当するユーザーの条件]として以下のように条件を組み合わせます。

[いずれかのユーザー(OR)]:[ユーザー層:訪問から30日間]
AND
[選択したユーザー層以外]:[ユーザー層:訪問から5日間]
AND
[選択したユーザー層以外] :[ユーザー層:CV-コンバージョンA]

※[訪問から30日間]- [訪問から5日間]- [ CV-コンバージョンA]の意。
つまり、サイト訪問後5日経過後から30日間の間でコンバージョンに至っていないユーザーのリスト。


※イメージではこのようになります。

設定が終われば[保存]します。


すると上図のように[組み合わせ]リストが2パターンできているはずです。


あとは広告グループ単位で[組み合わせ]を選択してリマーケティングを配信することができれば完成です。


この際に忘れていけない視点は、購入へのモチベーションの高い[組み合わせ]、つまりここではパターン2である「[訪問から5日間]-CV」といったリストの入札価格を引き上げることで、更に多くの購入を発生されることができる可能性があるということです。

反対に、パターン1である「[訪問から30日間]- [訪問から5日間]-CV」の入札価格は過剰なものを設定せずにある程度抑えるほどにすることで、モチベーションの薄くなっているユーザーに対して闇雲に追い掛け回すことはなくなります。それにより、無駄な予算を省くことができますし、ユーザーに不快感を与えることは少なくなるでしょう。

また、モチベーションごとにクリエイティブや入札を変更することも可能です。それにより、より効率的なリマーケティング運用が可能となるケースもあります。

※注意:「マンション」などの検討期間が比較的長期にわたる商材では異なる発想で取り組むことでより効率的なリマーケティング運用が可能となります。

まとめ

かなり長くなってしまいましたがリマーケティングの設定が新しくなったことも加味するとこのくらいの長さが限界でした。

今回はリマーケティングの段階的配信と呼ばれる、ユーザーの行動履歴から期間によってリストを絞込みするという視点をお届けしました。わかりやすくお伝えするために、今回の例では訪問から5日間・30日間と2パターンでの例で紹介しましたが、商材や取り扱うサービスなどによって適切なリスト期間は異なってきますし、更に細かな設定が必要になってくることもあるでしょう。

リマーケティングに関してはGoogle AdWordsの公式な発表(http://adwords-ja.blogspot.jp/2012/07/blog-post.html)により、Google アナリティクスのデータを利用してより柔軟な訴求が可能になるとのリリースがありましたが、仕組みが変化しても大事なのは見込み客の行動を履歴から予測し、仮説立て、適切に予算配分するという視点です。この発想により、確実にリマーケティングの精度は上がるはずです。

次回は今回ご紹介した視点とはまた異なる視点からアプローチしたリマーケティング設定方法をお伝えします。

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