うなドン 南の楽園にょろり旅/感想


ニホンウナギの産卵場を突き止めた事で話題になった、塚本教授率いる東大研究チームの青山 潤氏が手掛けた書籍で、地球上に生息するウナギ全18種類(現在は19種類)を集めるまでの貧乏旅行記のような爆笑ストーリーです。いや、まじめな本かと思ったら結果的に爆笑ストーリーになっていたというかなんというか…。とりあえず、面白いです。

地方の私立大学から東京大学大学院へ入学し、自分の知識の無さに打ちのめされ、必死の努力の末に前人未到の領域へ誘われる詳細は、男であればぐっとくるものがあります。

初めのうちこそ、「追いつけるわけないじゃん。元々頭のいい人たちが思い切り努力してんだから、俺なんかどんなだけやったって、いつまでたってもダメダメじゃん。どうするよ、俺?」といった思考だったにも関わらず、「小さかったら高く跳べ」という昔のCMのフレーズを思いだし一発奮起していきます。

小さかったら高く跳べ
身長が小さければ、それを補うだけ高く飛ぶしかないのだ。頭が悪いというならば、人よりも努力するしかない。それでも追い付かなければ、「高いところ」へ走って、そこから飛び上がるしかないのだ。ほんのわずかでもいいから。誰よりも高く飛び上がるために…。

そこから始まるインドネシア、バリ島、ジャワ島、スマトラ、マレーシア、タヒチなどの貧乏研究旅はハプニングの連続で読むものを引き付けて離しません。

中には生態系を壊してしまうような毒物でウナギを捕獲してしまったり、レンタカーをぶっ壊して逃げてしまったりなど、関心はできない事柄も多数ありますが、そのあたりはご愛嬌なのか、とりあえずやはり面白い。

本書の題名「うなドン」は、うなぎ研究会のドン・キホーテを略して名づけたものだそうで、無茶だって笑われたって構わない!というところからつけられたそうです。

本当に凄い発見をするような人たちは、最初は無茶だって言われたり、笑われ続けたりするもんなんだなと、あらためて感じました。

ただし、彼らはそれを踏まえたうえで、このようにも述べています。

結果が全てである。
だめだったけど僕頑張りました、はプロの世界では通用しない。徹夜なんて意味がない。起きているだけなら猿でも豚でもできる。

結果ありきでのプロの世界、だからこそ厳しいけど、やりがいがあるってもんだ。

こんな文章読んだらやる気がみなぎらないわけがない。地震からいろいろなものが重なって、なんだかポッカリとした感じで過ごしていた気がするけど、今まで以上に今年の目標に向かって頑張ろう!そう思えるきっかけを与えてくれる書籍でした。

お薦めです!

うなドン 南の楽園にょろり旅
青山 潤
講談社
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