今、付き合っている運用型広告代理店は大丈夫なのか、今後どのように運用型広告代理店を選定しどのように付き合うべきなのか、を見極める術

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さて、何から言及しよう。

  1. 日本国内のデジタル広告サービスにおける不適切業務の発生について
  2. 3分でわかる電通の不正(不適切業務)とネット広告の闇について
  3. 電通のデジタル広告不正について、クライアントの立場から「ごめんなさい」と言いたい

電通の不正は揺るぎない事実であり、倫理に欠ける問題であり、決して許されるものではない。

ただ、運用型広告を生業とする者として、今回の件によって、同義上も構造上もまっとうにビジネスをしている会社や、渦中の企業の中で真面目にやっている個人たちが不当に貶められるのを危惧しています。このまま業界の巨人たちの不祥事に巻き込まれて、確認コストだけが肥大し、やがて業界から優秀な人が居なくなってしまったり、新たに入ってこなくなってしまっては、結果的に全員が大変大変困るのです。

そんなわけでして僕からは、表題通り、今みなさんがお付き合いされている運用型広告代理店は大丈夫なのか、今後どのように運用型広告代理店を選定し、どのように付き合うべきなのか、を見極める術をお伝えしましょう。

今、付き合っている運用型広告代理店は大丈夫なのかを見極める方法

まず、運用型広告のアカウントの開示を求めましょう。その上でランダムな期間を選定し(2016年06月などでOK)、その期間の管理画面と過去のレポートとのデータのつきあわせを行ってください。これだけで数字の整合性をみることが出来ます。過去に提出された利用広告費と費用対効果が明確になるはずですから、その数字が実際の報告のデータと合っているかを確認してください。

尚、リスティング広告を筆頭とする運用型広告は掲載期間を経過後に数円単位の多少の数字のブレは必ずと言っていいほど発生します。経験上、月に数百万円レベルの広告費を利用されているようであれば数百円から数千円程度の誤差、月に数千万円レベルの広告費であれば一桁万円レベルの誤差程度がほとんどです。

管理画面上の利用金額がレポートの金額よりも明らかに少ないという場合は過剰請求の疑い。コンバージョン数がレポートの数よりも明らかに少ないという場合は虚偽報告の疑いありです。

アカウント開示が認められなかった場合

黒とは言い切りませんが、限りなく疑ってかかるべきです。契約上アカウントを開示しないというのが大手のフォーマットの契約になっているケースが比較的多いですが、そんな運用型広告代理店の代表的な言い訳は「ノウハウが盗まれる」というものかもしれません。でもですよ?見られて盗まれる物はノウハウなのでしょうか?

仮に契約に盛り込んであっても今回の事件のことがありますから、真のパートナーであれば開示してくれるのが至極当然のことではないでしょうか。

今後どのように運用型広告代理店を選定し、どのように付き合うべきなのか?

では今後どのような運用型広告代理店を選定し、どのように付き合うべきなのでしょうか?答えは「自社に相性のよい運用型広告代理店を選定する」これにつきます。

運用型広告代理店に限りませんが、代理店には代理店毎の思想があります。その思想に共感できるか、はたまた自社との相性が良いかどうかを見極め、選定することがもっとも重要です。

例えば、1つのクライアントに5~8名のメンバーをアサインさせる運用型広告代理店があったりしますし、それを期待するクライアントもいます。対して、それは無駄だと主張する運用型広告代理店も存在します。これも思想の問題なんですよね。

確かに数十万から数百万にのぼるキーワードの検索連動型広告アカウントであれば多少人数がいたほうが早々にタスクをこなすことができるように見えますし、1人あたりの負荷を軽減することが出来る可能性がありますが、プロダクトに関わる人数が増えれば増えるほど、コミュニケーションコストは膨大に上るため、短期的な目標(●日まで出しておいて!みたいな)は果たせても、本来目標とすべき長期的な成果は上がりにくい傾向があるのも事実です。

対して少人数でのトライはコミュニケーションコストがかかりませんし、意思疎通、意思決定もスムーズで、本来の目標とすべき成果が出やすい傾向があります。

広告主はこれらを踏まえ、お好みのもの、相性の良さそうな代理店を選ぶべき、というのが今のところ最適解と認識してます。

こういうことを言うと、どっちがいい、どっちが悪いという話をする人がいますが、その認識はズレています。変な喩えですが、回転寿司を食べてる人に「回っているお寿司はお寿司じゃない」と言うみたいなものです。回転寿司であれ、カウンターで職人さんが握ってくれる寿司であれ、”腹を満たす”という”機能”は同じなわけで、「如何に満たすか」の違いなだけなんですよね。それに準じて高い安いの議論も同様です。

このマッチングを見誤ったときに広告主も代理店も不幸になるわけです。

まとめ

こんなことを書くと過去を掘り起こすのではなく、未来を見ろと石を投げられるかもしれないけれど、未だ見ぬ未来という名の暗闇の中を突き進むのであれば、そのパートナーは真に信頼に足るか相手なのかどうかを見極めるのは至極当然のことでしょう。

尚、補足的にお伝えすると、今回の件で「広告主も悪い」みたいな論調が多く少々びっくりしたのだけれど、それは僕は違うと思う。それを言ったら全てが終わる。明らかに正しいと思われる反論の余地がなさそうな正論ぽい意見ほど実は邪悪で世の中を混沌にする。

とある人の受け売りだけれど、業界のリーダーであるという自覚があるのであれば、どんな状況であれ正しい道を選択するというのが本来あるべき姿だからだ。

性悪説で出来た構造に対して性善説で臨むのは本当に骨の折れる仕事だ。10年くらい経ったくらいでは構造は変わらないし簡単には変えられない。ただし、正しいことをするという姿勢があれば心の平穏は保たれるんじゃないかな。

今日も自分にできることをコツコツと頑張っていきましょうね。

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