これから独立する君へ知っておいてほしい15のこと
100人いれば100通りの人生がある。生き方は千差万別だ。どれだけ大義を掲げても、どれだけ高い目標があっても、どれだけ豊かな福利厚生があっても、個々人の生き方は否定出来ないし、その運命にも逆らえない。時にマネジメントは無力だ。それでも僕らは振り向かずに前に進んでいかなければいけないのだけれども。
水清ければ魚すまず
なんとも皮肉な諺だ。
というわけで、私の経験を踏まえてかなりバイアスがかかっているのを承知で、独立する君へ知っておいてほしいことを用意したので、起業前と起業後に参考にしていただければと思います。
起業前に知っておいてほしいこと
今のうちにクレジットカードをつくれるだけつくれ
クレジットカードが時に魔法のカードのように扱われるのは、キャッシュフローをある程度自在に後ろに動かすことが出来るからに他ならない。10月に購入したものの支払いを11月や12月にずらすことが出来る。個人でクレジットカードを使っている人にはあまりピンとこない表現かもしれないが、法人でこういった支出を後回しにできることはまさに魔法のようだ。
職種や内容にもよるが、法人において10月にこなした仕事分の支払いは11月末などになるのがスタンダードだろう。遅くても12月末などだ。この間、君には一銭も入らないことを考えれば、きっとクレジットカードの恩恵に預かる素晴らしさを理解してくれると思う。
クレジットカードの規約上とかそういった話を抜きにして、今のうちにクレジットカードをつくれるだけつくれ。独立したてで本当に困ったその時に君を助けてくれるのはアメリカンエクスプレスだけだ。
半年生きる程度の預金はあるか?
独立する上でもっとも大事にしなければいけないものは、現金である。現金こそがライフラインだ。今の生活水準を落とさずに、半年間生き延びる預金がなければ少し先延ばしたほうがよいかもしれない。人は自分が思うよりも自身の生活水準を下げることができない。生活水準を下げるにはおおよそ1年ほど必要だと言われるくらいだ。
だからこそ、生活水準を変えずに半年生きる程度の預金は持っておいたほうがいい。特に家族持ちの場合は予期せぬ出費が待ち受けていることもあるので、もっと余剰があってもいいかもしれない。
これは僕の独自の保身だが、大変有効だったので書いておくけれど、いつでも一定の現金に換金できるようなシロモノは持っておいてもよいと思う。本当にギリギリの時に心の支えになってくれるからだ。また、「これを売ることになるくらいなら…」ということで明確な線引ができる。
後ろ足で砂をかけるやめ方はするな
至極当然のこととはいえ、これができる社会人は稀だ。起業直後、そして最後の最後に助けてくれるのは今君のいる会社の社長や上司だということを忘れないでほしい。だからこそ、どんな理由で辞めるのであっても、後ろ足で砂をかけるやめ方はするな。
※さらに言えば、成功してから助けてくれるのも今君のいる会社の社長や上司、部下だったりするから世の中は不思議だ。
自分が見えてないものを知ろうとすること
きっと君は「もうここで学ぶことはない」と少なからず思っているだろう。でもそれは違う。戦略はその戦略立案をしたものか、それと同等以上のリテラシーを持ちあわせているものにしか本当の意図は理解できないのと同様に、君には見えてないことが沢山あるということを知っておかなければいけない、自覚しておかなければいけない。単に、マネジメントが間に合わなかっただけだ。
見えないものを知ろうとする努力を怠ってはいけない。さまざまな人に会おう、絶えずインプットしよう。今は名も無き君を知ってもらうために良いアウトプットをし続けよう。
起業後に覚えておいてほしいこと
はじめから会社を作れ、税理士を雇え
うちという将来のグレートカンパニーを離脱する限り、個人事業主などではいてほしくないというのは多少あれど、この世の中は株式会社でなければ取引をしてもらえない辱めに合うことだって珍しくない。だからこそ、こんなことで悩むのは時間の無駄だ。はじめから株式会社を作れ、税理士を雇え。本業とは関係ないことにはあまり時間を使わないほうがいい。
そういった意味において、税理士との付き合い方は非常に重要だ。出来る限り賢く、事業への理解がある税理士と付き合うべきだ。
キャッシュフローの重要性を知れ
前述しているが、お金の流れを制したものがすべてを制すと言っても過言ではない。つまり、キャッシュフローの重要性を理解し、支配しなさい。収入はできるだけ先に貰い、支出はできるだけ先送りしなさい。これらの蓄積は君の事業を急拡大させることにも大いに役立つし、後にボディーブローのように効いてきます。はじめから徹底しておくべきです。
といっても、株式投資や会社経営と無縁だった人がはじめからキャッシュフローを理解するのは難しいかもしれません。そんな時は「収入はできるだけ先に貰い、支出はできるだけ先送りしなさい」この言葉を心に止めておくだけでもだいぶ違うはずです。
「今度相談させてください」、「今度案件紹介しますよ」は信用するな
調子の良い人はいる。だからこそ、それらはあてにしないほうがいい。その人には悪気はないかもしれないが、そういった調子の良い発言を頼りにしてはいけない。ましてや、あてにしてなんかはいけない。起業というものは、自分の行動以外をあてにしない、ということだと知ろう。君が手を休めていたり寝ていればその分仕事は生まれないのだ。特に起業初期はね。
目先の利益でうごくな
背に腹は変えられない時だってあるだろう。けれども、目先の利益でうごくなと伝えたい。喉から手が出るほど目先の利益がほしいシチュエーションにだって出くわすだろう。そんな時は一度立ち止まって考えよう。もし、君が豊かだった場合にその仕事を受け入れるのだろうか?その仕事を受注する事によって引き起こされるコンフリクトはどれほどのものだろうか?
仮にそれを受けることによって多大な犠牲を産んでしまう可能性があるのであれば、もう一度考えてみよう。
いつでもノーディール(No Deal)という選択肢をもて
ノーディールとはつまり「取引しない」という選択肢だ。つまり、川下にいるのではなく、川上に立てということだ。余裕がある人は強い。それを叶えるためにはさまざまなアプローチが必要不可欠だということは理解してもらえるだろうと思うので、ここでは記さない。
クリエイターだけは買い叩くな
キャッシュフローの話は決してケチになれという話ではない。締めるところを締め、緩めるところをしっかりと緩めることが重要だ。起業する中で、クリエイターとの取引も出てくるだろう。その時は出し惜しみするな、値切るな、買い叩くな。クリエイターは値切られ慣れているから、値切られる前提で見積もりを出してくることがある。はじめの見積もりを甘んじて受け入れよう。出来る限りすぐに入金しよう。
君がこのクリエイターの立場だった場合、そんな対応を取られたらどう思うだろうか?恐らく、もっとも重要な取引先と位置づけられるに違いない。どんな大企業の取引先よりも、情熱を込めて取り組んでくれるに違いない。最高のものが仕上がってくるはずだ。これは私の経験上、一度も外したことがないので安心してほしい。
積極的に外に出ろ
言わずもがな。管理画面やパソコンの中に顧客や将来の仲間はいない。積極的に外に出ろ。私を含め、私が知るかぎり社長と呼ばれる職種の中に「自称人見知り」は本当に多い。みな、何かしらの目的を達成するために外に出ているのだ。
順調なときほど種を植えろ
その業界で名の知れた企業を退職する場合、恐らく、流行りの退職エントリーをブログやSNSなどで書けば大きな仕事が舞い込むし、当面は仕事に困らないし収入もサラリーマン時代には考えられない位にUPすることだろう。当然だ。そういう企業はある程度意図的にそういったブランディングをしている可能性があるからだ。
でも勘違いするな。それは君の実力じゃない。そういった効果は約一年ほど続く。いわばスーパーマリオがスターをとってBダッシュしている状態だ。だからその時こそ地に足をつけて種を植えよう。ヤバイと思ってからではもう遅い。起業後、消えていく起業家はこの時期に狂った金銭感覚や仕事の感覚を引きずったことによる影響が大きい。
覚えておこう。スターを取ったマリオは無敵じゃない。マリオだって穴に落ちたら死んでしまうだろう。
ポートフォリオを分散させろ
ポートフォリオとは金融資産の組み合わせのことだ。ここでは会社のメニューや取引先、さまざまな面でポートフォリオを分散させろという意味だ。「卵を一つのかごの中に入れるな」よろしく、ビジネスも同じだ。1つの取引先の収益が会社全体の収益の数10%を超えることだってあるだろう。その時は恐れを抱きなさい。収益を適切に分散するまで必死に働きなさい。
家族との時間は大切にしろ
起業するという人にアドバイスを求められたら僕は起業なんて薦めない。世の中には知らないほうがいいことの方が多すぎる。人間の本性が見え隠れするのがこの職業だ。だからこそ、心を平常に保つすべが必要だ。それこそが家族だということを忘れないで欲しい。
起業直後は我武者羅に働くことも重要だ。けれども、それは家族との時間を犠牲にしてまでも得たいものだろうか?起業前、起業後に今一度自分が独立した目的を明確にしておくべきだ。そして、目的に沿って動けているのであれば、家族との時間を意識的に大切にしよう。
時間の流れは不可逆だということを覚えておいてほしい。
まとめ
いろいろ書き綴ったけど、言いたいことはここに記した3倍近くある。それを一言に集約させるとなればやはりこの言葉しか無い。
苦闘を愛せ
by ベン ホロウィッツ
同じ時代に起業した起業家がことごとく表舞台から消えていくのを目の当たりにした身としては、起業という言葉は過大評価されていると感じることがある。んまぁ、それでもやると決めたんだから、苦闘から目を背け問題を先送りにするのではなく、苦闘を愛そう。僕が君に贈れるアドバイスなんてそれくらいだ。
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