Twitterアクティブサポート入門 「愛される会社」時代のソーシャルメディアマーケティング/感想
smashmediaの河野さんによる書籍で、僕が知る限りでは日本で初めてTwitterを利用したアクティブサポートについて書かれた書籍だ。アクティブサポートについては本書内で下記のように定義されている。
アクティブサポートとは?
これまでのように「困ったら電話してこい(メールしてこい)」ではなくて、そこに「困っている」とつぶやいている人がいるのが見える以上、こちらから出向いてサポートするのは当然のことだと思いませんか?僕はそれを従来の受け身(パッシブ)のサポートと区別するために「アクティブサポート」と名付けました。
なるほど。これまで受け身であったサポートを、企業側・事業主側から消費者が抱えている問題を見つけ出しサポートする、それがアクティブサポートというわけだ。
サポートって実際に非常に難しい。僕自身もECサイトを運営していたこともあるし、LICもあるし、メール返信一つ、とっても電話一つとってもテンプレートそのままの返しではどうにもならないこともあるし、対応にかなり個々のセンスが表れる箇所なのじゃないかなと思う。
本書ではアクティブサポートを行うことへのメリットとデメリット、更にはどのような体制で取り組んでいくべきかが河野さんの経験談も交えて具体的に記されている。
Twitterアクティブサポート入門 「愛される会社」時代のソーシャルメディアマーケティング/レバレッジメモ
マーケティングの第一歩は「消費者を正しく理解すること」
アクティブサポートを行い、消費者と直接対話して、本音をうかがうことで、これまでより正しく理解できるはず。
顧客の声を生かす
アクティブサポートは場当たり的に質疑応答を繰り返すだけでは不十分です。彼らとのやり取りで収集した顧客の声を実際の製品やサービスに暗影することで完結する。
アクティブサポートの3つの効果
- 離反直前の顧客を見つけ、その離反を未然に防ぐこと
- 商品やサービスの改善のヒントを得ること
- その結果として顧客とのつながりを資産化すること
トニー・シェイ
お客さんは「何をしてくれたか」は覚えていないかもしれない。でも「どんな気持ちにしてくれたか」は決して忘れない。
「サイレントマジョリティ」ではなく「インビジブルマジョリティ」
これまでも消費者は黙っていた(サイレント)わけではないのです。彼らは企業に届いていなかっただけで、見えなかった(インビジブル)に過ぎません。
問題はリスクの有無ではなくて、大小
「なにもやらないでいることが一番のリスク」という言葉は使ってはダメです。これはただの無責任な煽りでしかありません。行動することで生じるリスクもあるのです。
アクティブサポートの目的
顧客の要望を把握し続けること
アクティブサポートの適任者
サポート業務や店頭での接客業務の経験者をシフトすることをオススメします。ツイッターの利用経験なんてどうでもよくて、大事なことはお客さんと応対した経験の量です。
軟式アカウントのリスク
軟式アカウントというのは個人のセンスや才能に依存してしまうため、担当者の離職や休職、異動などのリスクを回避できないのも問題です。
アクティブサポート投稿マニュアル
- 余裕のないときは投稿しない
- 相手をきちんと認識する
- 自分の所属や氏名を明らかにする
- 営業はしない
- お客さまの利益を優先する
- とにかく聞く
- 誠意ある対応をする
- 迅速に対応する
- コメントすべきか毎回考える
- 直後の発言を確認する
- コピー&ペーストはしない
- 対話をする
- インバウンドは必ず対応する
- 会話の邪魔をしない
- 案内が難しくならないように配慮する
- なれなれしくなりすぎないよう注意する
- 発言内容に注意する
- 顔文字は使わない
- 長文の際は連続した投稿であることを明記する
- 対応時間を明記する
アクティブサポートの代表的な効果指標
- 顧客満足度
- NPS(ネット・プロモーター・スコア)
- 新規顧客獲得率、コンバージョン率
- リピート率(歳購入率)
- LTV(顧客生涯価値)
- 売上構成比におけるリピーター率
- レピュテーション(風評)
- 平均反応時間
- 対応件数
- フォロワー数
- 反応数
- Klout Score(クラウトスコア)
- 離職率
- 社内コミュニケーションの活性度
- 社員のソーシャルメディア参加率
- メディア露出数
- 被リンク数
- 訪問者数、PV(ページビュー)
Twitterアクティブサポート入門 「愛される会社」時代のソーシャルメディアマーケティング/まとめ
僕がアクティブサポートによって大きく影響されるであろうと感じたのは、アクティブサポートの3つの効果にも記載した「離反直前の顧客を見つけ、その離反を未然に防ぐこと」と「商品やサービスの改善のヒントを得ること」の2点だ。
特に「離反直前の顧客を見つけ、その離反を未然に防ぐこと」で感じたことは、実際にオリジナルの商品を扱っているのでなければ安ければどこで買ってもいいお客さんなんて山ほどいるだろうけど、しっかりとしたサポートを得られたり、親近感のようなものを感じれば仮に価格は割高であってもザッポスのようにお客さんはまた買ってくれるはずだ。
また、本書を読む限り(個人的に感じている部分も含め)、アクティブサポートと元々のサポート業が大きく変わることはないだろうと思う。
ただ、Twitterを含めたソーシャルメディアの台頭により、より消費者の声が聞き取りやすくなった今、こういったこれまでのサポート+αという意味でのアクティブサポートの重要度が増してくるのは間違いないだろうね。
そういった意味で、本書はこれからアクティブサポートの導入を検討している企業や事業主の”羅針盤的な存在”になってくれるのではないかと思った。既にサポートチームがある企業だけに限らず、ECサイトなどを運用している方々にもお薦めしたい書籍だ。
尚、上記のレバレッジメモでも書き出している”アクティブサポート投稿マニュアル”と”アクティブサポートの代表的な効果指標”は、実際には一つ一つに詳細に言及されているので、アクティブサポートを始める前には是非とも一読していただきたい内容だ。勿論、実際にアクティブサポートを導入される際には自社用に少しずつでもカスタムして利用するのが良いと思う。
インプレスジャパン
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