ザッポスの奇跡 The Zappos Miracles―アマゾンが屈したザッポスの新流通戦略とは/感想


噂のザッポスという顧客第一主義の企業を著者が直接訪問し、取材することによって詳細に書き出した書籍です。

正直、この書籍を読むまではザッポスという企業がどのくらい凄いのか?というのは全く想像がついていなかったんですが、こういった面白い企業があって、そして成功している事実があるということで、本書を読んでなんとなくですが、今後の企業の在り方、会社の在り方というのを改めて再考していかなければいけないな、と痛感させられました。

ザッポスの奇跡/レバレッジメモ

トニー・シェイ:幸せのデリバリー
社員に、顧客に、幸せを届けること。それが、会社を長期的繁栄に導く最強の戦略

サービス・フォーカスな文化を作るには…
まず、サービスを中核とした企業文化を築いて、育むこと。そうすれば、成果は後からついてくる。

感情価値の重要性
サービス経済では、顧客と企業のふれあいから生み出される、感情価値の重要性が高まってくる。顧客にとっては「何を買うか」ではなく、「どのように買うか」の方がずっと価値が高いのだ。顧客の体験における感情価値の提供が、企業にとっては「やれば有利」というボーナスポイントではなく、顧客の支持を得、生き残っていくための必要条件になってきた。

特別な場所を確保するということ
規模至上主義の時代は終わった。これからは、共同体への価値が問われる時代だ。小さい企業でも、お客様一人ひとりの「ナンバーワン」になることはできる。顧客の「個」と社員の「個」がつながることにより、お客様の心の中に、特別な場所を確保することもできる。

ゲイリー・ハメル
「次世代の[経営]とは、企業の人間化である」

未来のない会社とは
「感動」の質が今までにも増して問われている今日、社員を感動させることのできない会社に未来はない。感動のない社員に、顧客を感動させることなどできるわけがない。

「飽くなき向上」を目指す、「個」を活かす企業
「改善に終わりはない」というのが、「個」を活かすリーダーのマインドセットである。どれだけ世間的な称賛を浴びても、彼らは常に「どうすればより良くなれるか」と問いかけることを止めない。反対に、現状に満足してしまったが最後、人も、会社も、雫落の一途を辿ると心している。「自己満足」や「驕り」は、「個」を活かすリーダーの最大の敵である。これは多くの「個」を活かす企業が掲げている、「謙虚さ」という価値観にも通じる。

ザッポスの10のコア・バリュー

  1. サービスを投資てWOW(驚嘆)を届けよ。顧客を、同僚を、取引先を、パートナーを、そして、投資家を驚嘆させる会社でありたい。
  2. 変化を受け入れ、その原動力となれ。競合の先を行くためには、常に変化している会社でなくてはならない。
  3. 楽しさと、ちょっと変わったこと、をクリエイトせよ。個性を大事に、楽しく、革新的な会社でありたい。「はみ出す」ことを恐れるな!
  4. 間違いを恐れず、創造的で、オープンマインドであれ。未開拓の可能性、解決策を模索する会社でありたい。
  5. 成長と学びを追及せよ。社員一人ひとりが、常に向上する姿勢が、会社の成長につながる。
  6. コミュニケーションを通して、オープンで正直な人間関係を構築せよ。お互いに心から信頼できる人間関係を築くためには、コミュニケーションが鍵。
  7. チーム・家族精神を育てよ。「同僚」を超えるつながりを築く。そうすれば、どんな問題も課題も、力をあわせて乗り越えることができる。
  8. 限りあるところからより大きな成果を生み出せ。現状に甘んじることなく、常に「より良い結果」を目指す会社でありたい。
  9. 情熱と強い意志を持て。常に「できる」という姿勢で万事に取り組む会社でありたい。
  10. 謙虚であれ。すべての人を尊重する会社でありたい。自分がして欲しいと思うお通りに、他社にも接すること

ザッポスの奇跡/まとめ

ゲイリー・ハメルが言っている「次世代の[経営]とは、企業の人間化である」という言葉、これのいいたいことはわかるわけですが、少し時期早々なのかなと感じるのが正直な感想です。もちろんそうであることがベストなんだけど、まだまだ日本ではそこの域に達するにはかなり時間がかかりそう。

ザッポスの凄いところは、社員全員がどうすればより良くなれるかを考え続けることができ、尚且つそれを実行に移すための環境が整っており、障害がないという部分なんだろうなと思いました。

お客様に喜んでもらうためには…という精神はどんなビジネスをやっていても重要なことですし、もしかしたら「なんだ、あたりさわりのない感じだな」なんて思う人もいるかもしれませんが、このザッポスの取り組みは真似をしようと思っても中々できないことをやってのけているのが凄い!

私たちはザッポスの取り組みについて、多くの学べる箇所があると感じてます。なんだろう、はっきりいって本書を読んでも答えは見つからないと思いますが、今まで心の中でもやっとしていたものが、少しだけど形になった気がする、そんな素敵な書籍でした。
お客様がいるビジネスをしている方、すべての方にお薦めです。

ザッポスの奇跡 The Zappos Miracles―アマゾンが屈したザッポスの新流通戦略とは
石塚 しのぶ
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