モバイルアクセス解析セミナー/感想 at アクセス解析イニシアチブ

モバイルアクセス解析セミナー
3月15日に行われたアクセス解析イニシアチブ主催のモバイルアクセス解析セミナーへ行ってきましたが、まとめをアップしていなかったのでここにアップいたします。

この日はアクセス解析イニシアチブでも初となるモバイルアクセス解析セミナーということもあり、数十名のキャンセル待ちがでるほどの人気だったようです。早めに申し込んでおいてよかった…。

私個人としても、モバイルの最適化は急務であり、これからも避けて通ることができない分野ので一つでもあります。

今までは高額のものに頼るしかなかったモバイル解析も、Google Analyticsモバイルの登場によりどんどん一般化していくのは目に見えてますね。下記は個人的なまとめになります。

モバイルアクセス解析セミナー/内容

第1部 モバイルアクセス解析のデータと技術 基礎講座
[ 講師 ] 伊藤 大典 氏(アユダンテ株式会社 「SEOを強化する技術」著者)

  • ユーザーエージェントの解説。携帯電話キャリアや端末によって異なる。各キャリアごとに公式ページがあり、端末ごとのユーザーエージェントを調べることができる。
  • 携帯アクセスをユニークに識別するためには、IDを使う。IDにはいろいろな種類があり、キャリアごとに異なる。IDには大きく分けると製造番号とユーザID(UID)がある。製造番号は携帯電話に紐付き、UIDはユーザー(契約=SIMカード)に紐づく。
  • ID取得: ドコモの場合はutnを使う方法、NULLGWDOCOMOを使う方法、guid=ONを使う方法がある。utnはFORMタグでしか使えず、NULLGWDOCOMOは公式サイトでしか使えない。guid=onは比較的万能。
  • ID取得: guid=onはX-DCMGUID: というヘッダーをキャリアのゲートウェイが付加する。
  • ID取得: auの場合は、X-UP-SUBNO: ヘッダが付加される。これは携帯の製造番号。
  • ID取得: ソフトバンの場合はUserAgentに端末IDが、HTTPヘッダにはユーザー情報が付加される。端末を識別してもユーザーを識別してもアクセス解析にはそれほど大きな影響はない。
  • モバイルアクセス解析の分類の紹介。アクセスログ型、WEBビーコン型、パケットキャプチャ型の三種類がある。WEBビーコン型が主流だが、他の方式と比べてクローラーのアクセスをとることができない。
  • 携帯ログ解析時の注意点。まずツールによっては、セッションやユニークユーザをどう決定しているか異なっているため、調査が必要。IPアドレスがアクセスごとに異なってしまったりしているため。基本的にツールベンダに確認したほうがよい。
  • Cookie/JavaScriptを処理できない端末が多い。Cookieはほぼ半数の端末が処理できるようになってきている。
  • ドコモの端末はほとんどリファラー情報を送ってこない。そのため、どの検索エンジンからきたのかわからない。昨年よりリファラーを送信してくる端末は増加してきている(20-30%くらい?)。
  • 携帯アクセス解析ツールによっては、URLにパラメータを付加してアクセス解析をするツールがある。これはSEOとは相性が大変悪いため、気をつける必要がある。
  • モバイルSEO: URL疑似静的化はほぼ必須。セッションIDなどの付与はSEO対象ページでは行わない。そもそも、SEO対象ページと、コンバージョンページを分割し、前者にはセッションIDを付与しないようにする。
  • まとめ。モバイルではユーザーエージェントとID情報に注意。アクセス解析はいろいろな種類があり、メリットデメリットをよく検討し、ツールの選定を行う。モバイルSEOにはURLの処理・検索エンジンのインデックス(ファインダビリティ)の対応が必須。
  • SEOが効かなくなるモバイルアクセス解析ツールは実はかなりあります。具体的製品名というより、どの製品でもソリューションがあります。なので、漫然と導入するのではなく、技術的に検討する必要があります。

第2部 Google Analytics モバイル解析の最新情報
[ 講師 ] 中島 弘樹 氏 (グーグル株式会社 プロダクトスペシャリスト)

  • モバイル向けAnalyticsはWEBビーコン型。実装が容易で、無料
  • モバイル版のGoogle AnalyticsでもPCと同様、1×1の画像が/ga.phpというプログラムによって呼び出される。utmacがプロファイルIDで、MOから始まるID。utmrがリファラー、utmpが開いているページのパス
  • Google Analyticsモバイル版では、携帯電話のIDなどの情報は匿名化して送信している
  • 指標とディメンション。指標は数で数えられるもの。ディメンションは指標を切り分けて見る区切りの意味。モバイル版Google AnalyticsではPC版と同じ豊富な指標とディメンション、レポート自動送信機能・アノテーションなどが利用可能
  • モバイル版で使える言語は、PHP, JSP, Perl, ASP.NETをサポート。ページタイトル、イベント、ユーザー定義、カスタム変数、eコマースは現状モバイル版ではサポートされていない。また地域やドコモの場合の参照元は未サポート
  • 2007-2009 PC検索は23%成長、モバイルは95%成長
  • AndroidやiPhoneは昨年1年間だけで500%の成長。キーワードによってはモバイルのほうがPCより検索数が多いものもある
  • GA for Mobileの導入は3か所。全ページの上部と下部にコードと、ルートディレクトリにGAファイルを設置。ga.phpなど。場所は移動できるが、その場合は上部コードのパスを書き換えること
  • PCでは13時と23時に同じくらいの検索ピーク。モバイルでは23時のピークがかなり大きい
  • モバイルレポートの携帯端末では、日本の端末はまだ表示されない。現在改善中で、近日中にはGoogle Analyticsモバイル版で携帯端末が見られるようになる
  • Data Export APIの例。すでにiPhone App StoreにGoogle Analyticsのアプリが14本ある
  • URLに[その他]という項目が表示される理由。一日各指標につき5万件(キーワードも!)という制限があるため、PHPSESSIDなどを付与したままにしてしまうと、それで5万件を超えてしまう
  • これを防ぐにはExclude URL Query Parametersフィールドでカスタマイズする。PHPSESSID=という形式の場合はプロファイル編集画面にある
  • 配布中のga.phpにはtypoがある。$SERVER変数は$_SERVER変数の間違い。今週中には修正する
  • Google CodeにGIF Request Parametersがある。utmdtではページタイトル、utmccにCookieの値もセットできる
  • utmccでユーザー定義変数を使える。__utmv%3D999.ユーザー定義値。999はドメインハッシュ
  • __utmvのカスタマイズについて。ドメインハッシュの部分は正確に入れる必要はなく、モバイル版では999でよい。ただし、セミコロンは予約されているので、二重にエンコードするか、他の文字に変換する必要がある

第3部 日本のモバイル解析を強化するMOBYLOG4.3 最新情報
[ 講師 ] 佐々木 孝司 氏(株式会社セラン 代表取締役)

  • MOBYLOGでは、mod_ktrack Apacheモジュールが1×1ピクセルの画像を自動生成するため、自分でページにコードを埋め込む必要はない
  • MOBYLOGは自社ツールもあるが、プロファイル情報を他社に提供したりもしている。またSiteCatalystにMOBYLOGエンジンに提供している
  • MOBYLOG(モビログ)では、日本の端末の分析が簡単に可能。たとえば端末がFlash再生可能かどうか、Flashのバージョンはいくつのユーザーがどのくらいきているか、など調べることができる。コンテンツを計画する際に重要となる
  • MOBYLOGではアクセス地域データが見られる
  • MOBYLOGは動線分析が充実。ページを検索して、その前後を見たりすることもできる
  • MOBYLOG、リスティングはAdWordsにもYSMにも対応。三キャリアとも対応
  • MOBYLOG、広告の間接効果測定も可能。Analyticsのように、過去にアクセスされたキャンペーンを覚えている
  • MOBYLOGクローラーキャッチ。これはmod_ktrackを使うため、MOBYLOGでは検索エンジンのクローラーの訪問が実際に見られる。トップページしかクローラーが来ていなかったりする場合は、問題を診断する手助けになる
  • MOBYLOG: ExcelベースでAPIをたたいてレポートを作るシートを用意している。セラン社で有料にはなるが、レポートをカスタマイズして定期レポートなどを作成するサービスも行っている
  • 直接効果と間接効果について。MOBYLOGでは、セッションは30分となっている。その間にコンバージョンを達成すれば直接効果となる。間接効果はUIDを用いて測定しており、3ヶ月間、追いかけることができる

第4部 モバイルユーザー最新動向とアクセス解析事例
[ 講師 ] 川畑 隆幸 氏(株式会社IMJモバイル インテグレーション事業部)

  • モバイルはテレビよりもパソコンよりも重要
  • モバイルアクセス解析の必要性を感じていないが39%
  • 需要は高まるのに、解析の必要性を感じていないという企業が多い
  • 考えられる理由 1、分析するボリュームがない 2、モバイルが重要視されているメディアだと認識していない 3、分析の必要性を感じていない
  • アクセス解析をせずに直感的にユーザービリティの修正をかけているような場合が多いがこれはリスキー 逆にコストがかかる場合がある
  • アクセスの向上、UIの向上にはアクセス解析が必要不可欠
  • CRM型のモバイルサイトが発展すのであれば、ユーザー動向のトラッキングの重要性はますます高まる
  • モバイルサイトにアクセス解析は重要である 重要性を感じている企業と感じていない企業の差が大きすぎる

上記の内容はTwitterにてアユダンテ株式会社の公式アカウントが呟いていたものと、引き継いで私が呟いていたものがまとまってますので、これらでほぼ、内容はつかめるかと思われます。

モバイルアクセス解析セミナー/感想

細かい内容は上記から見て頂くとして、私の率直な感想としては、やはりモバイルサイトの最適化、及び解析は急務であり、これからはなくてはならないというレベルではなく、無いとダメなんだという認識で進めていきたいと思いました。

IMJモバイルの川畑氏もセミナー中、何度もお話されていた内容ですが、”世間のモバイル解析に対する意識に大きな隔たりがある”という部分に激しく同意。実際に私の周りでも真剣にモバイル解析を導入されている方々は数えるほどしかおりません。

更にびっくりするのは、半数以上の売り上げをモバイルで上げているにもかかわらず、モバイル解析の必要性をまだ感じていないという部分ですね。

個人的にもモバイル解析は更に強化していく予定です。

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