ザッポスの奇跡(改訂版)~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~/感想


前書のザッポスの奇跡 The Zappos Miracles―アマゾンが屈したザッポスの新流通戦略とはからの改訂版が出版され、以前の私の書評の方を拝見してくださっていたということで、廣済堂さまよりご献本頂きました。ありがとうございます。

まず本書は前書の改訂版であることをご確認いただいたうえでご購入を検討されるのがよいかと思われます。改訂版では前書の中では記載されていなかった内容がいくつか盛り込まれており、ボリュームもかなり増加していますが、大枠では前書とあまり大きな変化はありません。

ザッポスの長期的ビジョンは、「市場の顧客サービスとエクスぺリメンスを提供する」ということであり、「どんな会社をつくるか」を重視することで、このビジョンを達成できるといい、それらの具体的な内容が本書には記されています。

私たちはすさまじいスピードで変化し続けている社会で生きており、その社会でどのようなスタンスで仕事というものに取り組んでいくのかのヒントをもらえる書籍です。

ザッポスの奇跡(改訂版)~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~/レバレッジメモ

ザッポスで買い物がしたい
顧客は「ものを買いに」ではなく、「そこでしか得られない体験」を求めて、ザッポスにやってきます。「ザッポスで買い物がしたい」から、ザッポスで何が買えるかわざわざ探してしまう、という顧客までいます。

ザッポスのこだわり
顧客をがっかりさせないために「今すぐ発送できる商品だけをウェブサイトに載せる」

会社としての「個」の力
ウェブの普及も手伝い、「個」のパワーがますます協力になっています。社員の「個」の力を発揮されることが、会社が独自性を確立するためのカギであり、会社としての「個」の力にレバレッジをかけるためにも、ゆるぎない企業文化の存在がより必要になっていく。

超サービス企業
超サービス企業ではサービスは業務ではない。それは社員の生きる姿勢であり、心のあり方であり、会社のDNAに他ならない。

自分の手で作ったという実感を与える
企業文化やコア・バリュー育成への「参加プラットフォーム」を設け、個々の社員に、「自分の手で作った」という実感を与えることが、みんなの共感を生み、当事者意識を育てることに繋がる。

お客さんと繋がるためのツールとして
ザッポスの人々は「ソーシャルメディア」という言葉を極力避けている。ツイッターやフェイスブックとかブログとか、そういったものは何も特別なものではなく、お客さんと繋がるための一つのツールやチャネルでしかなく、電話だってソーシャルメディアじゃないかというのが彼らのスタンスだ。

最強のソーシャルメディア戦略
オープンであり正直であること

経営者は建築家
経営者は権力者ではなく建築家。社員が成長し、それぞれの力を発揮していける環境をつくるのが経営者の役割。

顧客にとって大事なもの
サービス経済では、顧客と企業の触れ合いから生み出される感情価値が重要になってきます。顧客にとっては、「何」を買うかではなく、「どのように」買うの方がずっと価値が高い。

成長企業にとっての第一の難関
会社が2倍3倍にも膨れ上がろういう時、「忙しくて、考えている暇はない」と日々の業務にひたすら没頭してしまうのは、ごく自然なことですが、その時期こそ成長企業にとっての第一難関なのです。その時期をどう乗り切るかによって、10年先、20年先の会社の将来が決まるのではないか。

会社と共に成長し、会社と共に豊かになる
「個」を活かす企業には、「施しもの」を持っている社員はいません。「会社が、自分に何をしてくれるか」を期待しているのではなくて、「自分は、会社という共同体に、どう貢献できるか」を常に考えているのです。

人の声に耳を傾ける
「学ぶ」方法の一つとして彼らが習慣にしているのは、「人の声に耳を傾ける」ことでしょう。「個」を活かすリーダーは、人の声に英知が詰まっていることを知っていて、寄り道をしてでも人の話を聴く、あるいは人と話をする機会を探し求めています。それも、より好みをせず、あやゆる人の声に耳を傾けるのが特徴です。

ハーマン・ケイン
成功は幸せを手に入れるためのカギではない。むしろ、幸せこそが、成功を手に入れるためのカギだ。何でも、情熱をもって取り組めば、必ず成功に結びつくものだ

ザッポスの奇跡(改訂版)~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~/まとめ

本書はこれからどう働くかを模索している人や、サービス業に携わっている方、ECサイトに関わっているビジネスパーソン、起業し、情熱を燃やしている方、人事採用、育成を真面目に考えている方にお薦めと記載されていますが、正直、ザッポスの経営スタンスからすべてを真似することは非常に難しいと思います。

しかしながら良いエッセンスを少しずつでも取り入れることができるならば、現状+αでより良い取り組みに変化することができるでしょう。

まだ「ザッポスとは何ぞ?」という、ザッポスに触れたことがない方に強くお薦めしたい書籍です。本書を読み終えて、今後より良い組織を造っていきたいと心から考えるようになりました。その”良い組織”というものがまだ具体的ではないんですけどね。

ザッポスの奇跡(改訂版)~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~
石塚 しのぶ
廣済堂出版
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