経営学/感想


ヤマト運輸の元会長であり宅急便の生みの親でもある小倉昌男氏による、ありったけの経営学を詰め込んだ書籍です。

本書はヤマト運輸が経営危機からどのようにして宅急便を開発して世の中に浸透させていったのかを具体的に書き出した書籍であり、経営者でなくてもその先を見据えた柔軟な考え方は本当に参考なることばかりで、自戒をしながら目から鱗状態で読み進めることができます。

しかも本書は小倉昌男氏、生涯に最初にして最後、一回限りの著作であるということも頷けてしまう、渾身の作品だと思います。

経営学/レバレッジメモ

成功体験はいらない
経営者は過去に成功体験があるとそれにこだわり、往々にして経営の路線を誤ることがある。その後の環境の変化を見誤るからである。

経営とは自分の頭で考えるもの
経営とは自分の頭で考えるもの、その考えるという姿勢が大切である。

業態が違えば、経営の論理が違ってくる
スーパーは安く売るところ、コンビニは便利さを売るところに特質があるように、業態が異なれば経営の論理は異なる。

どんなものにもメリットとデメリットがある
天気の良い日は気持ちがいいが、それが続けば…。雨が続けば鬱陶しいが、ダムには水が溜まり渇水の心配はなくなる。

経営者の維持
儲からないから止めてしまう、というのでは情けないではないか。それをやるのが経営者の維持ではないか。

常識を疑う
常識をあえて疑い、逆にどうすればこの市場で効率よく集配作業ができるかを考えるところから始める。

サービスの差別化
宅急便のようにかたちのない商品の場合、ライバルに決定的な差をつけるのに最も必要なのは、「サービスの差別化」である。

するべきかどうかということ
できる、できないを考える前に、”するべきかどうか”を考える。

利用者の立場になって考える
サービスを提供する供給者の論理と、サービスを受ける利用者の論理は、正反対の場合が多い。供給者はとにかく自分の立場になって考える、つまり、自分の都合を中心に考えるのである。でも、それはまちがってはいかないか。

サービスが先、利益は後
利益はいらないと言っているのではない。先に利益のことを考えることをやめ、まず良いサービスを提供することに懸命の努力をすれば、結果として利益は必ずついてくる。それがこの言葉の本位である。

社長の役目とは
会社の現状を正しく分析し、何を重点として取り上げなければならないかを選択し、それを論理的に説明すること、つまり戦略的思考をすることに尽きる。

永遠の目標
目標とする良いサービスは、前に前にと逃げていく逃げ水のようなものである。つまり永遠の目標なのである。新しいサービスを生み出すためには、休むことなく前進が必要である。

全員経営とは
経営の目的や目標を明確にしたうえで、仕事のやり方を細かく規定せず社員に任せ、自分の仕事を責任を持って遂行してもらうことである。そのカギは従業員のやる気をいかに引出、楽しく働いてもらうか。全員経営の成功はそこにかかっている。

優秀なプレーヤーとは
優秀なプレーヤーは、失敗したときのリカバリーも優れている。パス、シュート、リカバリーのプレー、すべてにおいてスタープレーヤーである。

自分に合ったものを手作りしていかなければならない
業態というものは、人に教えてもらうものではなく、すべて自分に合ったものを手作りしていかなければならない。

経営とは論理の積み重ねである
なかには成功した他社の真似だけをしているダメな経営者もいる。だが、なぜ他社が成功したか、自社の経営に生かすにはどこを変えるか、論理的に考える必要がある。考える力がなければ経営者とは言えない。

攻めの経営の神髄
需要をつくりだすことこそが攻めの経営の神髄。需要はあるものではなく、つくるものである。

経営者に必要なこと
どのような時代であっても、経営者に必要なことは論理感であり、利用者に対する使命感であると確信している。

経営学/まとめ

本当に素晴らしい書籍です。

中でも本書の神髄はサービスが先、利益は後というフレーズだと思います。経営者としてだけではなく、ビジネスマンとして常に心がけていたい言葉です。組織の中にいるとさまざまな競争もあるので、どうしてもその逆的な思考になってしまうことがありますが、忘れないでいたいなと思います。

経営とは何か?自分自身が目指している全員経営とはどんなものなのか?を本書を通して体験させて頂いた気がします。この時期にこの書籍に出会えてよかった。


ちなみに、豆知識ですがヤマト運輸のネコのロゴマークは「母猫が子猫を運ぶように荷物をやさしく確実に運びます」というメッセージから生まれたそうです。。。へー。

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