アップルとシリコンバレーで学んだ賢者の起業術/感想


元アップルのエバンジェリストであり、現ベンチャーキャピタリストのガイ・カワサキが書いたアップルとシリコンバレーで学んだ賢者の起業術を読みました。

総ページ数460ページほどに上り、図解がほぼ皆無なために読み終えるのに多大な時間を要すること間違いなしの書籍ですので、読み始めるには少々覚悟が必要になります。

ガイ・カワサキは本書を「大願成就を期す筋金入りの起業家に筋金入りの情報を提供したかった」として書き出された本で、経営者にもお薦めということで早速読んでみた次第であります。

本書は以下の点について具体的に書かれています。

  1. 立ち上げ
  2. 資金調達
  3. 計画と実行
  4. イノベーション
  5. マーケティング
  6. 販売と伝道活動
  7. コミュニケーション
  8. ウィン・ウィン
  9. 競争
  10. 採用と解雇
  11. 仕事
  12. 善行

章ごとに内容が大きく異なるので端的に読んでも問題のない構成になっています。

起業する、もしくは起業している方で、上記の項目で気になる個所がある方には役立つ本かもしれません。

アップルとシリコンバレーで学んだ賢者の起業術/レバレッジメモ

成功に必要なもの
自分が世界を変えると信じるクレージーで情熱あふれる人間だ。「プロフェッショナル」や「実績ある人」は必要ない。

起業家のチェックリスト
チャンスに目を光らせること。、進んで現状と戦うこと、もっとよい方法があると想像すること、現状に安住するのを拒むこと、そして人々が喜んでくれると信じて製品・サービスを生み出すこと。こうした資質を発揮すれば、あなたも私も英雄になれるはずだ。

金のなる木を葬る
金のなる木の目的は、新しい子牛を育てる資金を提供することだ。役割を終えた金のなる木を公然と葬ることができないのなら、無視するなり回避するなりして、墓場への道のりを短くしてやることだ。

感覚的な目標は後回しにする
「すぐれた職場環境をつくる」のような感覚的な目標はもってのほかである。創業者は気持ちよいかもしれない。社員だって気持ち良いかもしれない。しかし、計測可能な目標をめざす企業こそが幸福なのであって、そうでない企業は幸福ではない。

改良を怠らない
駄目なところがあってもリリースしてもかまわないが、ダメなままにしておくのはダメである。イノベーションは一度きりのイベントではない。プロセスである。

百花斉放を促す
イノベーションを起こす者は、自分たちの製品の使われ方について柔軟な姿勢を持たなければならない。

なんでもやってみる実験屋になる
実世界での経験はたいがい専門家の分析に勝るものです。イノベーションとは実践の習慣であり、たくさんのまちがいを犯してそこから学ぼうとすること。

最良のパートナーとは
お金が儲かるかどうかだけではなく、その製品・サービスの理念に関心があることが望ましく、お金を求める人は景気が悪くなれば逃げ出すけれども、理念にほれ込んだ人はいつまでも立ち去らない。

売上が万事を修復する
売上があるかぎりキャッシュフローが発生し、キャッシュフローがあるかぎり、自分たちの金を払っているので、マスコミがとやかく言わない、それに、あなたの成功を台無しにしたくないので、投資家がそっとしておいてくれるからだ。

スピーチの目標は「とにかく楽しませる」
多くのスピーチ指導員が賛同しないだろうけど、スピーチの目標は聴衆を楽しませることである。聴衆を楽しませれば、情報をいくらか盛り込むことができる。

顧客を知る
よい会社は顧客がほしいというものに耳を傾ける。偉大な会社は、顧客が必要とするものを、顧客よりも先に理解する。

思考について
変えようがないことで悩まず、変えられることだけを考えなさい。

CEOが口にするべき4つのこと

  1. わからない
  2. ありがとう
  3. 正しいことをしなさい
  4. 私のせいだ

既知のものを疑い、未知のものを受け入れる
人生で犯しやすい最大の誤りのひとつ、それは既知のものを受け入れ、未知のものに異を唱えることです。

挑戦せよ
失敗するなら、難しい課題で失敗するほうがよい。失敗すると、あなたに対する他人の期待値が下がる。この問題の深刻さは、あなたが何をしようとしているか次第である。

他人は「目標」で評価し、自身は「成果」で評価すべし
そうすれば、あなたは謙虚にならざる負えない。

ソクラテス
吟味されない生は生きるに値しない。

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
前進しない者は後退する。

ジョージ・バーナード・ショー
ある職業をきわめた人は、きまってこれに懐疑的になる。

中国の諺
失敗とは転ぶことではなく、立ち上がろうとしないことである。

ウォルター・ウィーラー
競争の目的は相手を打ち負かすことではなく、あらゆるプレーヤーの能力を最大限に引き出すことである。

スーザン・ロアン
問題はあなたが何を知っているか、だれを知っているかではなく、だれがあなたを知っているかです。

シドニー・マドウェド
本当に成功したければ、自分自身に投資して、自分にしかできないものを見つけるのに必要な知識を得ることだ。それを見つけて、粘り強くよれに集中すれば、必ずや成功の花が咲くだろう。

もっとも悲しい「人生の総括」
できたはずだ、できたかもしれない、するべきだった。

ヘンリー・デイヴィッド・ソロー
ある書物の価値をはかるうえで、読者がその本をきっかけに世界をよりよい場所にしようと行動を起こす、という事実ほど明確な物差しはない。

インディ・ジョーンズ
よい考古学者になりたければ、図書館から出たまえ!

アップルとシリコンバレーで学んだ賢者の起業術/まとめ

レバレッジメモが多いので特別良い本だと勘違いしてしまいそうですが、これだけのボリュームがあればいくつか良いフレーズは現れます。

本書は、資金集めの際のプレゼン方法や資料の作り方など、ベンチャーキャピタルなどから資金を集めるようなビジネスをスタートさせようとしている方々には非常に有意義な情報が盛り込まれていますし、それらの作法や方法論は一般的なプレゼンにも役立つことは間違いありません。

また、人の採用方法や見分け方などは経営者であれば読んでおくべき内容も多いです。

ただし、あまりに多方面において書き出されているため、すべてが有意義な内容ではありませんので、もし本書を読もうと思われている方がいるのなら、「自身に必要な箇所だけを読むこと」を強くお薦めします。

私は本書を読み終えるのに1週間を費やし、新書ならば3.4冊は読める時間を費やしてしまいました。。。

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