マンガでわかるWebマーケティング ―Webマーケッター瞳の挑戦!/感想


Web担当者Forumで連載している【漫画】Webマーケッター瞳 シーズン1の原案者である村上佳代さんの書籍で、大人気だったWebマーケッター瞳の漫画だけの書籍なのかと思い、初めのうちは購入する気はなかった書籍です。

ところが本屋で立ち読みしていると漫画だけではなく、1話ごとにしっかりとした解説や、現代のWebマーケティングにおいて皆がぶつかるような問題点やその対処法、KPIの重要性、コンサルタントとの正しい付き合い方などが生々しく描かれていて、正に現場の方が実体験から描いた書籍なんだなと痛感させられ、即購入した次第です。

マンガでわかるWebマーケティング ―Webマーケッター瞳の挑戦!/レバレッジメモ

重要業績評価指標(KPI:key performance indicator)
組織の目標を達成するために重要な業績評価の指標。業績評価指標を定めることで、目標が明確になり、現状のパフォーマンスの把握ができる。それにより、目標値との差異分析や、組織行動の再調整という目標達成への改善プロセスが機能する。また、指標は組織の目標と因果関係にあるものにすべきだ。間違った指標を設定すると、いくらモニタリングしても目標達成しない。戦略を変更するなら、新たな目標に合わせた評価指標を、柔軟に設定しなおすことが重要である。なお、指標は多すぎても混乱をきたす。適切な指標を設定し、モニタリングしてこそ、組織の目標を達成できる。

KPIのポイント

  1. 業績、業態、扱う商品によって大きく異なる。
  2. 他社、他部署のマネをしても意味をなさない。
  3. 「決め」の問題である。関係者間の納得感と運用が回ることが非常に重要。
  4. 設定を間違えると、目標が達成できない。これは、致命的。
  5. 「目標」ではなく、目標を達成するための「行動の目安となる指標」

コンサルタントをちゃんとつかえていないケースが多い
「コンサルは高い」と、一時的に予算をケチってしまうことで、コンサルタントとの良好な信頼関係が気づけなくなり、コンサルタントのパフォーマンスを中途半端にしか引き出すことができなくなるケースもの実際にあります。また、社員の採用という長期的に固定費のかかる方法ではなく、一時的な経費としてコンサルティングを依頼する方法は、社内の無いリソースを必要な時期だけ効率よく獲得する適切なコスト計上であり、今後はより必要性が増してくると思われます。

コンサルティングは病気の患者を治す医療サービス
検査(現状分析)をして、その病気(課題)が何であるか突き止め、治せるかどうかを判断し、もし治せるとしたら、どんな治療法(解決策)がありそうか、治療法が複数あればどの方法がベストなのかを、予算、期間、当事者への負担を考慮し、検討する医療のプロセスは、コンサルティングのプロセスとなんら違いはない。

コンサルタントと依頼者側の、認識の共有が大事
もっとも重要なのは、「何に対してお金を払うのか」「何をすることでお金を頂くのか」を、双方が等しく認識共有すること。

キックオフの鉄則
「ゴールの共有」が最も大事。このプロジェクトを通して、「何を実現させたいのか」「何を作りたいのか」「何を達成すればいいのか」「成果物は何か」などを具体的かつ定量的に共有しあうこと。特に定量的な認識共有がカギです。

Webサイトも店舗も全てユニクロ
Webとリアルを分けて考えているのは、実は企業側であり、組織や役割を縦割りで考えるところから起こっているため、本質的な顧客視点の考え方からかけ離れてしまっている。

マンガでわかるWebマーケティング ―Webマーケッター瞳の挑戦!/まとめ

本書の中で非常に日常的によく見る風景があったので抜粋します。

瞳は、クライアントのヒアリングの結果、「KPIはPVの増加である」という、クライアントの言葉に対し、「PVの増加だけをKPIにしてしまっていいのか」という懸念を抱きます。

この結果、PVの増加を目標とした施策が打たれ、結果的にPVは伸びたものの、お申込み数がまったく変わらないという現象に出くわします。

それによって瞳はクライアントである一洋ホームの担当者である坂井と大喧嘩をするはめになります。

こういった話は身近でも耳にする話ですし、自身でも身に覚えのある苦い記憶です。これらは筆者のいうように、初めにしっかりとした「ゴールの共有」ができていないが為に発生してしまう現象です。

「ゴールの共有」はどんなビジネスでも本当に大事で、この「ゴールの共有」の仕方次第では成果が出ても評価されないケースなどが出てくる場合もあるので、今でも常に意識していることの一つです。

この書籍はただの漫画本ではありません。面白おかしく読めてしまう、読み応えのあるWebマーケティングビジネス書です。いたるところの書評で初心者向きと書いてありましたが、私は必ずしもそうとは感じませんでした。

たしかに初心者にも良いかもしれませんが、Webマーケティングど真ん中の方々やコンサルタント、現場の方々にも読んでいただきたいと感じる良書だと思います。

# そんなWebマーケッター瞳もシーズン2がスタートしています。
 Webマーケッター瞳 シーズン2

# 個人的にはソーシャルメディアマーケター美咲との掛け合いも素晴らしい。
 Webマーケッター瞳 vs ソーシャルメディアマーケター美咲 ぶっちゃけオフ会トーク(濃いめ)

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村上 佳代
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