リスティング広告の初期設定についての大きな誤解

先週末、初の出前セミナーのご依頼を頂き、広島県までいってきました。そこでの内容に関してはまた別の機会に書き出すとして、ここでさまざまな質問を受ける中で非常に気になる1つの質問を受けました。

質問の内容は表題通り「リスティング広告の初期設定について」でした。ここは誤った解釈をされている方々が非常に多く、個人的にはこの誤解をこの業界から払拭したいとさえ考えていますので、今回のポストを書き出します。

初期設定の大きな誤解

キーワードを数千個~数万個を作成し、ある程度簡易的なグルーピングを施し、1,2か月様子をみてPDCAサイクルを回すというのがどうやら通説になっているという話を頂き、正直愕然としました。

リスティング広告には成功へ導くためのさまざまな手法があります。その為、明確に「この手法は間違っている」と大声で批判することは滅多にありませんが、上記で上げた手法は多くの面で「間違っている」と断言できます。

まず、この手法では仮説が立てられていません。仮に仮説を立てていたとしても、その仮説に血が通っていないと言っても過言ではありません。いわゆる「やってみなければわからない」といったところでしょうか。この思考は非常に危険で、これらによって作られたアカウントはなかなかうまく行くことはないでしょう。

ちなみに。仮説を立てる重要性についてはエンリコ・フェルミも提唱しています。

実験には2つの結果がある。もし結果が仮説を確認したなら、君は何かを計測したことになる。もし結果が仮説に反していたら、君は何かを発見したことになる。

ちなみにこのように思考停止に陥るような設定を行っていると、仮説の精度が上がりませんので成長もしません。仮説は立て続けることにより、必ず精度が上がってきます。大事なのは、”仮説を立て続けること”です。

また、ここで取り上げているリスティング広告の初期設定を行う場合、もう一つの大きな問題点として上げられるのが、初期の1.2か月の予算をドブに捨てているようなものだと考えるべきです。仮説の無いままで運用されるアカウントほど不幸なものはありません。

更に、苦労して血の通った仮説を立てていないアカウントではスムーズなPDCAサイクルを回すことなどできません。仮に”たまたま”うまく行っているようであれば、そのアカウントは「もっとうまく行く余地がある」のです。

仮説の立てられていない、もしくは仮説の薄いPDCAサイクルは回せない。綿密な仮説を立てなかった、仮説を立てるのを怠った人間にPDCAサイクルを回すことなど不可能です。


徹底的な仮説を立てることでPDCAサイクルが回りだす。これを個人的なイメージではPDCAではなく、PPPPPDCAサイクルというイメージです。

大事なのは初期の時点での”徹底的な仮説思考とその検証”です。

# 細かい話をするともっと大きなデメリットもありますが、今回は割愛します。

リスティング広告の初期設定について大きな誤解/まとめ

これにより、初月からのスタートダッシュが可能となります。大切な予算を初めから有効に活用する為には、この思考は必須次項だと私は考えます。

「徹底的に仮説を立て、アカウント設計を行う→仮説検証する→仮説と現実との乖離を埋める→仮説検証する」

この流れがすべてではないかと思います。

PDCAサイクルとはさまざまな業界で使われるようになった非常に便利で危険な言葉です。もう、PDCAサイクル何て便利な言葉を使うのはやめても良い頃なのかもしれませんね。

ちなみに、アカウント設計に関してはWeb担当者Forum内で書き出したリスティング広告の成果を上げる“アカウント設計力”をご参考にして頂ければと思います。

もっと詳しくしりたいという方は、拙著のリスティング広告 成功の法則でもご覧いただけます。

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