TOP
SEMマスターの書評
コンサルティングとは何か/感想

コンサルティングとは何か/感想

2011年09月11日
SEMマスターの書評

コンサルティングとは何か、コンサルティングとは何をもたらすものなのか、この問いに明確な回答をもたらしてくれたのはビジネスパートナーだったけど、本書でもコンサルティングとは何なのかを詳細に解説してくれている。

本書はドリームインキュベータの堀　紘一氏が自らの経験も交えながら本物のコンサルティングとは何かを詳細に解説して、もう時効なのだろうか、随所で紹介される生々しい事例などが非常に興味深い。

「何が問題なのか」を定義することがビジネスの世界では最も重要な問題である。

そんな素敵なフレーズで始まる本書は、筆者のこれまでの経験の話しから始まり、コンサルティングがどのように問題に取り組み、解決していくのか、はたまた、どのようにコンサルタントと仕事をすると力が引き出せるのか等、非常に興味深い内容が紹介している。

コンサルティングとは何か/レバレッジメモ

実力を磨くには師匠が欠かせない
人間、力があれば肩書も給料も勝手にあとからついてくる。肝心なことは実力を磨くことで、そのためにはいいお手本、師匠が欠かせない。これが私の哲学だ。独学ではなかなかいい腕にならない。

ホンダの経営学
「ビジネスは勝負事だ」勝負事である以上、喧嘩と同じで、やるからには勝たねばならない、勝てない喧嘩はやってはいけない。そして、勝つためには多少の出血や骨折は覚悟せねばならない。出血や骨折が怖いなら喧嘩をしてはいけない。

コンサルタントはシェルパ
コンサルタントは、企業が土地勘のないところを歩むための道案内、エベレスト登山のシェルパと同じとも言える。道案内がいれば、自力で道を進むよりも、リスクを減らすことができるし、道に迷うこともなく、時間をはるかに節約することができる、時間は、ビジネスにおいて重要な要素だ。

戦略コンサルティング「4つの意義」

企業は往々にして、顧客を把握できていない
「過去の成功体験」が発展を阻害する
「因果関係」を徹底的に追及できる
戦略立案には技術と経験が必要

一流の選手に一流のコーチ
タイガーウッズにも、石川遼にもコーチがついている。むしろコーチに求められるのは、理論に対する深い理解と、客観的な視点である。この二つがあるからこそ、選手は迷いなく協議に集中することができる、経営者とコンサルタントの関係も同じである。

コンサルティングに「答え」はない
コンサルティングの仕事の本質とは「何が問題かを突き止め、その答えを考える」ということ。つまり、「知っていることを教える」のではなく、「考える」ことこそがこの仕事の価値なのである。知っていることを教えることでお金をいただくのは、コンサルタントとして邪道。我々がお金をもらうのは、むしろ「考える」ことに対する対価である。

限られた時間で最大限の情報を引き出すには「仮説」が必要
限られた時間内で最大限の情報を引き出すために必要なことは何か。それは、何よりも事前準備である。具体的には、「何が問題か」という「仮説」を立てておくことだ。

何をx軸とy軸にするかで、コンサルタントの能力が問われる
一番重要なのは、何をx軸として、何をy軸とするのかということ。そして、xを変じるとyの値がどう変化するかといった、xとyの因果関係を突き止めること。これを探り出すことが、コンサルティングの仕事の本質なのだと言い切ってしまってもよい。

哲学を語るな、事実を語れ
論理は、絶対的な「事実」にもとづいていなければならない。事実なき論理は机上の空論である。人を動かす際に何よりも強いもの、それこそが「事実」である。

「あるべき論」を語るな
「哲学」で相手を説得しようとする人がいる。「こうあるべきなのです」「こうでなくてはならないのです」といったセリフである。だが、これはコンサルタントが最も避けるべきやり方だ。

即戦力など存在しない
即戦力がいない以上、採用の決め手となるのは、その人の「のびしろ」ということになる。生き残れる人に必要なのは地頭の良さ、素直さ、努力家かどうか、打たれ強さ、運。

コンサルティングとは何か/まとめ

上記でも上げたように、コンサルティングとは何かを経験を踏まえて掘氏なりに定義している書籍で、非常に興味深く読み進めることのできる書籍だと思う。

個人的にコンサルティングに対する思いはかなり掘氏に近いものがあり、「知っていることを教える」のではなく、何が問題かを突き止め、その答えを”一緒に考え、答えに導き、成果をコミットする”のがコンサルタントの役目なのだと思っている。答えを提供するだけではやはりどうしても身に付きにくいのではないかと思う。

本物のコンサルタントは本当に少ない。

特に資格がいらずに名乗れてしまう”コンサルタント”という肩書。改めてしっかりと意味を考え、適切に使っていきたいものだと考えることができた。