ハカる考動学/感想

ハカる考動学
三谷宏治氏のハカる考動学を読みました。

皆が当たり前のことをやれなくなってきている。自分で考え、既存の情報をハカり直し、そこから新しい意味を見出すことが出来なくなってきている。だったら、その力をちゃんとつけようよ。「ハカる」力を持つだけで、人生や組織の運命は大きく変わるだろう。

こんな内容で始まる本書は、我々仕事柄「ハカる」ことについて取り組んでいる方々には結構基本的な内容が書かれている気がしますが、改めて「ハカる」ことについて再確認できる良書です。

また、普段から「ハカる」をあまり意識していない方々には、目からうろこの内容になっているかもしれませんよ。「ハカる」って本当にすごいんです!

ハカる考動学/レバレッジメモ

ヒトはあらゆるものをハカっている
あるときは自然に簡単に、そしてあるときは苦労してお金をかけて。特に商品やサービスの企画・導入、新ビジネスの創造においては、多くの場面で「ハカる」力が必要とされる。ゆえに「ハカる」力を鍛えることが、ビジネスや科学、そして人生でも大きなジャンプにつながるのだ。

「ハカる」とは
ハカるとはただ対象を数字にすることではない。共通の枠組み(軸、メモリ、組み合わせ)のもとでこそ意味がある。

ボトムアップ型ハカる
世に発想法はいろいろあるが、中核は「発見」と「探求」である。そして「発見」のための手段の一つが実は「ハカる」なのだ。何かを証明するためにハカるのではなく、とりあえずハカってみてから目を凝らして発見する。そこから仮説やアイデアを作っていく。そんなアプローチが「ボトムアップ型ハカる」だ。

読み取り方のコツはどんどんいろいろなグラフを書いてみること
軸を変え、目盛り方を変え、組み合わせを変えることだ。そのためにこそパソコンは存在する。決して1枚書いただけでウンウン悩まないこと。どんなグラフを書くか、紙と鉛筆で考え、パソコンを動かそう!そしてそこからまた考える!

ビジネスアイデアとは?
「95%の確率で正しいと言い切れること」だけを論ずるのが学問の世界なら、「10%の確率でしか正しくないかもしれないが凄く面白いことを見つけること」がビジネスアイデアの世界だ。

満足度調査に効く「ハカる」
組織というものは、公的であれ私的であれ、ある程度の顧客に対して商品やサービスを提供し、その対価をいただくものだ。だからまずその対象を明確化すること。そして、その対象顧客においての満足度のみを注視することだ。
その上で、

  1. 満足度が競合とどれほど違うのかをハカる
  2. その差が、どう自社の売上や収益に響くのかをハカる。

-この2つの組み合わせで、収益向上と満足度調査がはじめて結びつく。

平均値に意味は無い
指標も「5段階評価で平均3.7」といった「平均値」を用いず、どのレベルを何パーセントにするのか、という数値で示す。例えば「最高評価を5割にし、不満評価をゼロにする」といったふうにだ。これらによって、はじめて組織にとって価値のある満足度調査となろう。

コンサルティング会社で必要なもの
唯我独尊タイプでも口八丁の営業タイプでもない。一番大事な能力は、多くの異なった意見をもとに、新しい結論を導く「発展的議論力」だ。

新規事業での事前調査は外れやすい
可能なら、まずは小さく初めてみること。それが究極のハカる手段だ。

2つのアプローチで創造する
“過去の学びからの創造”と、”過去を切り離しての創造”がある。新しいハカり方を作る力を養おうと思うなら、まず取り組むべきは前者。身の回りにどんな「ハカる」が潜んでいるかを見つけ出して、徹底的に分析しよう。
その組み合わせのパターンを変え、パターンを破れば、そこに新しいハカり方がある。

何の役にもたたない”感覚”
ハカることの対極にある姿勢は「感覚的に重要要因を羅列すること」だ。例えば「売上が増えるには景気の好転と人口がもっと増えることが重要だ」なんてのがそうだ。内容的には正しいが、何の役にもたたない。
ハカる姿勢とは、重要な事柄に当たって、あいまいな表現を許さず、重要な要因を選び出し、それらがちゃんと因果関係にあることを示すことだ。

感覚から行動に落とす
感覚コメントやアンケート回答は、鵜呑みにしない。信じるのは行動だ。

セグメンテーションの重要性
混ぜたまま眺めていても、その裏に潜む「売れた理由」は見えてこない。逆に言えば、うまいわけ方(セグメンテーション)を見つければ、勝ったも同然だ。

頭を悩ませ、手を動かして「ハカる」ことではじめて分かる「曖昧な問題」に挑まなくては、人はこれからの問題に決して立ち向かえない。
 

ハカる考動学/まとめ

こうやって改めて書き出してみると、やはり本書は「ハカる」というものにかんして縁が無かった人でも興味を持つ事ができる良書なのだと思います。

アクセス解析やリスティング広告に根強く関わっている人たちは普段から「ハカる」に慣れてしまっているために少々物足りなさを感じてしまうかもしれませんが、改めて「ハカる」について考えさせられます。

やっぱり「ハカる」って凄いぞ!

ハカる考動学
ハカる考動学
posted with amazlet at 10.09.24
三谷 宏治
ディスカヴァー・トゥエンティワン
売り上げランキング: 6755
おすすめ度の平均: 4.5

4 新しい物が見えてくる目を作る方法
5 考動に情報を活かす
5 目からウロコですよ
4 アイデアに困った時、この本を開くこと良い。考えを拡げ、深める方法がある。
5 すべては「ハカる」ことからはじまる?

執筆/掲載記事

▲