リスティング広告の自動化が抱える3つの問題
先日書いた記事、今後3年間でリスティング広告の代理店や専門家の80%はアルゴリズムによって置き換えられます。が、想定以上に拡散されておりましてですね、個人的にはこの記事に突っかかって来られる方も少なからずいてこそ面白い議論になり得るのかなと思っておったのですけれども、未だにそんな様子は見受けられませんので、多少矛盾はするんだけれども自身でリスティング広告の自動化を批判してみようと思うのです。
確かに多くの広告主は数年以内に自動化への道を突き進むことは間違いない。ただし、すべての広告主が自動化を選択するような未来は絶対に来ないといっても過言ではない。少なくても現在のテクノロジーにおいては。
これらの根拠は大きく分ければ以下の3点が鍵を握っている。
- データボリューム
- 電話コンバージョン
- 予算
順に説明していこう。
データボリューム
自動化によってより成果を上げるには以前の記事(自動入札ツールは実際に効果的なのか?)でも書いたとおり、優れたリスティング広告プレイヤーが重要だ。また、もう1つ重要な箇所として、データボリュームがあげられる。比較的多くの予算を費やしている場合でも、月間で5件、10件のお申し込みがないような高額な商材を扱う場合などはそもそもデータボリュームを確保することが難しい。
こうなってしまうと自動化してスケールメリットを得ようとしても、そもそもアクションに繋げる為のデータというトリガーがあまりにも少ない状態になってしまうため、チューニングの精度は怪しいものになるだろう。
電話コンバージョン
緊急度が高いビジネスや悩み事に直結するようなビジネス、つまり、コールセンターが常設されているようなビジネスの場合、そもそものコンバージョンをデータ化して保持しておくことが難しい場合が多々ある。こうなってしまうと上記同様、やはり精度の高いチューニングを自動化によって行うことが難しくなるだろう。
予算
月に100万円以上のリスティング広告予算を持っているクライアントは決して多くはない。多くのリスティング広告ユーザーは月に1万円~5万円ほどの予算を有効活用しながら売上に直結させている。
例えば、僕は地方の焼肉店のリスティング広告なども支援しているし、その他の”皆が想像も出来ないようなスモールビジネス”も支援しているが、そういった方々がリスティング広告に使う予算は月に1万円ほどのケースがほとんどだ。
こういったクライアントではリスティング広告を自動化させるだけのコストを支払うこと自体が難しいし、ツールベンダー側でもそのような低額のクライアントを相手にはしにくいだろう。
このような場合にはGoogle AdWordsの自動化ルールなど、既存の自動化支援機能を利用することでコストの問題は回避できるが、今のところこういった自動化の機能はYahoo!プロモーション広告には導入されていないし、自動化ルールを効果的に利用するにはやはり優れたリスティング広告プレイヤーが必要だ。
※余談だがリスティング広告で最大の恩恵を受けているのはスモールビジネスでリスティング広告を有効活用している彼らだと断言してもいい。
まとめ
つまるところ、リスティング広告の自動化には一定上のデータボリュームが必須であり、ある程度の予算規模も必要になってくるのだ。現時点のテクノロジーではこれらの大きな問題をスムーズに解決することは難しい。
そして我らが治田塾長が指摘するように、”高度”な「プランニング力」と「分析力」はテクノロジーでは置き換えることは難しく(特に前者)、属人的な域を超える予定は今のところ無いとも言える。
Technologyによって置き換えられる部分ってのは所詮人間がやるべき仕事じゃない
とあるように、現在「単なる作業」を行なっているのであれば、間違いなく3年以内に沙汰されることだけは間違いないだろう。
今回のポストによって、すべてのクライアントのリスティング広告が自動化に向かうわけではないということを補足しておきたい。
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