検索は人間を退化させるのか?
僕はリスティング広告(ここでは検索連動型広告かも)という検索エンジンに関わる仕事をしているせいもあってか、検索エンジンの本質を常に捉えるような思考を持とうと意識してきたつもりだ。それはそれが例え邪悪なものであっても、なぜ邪悪なのか?なぜ邪悪ではないのか?湧き水の表面だけを掬うように上辺の綺麗事だけを取り繕うのではなく、物事を本質的に捉えることが遠回りのようで一番の近道であることをこれまでの経験上理解しているからだ。
先日、ふと思うところがあり、こんなことをfacebook上で呟いたところ、さまざまな人達に多くの反応を頂いた。
「検索」って便利なんだけど、長期的に見れば人間を衰退化させるんじゃないかなと時々思う。検索することでほとんどのケースで答えは出てしまうし、それがあまりに便利なもんだから自分で考えるのを止めてしまう…。
「自分で考える」っていうのは人間にとってかなり重要な部分で、これの繰り返し(仮説と検証?)で成長するんじゃないかなと思うんだよねぇ。実際のところどうなんでしょうか。
皆のコメントを参考にしていくうちに、僕は1つの結論にたどり着いた。結果的に言えば、検索エンジンは人間を進化させるのだと思う。
すべてのコメントを圧縮すると、さまざまな議論はあるものの、検索に限らずネット全般がそういったニ極端な側面を持っており、結局のところは使う側のバランスの問題だということ。長期的視野で捉えたら人類の新しいステージに進むだけであり、僕らはその渦中にいるのだということ。
実際に歴史を変えるような渦中にいるのだという部分ではSEOの辻さんが非常にわかりやすい表現でコメントしてくれている。
@semlabo 少し前に読みましたが、読書が広まった頃にソクラテス?はそれが人の思考力を衰退させると懸念していたそうです。口伝で考えて覚えるのを止めて、便利な文章に頼ってしまう事で効率は上がっても人間が衰える、という懸念ですね。
— 辻正浩 | Masahiro Tsujiさん (@tsuj) 2013年4月19日
ご存知の通り、本は僕たちにとってかけがえの無い情報収集の大上段にある重要なツールだ。出版技術の発展以来、人類は多くの知恵を加速度的に本の中に記憶し、人と人のコミュニティーを超えて知恵を共有して進化してきた。それは中世で最も重要な出来事の1つとされており、それは数百年経った現代でも変わることのない事実だろう。
ところが、ソクラテスはその千数百年も前に未だ衰えることのない書籍に懸念を抱いていたわけだ。となると、それは現代の検索も同じ状況なんじゃないかと思うと、僕たちは本当に凄い時代に生きてるんだねぇと若干感慨深いわけです。(僕たちの孫の孫のそのまた孫はこういうことで議論しているような僕等を鼻で笑うのかもしれないね。)
少し長くなってしまったけれど、これらを踏まえれば検索は人間を進化させる!が僕の回答だ。検索は人間を次のレイヤーに引き上げてくれるものなのかもしれない。
2013.04.24追記
@takanori1976さんに玉虫色の結論を頂きました。
参考:「検索」は”ヤンチャな辞書”であり続けて欲しい
僕も同意で、検索はヤンチャな辞書であり続けてほしいと思う反面、ヤンチャな部分はある程度コンテンツ連動型広告にまかせてもいいかもとも思ったり^^
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