間接効果のジレンマ

数年前のブログポストや、私のつぶやきなどから、私は極度の「アシストアレルギー」だと認識されているようで、どこにいってもそのような話題で取り上げられることが多い。

以前はサプライズ的に巨大スクリーンでその回のポストを取り上げられたこともある汗

中でもYahooリスティング広告のアシスト数ほど全く役に立たない指標はないのは多くの読者も理解してくれるだろうと思う。

あのアシスト数は意味がないのだよ、ムスカ君。

上図の例2を見てほしい。これがYahooリスティング広告のアシスト数の定義だ。キーワードBもキーワードCも同等の扱いを受けてしまうアシスト数なんてものはまったくの無意味である。

つまり、こんなアシスト数を当てにして最適化なんてできるわけがないのだ。こういったアシストを仮に利用するのであればだれかも言っていたと思うけど、”ちゃんと”見なければいけない。ちゃんと見ないのだったらまったく無視しなければ、読者諸君は混沌に陥ることになるだろう。

100歩譲ってこのアシスト数を利用して最適化できるとすれば、アシストが加算されたキーワードはできるだけ上位に表示してクリックさせるべき、という判断以外にたどり着くことはないだろう。運が良ければ”たまたま”コンバージョンが増えることもあるだろうしね。


”ちゃんと”見るには、さまざまなアクセス解析や効果測定ツールを利用することで、このアシストは明確に順番を付けたりすることができるし、上手くやればアシストごとの重みづけを付けることもできる。それを基にリスティング広告の調整を行い、次なる可能性を見つけ出すことだってできる。

ただし、これが本当に難しいからなかなかこの技術は進化しない。そして何よりも一番問題なのが、”正解がなく、よりベターな施策を模索し続けるしかない”のだ。

分析手法は多種多様。リアルアクセス解析の中でアトリビューションの評価モデルという素晴らしい評価モデルの例が書かれているので是非参考にしてほしい。

評価をするにもさまざまな要素が入り混じり、分析手法が複雑でなかなかこれだ!という特定が難しい。中でもリスティング広告は数十万のキーワードや数万の配信先から構成されるので、評価が細かく分散されてしまい、それを果たしてどのように評価するのがベストなのか?を模索し続けなければならないのだ。

これらが僕の中での間接効果のジレンマだ。

リスティング広告に間接効果を取り入れる場合の3つの注意点

では、これから間接効果を使ってリスティング広告を最適化する手法に取り組もうと考えている方に向けて、3つの注意点を書き出そう。仮に1つでも該当するようであれば、今は決断の時ではない。

環境を整える

先出でも取り上げたが、ちゃんと全ての情報を見れる環境を整えることが第一条件。一過性の情報しか取得できない状態ではそのアカウントに未来はないだろう。ユーザーはリスティング広告だけを見ているわけではないのをお忘れなく。

時間と予算に一定以上の余裕がある

第二に時間と予算に一定以上の余裕がない場合には取り組んではいけない。分析には多大な時間と手間を要するので、途中で投げ出してしまう可能性が高い。また、「予算がない=データの取得ができない」という状態になってしまうので、一定規模以上のデータが取得できるアカウントである必要がある。

十分な成果を上げている

第三に、もっとも重要なのは今の施策でも十分な成果を上げていることだ。従来までの評価方法であるラストクリック評価だけでも十分の獲得があり、目標値もクリアしている必要がある。リスティング広告での限界とまではいかないけど、やれることはすべてやっていて、次のフェーズでの獲得増加を検討しているときに、初めてこの間接効果を取り入れるといいだろう。

Fringe81のアトリビューションのメリットと課題と評価手法についてでも言っているが、従来のリスティング広告の評価指標であるラストクリック評価であっても十分効果改善できる。ただの新しいもの好き的な思考では絶対に成功できないので、必ず足元を固めてから取り組もう。

間接効果について取り組むことは、複雑で時間がかかり、困難な道が待っていることは間違いないが、仮にそれがFitした場合には、それ以上のものをもたらしてくれることは間違いない。

幸運を祈る。

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