これからのリスティング広告担当者はジェネラリストにならなければ生き残れない

私自身、それでも”検索”はなくならないし、Googleは”まだ”衰退しないとも書いたように、いたるところで「検索はなくならない」と言い続けてきているが、それは検索と入れ替わる価値のものがまだまだ存在していない為に言っているだけであって、仮に検索と入れ替わる価値のある何かが出てくれば、検索なんてものはなくなるに違いない。

こういうことを大きな声でいうからよく怒られもするが、真理なのだから仕方ない。だってそうでしょ?数十年前に”検索”なんてものは滅多に口にする機会なんてなかったはずだ。

個人的には検索が無くなろうが、無くならまいが、正直そんなことはどうでもいい。というのは言い過ぎだけど、時代がそういう流れなのであれば仕方がないとさえ思う。大事なのはそれまでに準備をしておけばいいだけだからね。

さて、いつも通り長い前置きをスルーして本題に入ると、表題通り、リスティング広告しか知らない担当者は何の役にも立たない時代がもう目と鼻の先まで来ている。

大変多くの反響を頂いた間接効果のジレンマでも書いたように、ラストクリックだけでは8割の成果しか出すことができないのだ。ではどうすればよいか?適切なアトリビューションの技術、知識を身に着け、実行することで次のフェーズを開拓することができるし、今後間違いなくこういった付加価値を持った担当者は重宝されるに違いない。統計や数学なんかに強い人はこれまでよりも更に有利になるはずだ。

更に、例えばWebアナリストとの兼務なんてものもどうだろう?リスティング広告で成果を出す為にアクセス解析は必須事項だし、セットで取り組むことでさまざまなサイトの問題点や集客の問題点も見えてくる。こうなればもはや、リスティング広告のイチ担当者の領域を凌駕することができ、付加価値が生まれる。

リスティング広告にアクセス解析を使うことは今までも言い続けてきているし、ここ数年は大分定着してきていることが喜ばしい限り。詳細は拙著のプロが教える Google Analytics 実践テクニックでご確認頂ければと思う。

もう一つはAPIだ。リスティング広告担当者で技術に詳しい人間は本当に少ないから上記2つよりも更なるステップアップが見込める。

2011年現在、人力でリスティング広告の最適化を行うことは間違いなく有効だ。しかし、自動入札以上のパフォーマンスを継続的に出し続けることができる担当者は数えるほどしかいないのではないだろうか。そんな彼らに頼むのも一つの手だとは思うが、リソースにも限界があることは忘れてはならない。

また、自動入札ツール自体のパフォーマンスにもまだまだ問題は多く、断言しても良いが海外のものも含め、私の知る限りでは人力を超えるものはない。

ただ、「成果はそこそこでいいから、自動で継続的なパフォーマンス」を求めるクライアントも多くなってきている事実も、真摯に受け止めなければならない。

APIを理解し、プラットフォームを作成、導入、またはさまざまなデータをマッシュアップして利用することで、新しい手法や環境を独自に用意することができる。そしてこれらは、リスティング広告の現場を知りながらにして提供者側に立つことができる可能性が高い。これは大きい。インターネットの勝者はいつでも提供者側だからね。

そして、自動化への流れは止まらないのも事実。Google自身が自動化を推奨するかのような機能、例えばコンバージョンオプティマイザーなどを提供し続けていること、これからも無料で提供するであろう事も忘れてはいけない。

全てをできる必要はないし、全てを知ろうとする必要もない。だけど、それでも誤解を恐れずに言えば、これからのリスティング広告担当者はジェネラリストにならなければ生き残れないだろう。

”生き残る”という言葉の定義については、各々で解釈して頂ければ、決して検索がなくなるとか、リスティング広告しか知らない担当者は終わった、などという単純なポストでないということは解ってもらえるはずだ。DSPで変わることにも書いてあるように、絶滅種になってしまってからではもう遅いのだよ、ムスカ君。

最後に一つだけ言わせてもらえば、一つの事に没頭して、そのことについて突き詰めていくと、その先には別の世界が見えてくるのは間違いない。その結果、ジェネラリストへの道が開けてくるのではないだろうかと、私は思います。

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