リスティング広告にアクセス解析を使うべき3つの理由
セミナーやワークショップなど、リアルでの機会が増えていますが、そこで必ずと言っていいほどする質問があります。
「リスティング広告にアクセス解析を使っていますか?」
遠慮して手を上げない人がいるとしても、経験上、8割ほどの方がアクセス解析を使っていないと答えます。こういった現状を踏まえると、危惧せざる負えない。勿論、広告代理店だとアクセス解析の権限をもらえないことだってあるし、それなりの規模のクライアントとなればこのあたりの権限に関してはかなりセンシティブに扱われます。だけれど、今のリスティング広告はアクセス解析を使わずして更なる高みを目指すのはほぼ不可能だ。
これまでにも幾度となく書いてきたけれど、今一度リスティング広告にアクセス解析を使うべき3つの理由を書き出そう。
リスティング広告にアクセス解析を使うべき3つの理由
- 間接効果
- ポテンシャルのあるキーワードを見つける
- 早期判断の材料
間接効果
リスティング広告の、キーワードの、配信先の”本当の価値”を測るためにもアクセス解析は必要不可欠だ。その為には間接効果を測る必要が出てくる。
例えば、Google アナリティクスのマルチチャネルで言えば以下のような形はよく見かけるコンバージョン経路の代表格だ。
・[有料検索_A]→[有料検索_B]→[有料検索_C]
このような形でコンバージョン経路が表示されている場合、リスティング広告(Yahoo!プロモーション広告、Google AdWords同様)の管理画面上では[有料検索_C]にのみコンバージョンが付加されてしまうのだ。
※有料検索が1つの種類で統一されている場合。
[有料検索_C]が刈取りを行ったのは事実だけれど、[有料検索_A]や[有料検索_B]の存在がなかったら果たして本当にコンバージョンしてくれたのだろうか?と誰でも容易に仮説立てすることが出来るだろう。
リスティング広告の管理画面上で、仮に[有料検索_A]や[有料検索_B]のCPA(獲得単価)がいちじるしく悪化していても、間接効果を観ずしてこれらのキーワードを停止してしまうには時期相応と言えるだろう。
こういった形の流れを把握できれば、余分な広告費の削減も早期に判断できるようになるし、実際に成果を生んでいるキーワードにより予算を割くことが出来るようになる。これにより、より正当な予算配分が可能となり、更なる成果を出すことが出来るようになるはずだ。
これらから、間接効果を観ずしてリスティング広告の成果をより明確に判断することは出来ない、と言えるだろう。
ポテンシャルのあるキーワードを見つける
上記で上げた間接効果の話にも近い話だが、アクセス解析を利用することでまだコンバージョンを生みはしていないが、これからその可能性があるであろうポテンシャルのあるキーワードを見つけることが可能だ。
例えば、コンバージョンを生んでいるユーザーの平均データをアクセス解析上で導き出す必要がある。
※2013年6月時点でアクセス解析で取れるようなデータ(訪問別平均ページビュー、訪問時の平均滞在時間、直帰率など)はリスティング広告管理画面上で把握することは出来ない。
※上記について記事の最後に追記あり
この図のように、コンバージョンしているユーザーの平均値が「訪問別平均ページビュー、10.01」「訪問時の平均滞在時間、00:04:58」だとしよう。事はそれほど難しい問題ではなく、このデータに近しく、コンバージョンしていないキーワードを導き出せばよいのだ。
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このように一端キーワードをエクセル上などに落とし込み、コンバージョンしているユーザーの平均値と照らし合わせ、下図のようにポテンシャルのあるキーワードを導き出そう。
※クリックで拡大
黄色に染めたものは無条件に入札を引き上げたりしても良いと言えるし、緑色に染めたもののように一定条件だけを満たすようなものはウォッチリストなどに入れておくと良いだろう。
非常に地味な作業に思われがちだけれど、リスティング広告は地道な努力の積み重ねでアカウントが仕上がっていくことを忘れてはいけない。
早期判断の材料
ABテストにどのくらいのクリック数が必要か?という疑問はいつまでも付きまとう問題のようだけれど、それほど難しく考える必要なんかないのだ。
統計的に言えば400クリック以上あることが望ましいとされているようだけれど、CPC(クリック単価)が1,000円を超えるような商材の場合、400クリックを待つことなんてほぼ不可能だし、そんなことを真顔で言ってしまうようなプレイヤーはいかがなものかと思う。
実際にはもっと少ないクリック数で仮説立てをすることは容易だ。その為にはやはりアクセス解析は必須だろう。
※クリックで拡大
Google アナリティクスとGoogle AdWordsをリンクさせていればGoogle アナリティクスの左メニューの[トラフィック]→[広告:AdWords]→[キャンペーン]→[セカンダリディメンション:広告のコンテンツ]からユーザーがクリックした広告文からのユーザーの動きを把握することが可能だ。勿論、リンクをさせなくてもパラメータ毎での確認も可能だからYahoo!プロモーション広告でも対応可能だ。
リスティング広告にアクセス解析を使うべき3つの理由:まとめ
ここで上げた以外にもリスティング広告にアクセス解析を使うべき理由はまだまだある。
所謂ビックキーワードと呼ばれるキーワードを上位表示すべきかどうか?なども上記で上げた方法で対応可能だし、これまでオーガニック検索でコンバージョンを生んでいたキーワードを拾うことだってできる。本当に多くのことが出来るし、その可能性は担当者の発想次第で無限だといってもいいくらい。
リスティング広告にアクセス解析を使わないということがどれほどのリスクを抱えているかをご理解いただけただろうか。
尚、今回紹介した手法は拙書の第7項、「さらなる最適化について」でも記載しているので、より詳しく知りたい方は再読してみてくださいませ。
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※Google AdWordsのサーチファンネルについて
「間接効果」の箇所でGoogle アナリティクスのマルチチャネルを紹介したけれど、Google AdWordsにはサーチファンネルというGoogle AdWordsの検索連動型広告のみの指標を遡ってみることが出来る機能も存在している。
しかし、USなら兎も角、未だYahoo色が強く残る日本ではサーチファンネルだけで間接効果の判断を行うことは非常に危険だ。ユーザーはGoogle AdWordsの検索連動型広告だけを通って購買行動を起こすわけではないということを考えれば、マルチチャネルに軍配が上がってしまうのは当然で、中々利用されることはない機能の1つだ。
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追記
「アクセス解析で取れるようなデータ(訪問別平均ページビュー、訪問時の平均滞在時間、直帰率など)はリスティング広告管理画面上で把握することは出来ない。」と記載しましたが、Google AdWordsではどうやらGoogle AdWordsの管理画面上にGoogle AdWordsのデータを反映することが出来るようになっているようです。
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