分析力を武器とする企業 強さを支える新しい戦略の科学/感想


分析に関する書籍という事で早速購入。有名企業や分析力を武器としている企業はどのように分析力を社内に浸透させ、成功へ導いていくのかを事例を交えながら具体的に書き出している良書です。

ただし、多くの日本企業では導入すること自体が難しい事例も多いので、噛み砕いて必要な箇所だけを少しずつ参考にしていきながら読み進めると、非常に参考になると思います。

分析力を武器とする企業 強さを支える新しい戦略の科学/レバレッジメモ

誰もが予想するようなことや誰にでもできるようなことから利益を上げるのは難しい
合理的な人間はそういうチャンスを見逃さず、既にうまいこと手を打っている

ビジョンと分析は相矛盾するものではない
ちまちまとデータ分析する経営者なぞより大胆なビジョンを掲げる経営者の方が魅力敵にだと考えるのは、ダイエットも運動もせずに痩せようとするようなものである。

分析力を武器とする企業とは?
独自技術を編み出してもあっという間に真似されるし、製品やサービスでイノベーションを創出するのは以前よりはるかに難しくなっている。となれば、競争の決め手として残っているのは、結局は一つひとつの業務プロセスを最高の効率と効果で実行すること、あるいは最適の意思決定を効率よく下すことしかない。まさにそれを実践しているのが、本書の主役「分析力を武器とする企業」である。こうした企業は分析力を駆使して、業務プロセスあるいは意思決定が生み出す価値を最大化する。

勝利の上にあぐらをかいていては明日はない
データを活用するチームが増えれば増えるほど、分析力に一段と磨きをかけ、チームにとって意味のあるデータを突き止めたり、データの精度を上げたり、といった努力をしないと優位に立てなくなる。

顧客を知る
店のスタッフはもっとお客様と話をするべき。そして、お客様のライフスタイルをよく理解してほしい。そうした背景がわかれば、よりフィットする商品やサービスを提案できる。また、ニーズというものは地域によってずいぶん違う。地元固有のニーズを把握し、仮説を立て、実験し、検証して対応していくよう、社員を指導する。

データの山から宝を掘り出せるようになるまでには…
私達の調査した限りでは、分析力の開発に着手してからそれが武器になるまで、つまりデータの山から宝を掘り出せるようになるまでには、1年半から3年はかかるのが普通である。本気で取り組まない企業や他に優先事項を抱えている企業の場合には、もっとかかるだろう。

分析力≠技術力
経営者が常にデータを重視し分析的名取り組みを主導しないかぎり、ステップアップは望めないことを、肝に銘じよう。

明確な戦略が必要である
企業が組織的に分析力を身に付けるためには、どのデータにフォーカスするか、どこにリソースを配分するか、そもそもデータ分析で何をしたいのか、明確な戦略が必要である。

分析力を武器にするまで、目標達成までの3つのアドバイス
分析力を武器にするまでの道のりは、決して平坦ではない。もともと懐疑的だった経営幹部は、気分が悪くなってくると、分析への投資をあっさりほかに振り向けてしまうかもしれない。

また、データ重視・分析重視の考え方が社内に浸透するまでには時間がかかるし、スキル開発にもある程度の時間は必要だ。社員の考え方が変わらないと分析力は育たないが、すぐに成果が現れないとなると、モチベーションは保ちにくいものである。したがって分析戦略の指揮を執る幹部や担当チームは、ロードマップかた逸脱しないよう常に注意を払い、進み具合を見守り、着実に結果を出していく事が求められる。

どのステージでも大切なのは、進歩状況を確認すること、優先順位を適切に定めること、そして陥りやすい罠を避けることである。

経営幹部はかくあるべし
第一に、分析力を武器にしようと思ったら、幹部自身が事実の重みを大切にし、データを重視しなければならない。自分が信じていないことで部下をその気にさせることはできないのである。

第二に、経営チームは統計分析の手法やツールをある程度は理解し評価できることが望ましい。何もエキスパートでなくてもよいが、それぞれのツールにはどんな特徴があり、どの問題にはどのツールが適切化くらいは知っておくべきだ。

第三に、これは非常に重要なことだが、経営チームは分析結果に基づいて行動する意思を持っていなければならない。いくら立派なシステムが運用され、信頼できる分析結果が出されても、何もしないなら意味が無い。

ダグ・ヒューズ
企業には、どんなキャンペーンを打つときでも、広告と分析はセットで必要だと考えて欲しいね。そうでないと、広告予算を無駄に使うことになる。

エドワーズ・デミング
神ならば信じよう。神でない人はデータを持ってきなさい。

業務改善を目指す企業は分析力に投資すべし

分析力を武器とする企業 強さを支える新しい戦略の科学/まとめ

“分析力を武器にするまで、目標達成までの3つのアドバイス”なんかはアクセス解析を導入する際や、武器にするまでの流れと同じですよね。分析力は一日にして成らず。導入や活用が早ければ早いほど、今後の展開の大きな武器になると思います。

アクセス解析の導入で立ち止まっている方々、活用で立ち止まっている方々には非常に興味深い内容になっていると思いますので、一読をお薦めしたいと思います。

尚、本書は内容がぎっしりとつまっているため、中盤に出てくる事例などは飛ばし読みしながら、著者の思考などをメインで追いながら読み進めていくと、無理なくスムーズに吸収できると思います。

分析力を武器とする企業 強さを支える新しい戦略の科学
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5 読みやすい!
4 分析を武器にするためには意識改革が必要
3 企業における分析力がわかる
2 分析力を武器とする企業マニュアル
4 見える化を発展

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