プランB 破壊的イノベーションの戦略/感想


ビジネスに限らず、どんな取り組みでも初期に仮説を立てることは非常に重要なのではないだろうかと思うし、仮説を立て続ける人は例外なく強い。

しかしながら、以前に仮説ドリブンでリスティング広告を成功に導く方法という記事でも書いた通り、”初期に立てた仮説は必ず外れる”。そして、初期のプラン(仮説)を立てることと同等に、そのプランを実行した後の行動も非常に大事なのではないだろうかと僕は思う。

初期のプランから現実を見つめ直し、さまざまなデータの乖離を分析し、その乖離を埋めるためにどのような対策をとるのか、それこそが本書でぎっしりと紹介されている”プランB”である。

題名でわかるとおり、プランAだけで成功する企業は少なく、プランB、はたまたプランZと、何度もブラッシュアップを繰り返す企業が成功するのであるといい、本書では多くの事例を交えて紹介している。

プランB 破壊的イノベーションの戦略/レバレッジメモ

真の男とガキの違い
プランAが失敗したときの行動にある。この本で取り上げる起業家やビジョナリーは、そこで傷をなめて立ち直り、新たに身に着けた洞察力を武器に、もっと大きなビジネスへと転じる。

アイデアはまったく新しいものでなくてもいい
まず必要なのは、追求したいと思うようなアイデア。これならうまくいくと思った解決策によって、誰かの痛みや、客の抱えている問題を解決するようなものが一番いいアイデアだ。他にも良いアイデアには、とても退屈な顧客の生活に何かをもたらし、顧客に喜びをもたらす素晴らしい思いつきから生まれるものもある。

詳細なビジネスプランが障害となる
細かい計画は重大な問題から目をそらし、最優先事項への焦点を鈍らせる。どのような形にビジネスが落ち着くかわからないときには、どんな支出予定も机上の空論に過ぎない。

キショーレ・ビヤニ
市場の要望を何か月も前に予測するのではなく、それにその場で答えることだ。これが勝者と敗者を分けるカギとなる差別化要因だ。これで必要な運転資金を減らし、資本収益率を改善できる。

ピカソの格言
そこそこのアーティストはコピーし、偉大なアーティストは盗む。私たちは前から偉大なアイデアを盗むことを恥ずかしいとは思っていなかった。

プランB 破壊的イノベーションの戦略/まとめ

本書は書者たちがこれまでさまざまなビジネスプランを見てきた経験に基づいており、最初のプランはほとんどがモノにならない、というものだ。

TOYOTA、Amazon、Google、Apple、eBayなどの誰もが知る事例から、インド、アフリカなど、あまり知られていない企業などの事例を集め、それを紹介しているのが本書ではあるのだけれど、ビジネス書をある程度読んでいたり、情報収集に常にアンテナを張っている人には必要のない書籍にもなる可能性もあると思う。

ただの事例集といえばそれまでだけど、これからビジネスプランを考えていこうと思っている人たちには何かしらのきっかけを与えてくれるはずだ。個人的にもいくつか気になる事例もあったし、参考にする部分もあった。※びっくりするくらいの内容はなかったけれども。。。

前述のとおり、”最初のプランはほとんどがモノにならない”という過激な内容もあるけれど、最後はノルマンディ上陸作戦で活躍したドワイト・D・アイゼンハワーの言葉で締めたいと思う。

計画は役立たずだが、計画は不可欠だ。

これはこのブログでも何度も出てくる、リスティング広告におけるアカウント設計と同様の考え方なのかもしれない。

“初期に立てた仮説は必ず外れる”、だけれど、仮設ないアカウントなんて死んだも同然で改善の余地すら存在しない。「とりあえずやってみよう!」では大きな成果を生むことは無い。

何かしらのビジネスに深く関わっているのであれば、いくつかは面白い事例がみられるかもしれないし、経営者であればキャッシュフローの大事さが身に染みて伝わってくる書籍だと思う。

プランB 破壊的イノベーションの戦略
ジョン・マリンズ ランディ・コミサー
文藝春秋
売り上げランキング: 5882

執筆/掲載記事

▲