リマーケティングの”今”と近しい”未来”


自分が一度訪問したサイトや何かしらで接点を持った企業やサービスの広告やTVCMなどを見かけると、「おっ!」とした気づきがありませんか?

もしかするとこの1年半くらいの間でこんな経験を頻繁に感じたことがある、なんて方も非常に多いのかもしれません。少なくても僕の周りではそんな人たちで溢れかえっています。

それがインターネット上での体験であるのならば、それはGoogle AdWordsが昨年(USのGoogleでは確か2010年3月25日の正式リリースだったかと…)より提供しているリマーケティングという機能である可能性が高いかもしれません。

ディスプレイネットワークの変化

鋭い視点と本質を突いた記事、そしてバラエティーに富んだユニークな内容が特徴である僕の大好きなブログ、admarketech.の中で節度あるリマーケティングのためにすべき3つのことという素晴らしいポストが上がりました。

リマーケティングについての詳細なロジックは中身を見ていただければ概ね理解していただけると思いますが、問題はこの内容にある以下の文章です。

広告を出稿する企業がみんなこぞってリマーケティングをやることによって、ユーザーによっては広告枠に過去の訪問履歴が並ぶだけ、ということになっている可能性があり、そうなった場合、バナーへの反応が落ちたり、「またこの会社か…」という反応を生んだりします。テレビでも、同じ広告ばっかり見ていたら、しかもその広告が別に好きなクリエイティブじゃなければ、うんざりしますよね。

これだけリマーケティングが普及してくると、先述のエコシステムのバランスにも何かしらの影響があると思います。リマーケティングの掲載率が上がっているということは、そのぶんコンテンツターゲットやプレースメントターゲットの掲載率が下がっているということですし、リマーケティングがそれぞれの枠に掲載するために必要な広告ランクを引き上げているわけですから、相対的にリマーケティングよりクリック率の低いコンテンツターゲットやプレースメントターゲットに求められるCPCは上がってしまいます。最近コンテンツターゲットの成果が下がってきているなんてこと、ありませんか?

これまでコンテンツターゲットやプレースメントターゲットを上手に操っていたGoogle AdWordsのスペシャルなプレイヤーたちは、今年に入り大分苦戦を強いられるケースが増加しています。具体的な時期は伏せますが、大きな仕様変更ではない部分でこれらの手法が通用しにくくなっている傾向が、データ上で明らかに確認できているケースが多いように感じます。

これが果たして悪いことなのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。リマーケティングにより興味関心が高まる広告が増加すればクリック率が高まり、多くのトラフィックを獲得することができるようになるでしょう。それにより企業側はコンバージョン数が増加し、事業者側も多くの利益を得ることができるようになります。

ここまでは非常に良いことのように思います。ただし、あなたが訪れる先、訪れる先で、同じ企業の広告しかみることがなくなったらどうでしょうか?バラエティーに富んだトンデモな広告を見かけることもなく、新しい発見をする機会すら知らず知らずに失っていくとしたら…?

Google AdWordsのリマーケティングはcookieによって紐づけて配信されるため、cookieを削除することでリマーケティングのリストから外れることができますが、あなたのお母さんやお姉さん、弟がcookieを頻繁に削除するなんてことがあるなんて考えられませんよね。

インターネット広告から物を購入したり何かしらのアクションを行う、そして私たちがターゲットとしているのは、多くの場合で私たちのようなインターネットを日常的に利用している人間ではないと思うのです。

そんな人たちがインターネット上の広告に嫌悪感や憎悪を感じるようになってしまったら…。

リマーケティングについて考えてみよう


今の地球の素晴らしい環境を支えているのは、植物の力なのはあまり知られていません。植物が光合成を行ない、光(太陽エネルギー)と水や土(無機物)から、葉や実などの「有機物」を作り出すことで、あらゆる動物は食物を得ることができるのです。これがいわゆる地球のエコシステムです。
※ 私たちが受けている環境の恩恵 – WWFより

今、ディスプレイネットワークのエコシステムが崩れかけているように思えてなりません。

進化による変化は世の常です。ただし、明らかに良い方向ではない方へ矢印が指し示しているのであれば、それは私たち自身が意識を持って変えていく必要があると思うのです。

既に気づいている方も、そうでない方も、真剣にリマーケティングの”節度”について考えていかなければならない時期なのではないかと思います。勿論、当事者である僕ら自身が率先して。

また、既存のGoogle AdWordsのリマーケティングを最適化するにはさまざまな手法があります。それはこのブログでも徐々に、そして詳細に紹介していこうと思っていますが、前述のブログ内で節度あるリマーケティングの3つの設定としても取り上げられています。(必読です。)

リマーケティング、次の時代へ

解っていてもやめられない。例えは良くないかもしれませんが、リマーケティングはドラッグなどと同じなのかもしれません。

ところが、それに解決策をもたらすであろう、素晴らしい取り組みが先週公開されたデクワス. ADです。

デクワス. ADは従来のGoogleの広告配信では不可能だった、既存ユーザー1人ひとりに対して商材単位で最適化された広告を配信ユーザーの興味関心度を自動で予測し、最適な広告を配信することができる配信プラットフォームで、更には既存のGoogle AdWordsの管理画面から運用が可能となります。

デクワス. ADにはその他にもユーザーの行動履歴を分析し、興味関心度に合わせて広告を配信するコミュニテーターゲティング広告など提供しています。

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ここで紹介したデクワス. ADのほかにも、iogous*markなども含め、これらはリマーケティングの”今”を”未来”へ繋ぐ取り組みなのかもしれません。

リマーケティングの”今”と近しい”未来”/まとめ

このポストにより数か月間溜め込んでいたものを吐き出せた気がします。

長々と書いてしましたが、最後は岡田さんの言葉を使わせて頂き、締めさせて頂きたいと思います。

リマーケティングという手法に罪はなく、ユーザーが「枯れ」ないようにオプティマイズを繰り返していくことが、結果的に広告主にとって、媒体(メディア)にとって、そしてユーザーにとって有益な世界につながっていくのではないでしょうか。

どんなビジネスでも節度とモラルが重要なのではないでしょうか。

目先の利益も重要ですが、それだけではいけない事は、もうみんな気づいているはずです。

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