スマートフォンリスティング広告の地域セグメントはなぜ正確に配信されないのか?の詳細


「スマートフォンでのリスティング広告ってほんとうに地域限定配信行えるの?」もしくは、「モバイルリスティング広告の地域限定配信は何で行えないの?」なんて思ったことはありませんか?

時には「地域設定している地域にいるにも関わらず、スマートフォンで確認してもリスティング広告が配信されていない!」なんてこともあるかもしれません。

スマートフォン(タブレッドなども含む)では、通常のモバイルリスティング広告よりも地域セグメントの精度が高くなる、ということは以前にもハイエンド端末の地域ターゲティングを有効的に活用しようスマートフォンのリスティング広告対策で覚えておきたい5つの事でも書き出した通りです。

しかし、厳密にリスティング広告の地域セグメントを説明できる人は多くはありません。

ではスマートフォンのリスティング広告の地域セグメントはどのような仕組みで行われているのでしょうか?これはGoogle AdWordsのヘルプを見ても非常に分かりにくいのが現状です。

参照:フル インターネット ブラウザ搭載の携帯端末-キーワード ターゲット広告を表示する地域の判定方法

端末の位置: ユーザーが現在地情報を有効にして検索を行った場合は、そのユーザーの詳細な位置情報を取得できます。端末の位置情報は、次に示すさまざまな情報の中から最も精度の高いものを使用して判断します。

GPS: 精度は GPS シグナルと接続状況に左右されます。

WiFi: 精度は通常の WiFi ルーターのアクセス範囲とほぼ同じです。

Google のセル ID(基地局)位置データベース: WiFi または GPS がない場合に使用されます。精度は地域内の基地局の数と利用可能なデータに依存します。端末によってはセル ID 位置測位をサポートしていないものもあります。Google では、セル ID や WiFi の位置情報をすべて把握しているわけではありません。位置情報に基づいたサービスの使用が拡大するなか、サービス範囲と精度を向上させるよう今後とも努力して参ります。

Google マップの表示領域: モバイル Google マップに表示される広告については、マップの位置情報を使用する場合があります。

IP アドレス: ユーザーが WiFi ネットワークに接続している場合は、IP アドレスからユーザーの所在地を特定できる場合があります。ユーザーが携帯電話会社のプロキシ サーバーに接続している場合は、その会社の IP からユーザーの国を特定します。

クエリの履歴による位置情報: ユーザーが行った過去数件のクエリから位置情報を取得し、ユーザーのおおよその所在地を推定して関連性の高い広告を掲載します。

ちょっとわかりにくいですよね。要約すると、GPS情報、WiFi情報、GoogleのセルID、IPアドレス、クエリの履歴などを参照し、位置情報を特定すると記載されていますが、砕けて言えば地域セグメントが行えるのはIPアドレスが判別できるWiFiに接続している場合のみで、3G回線(携帯電話の通信ネットワーク)で接続された場合に上記の核となるデータが含まれない場合には地域セグメントが機能することはありません。

更に、これが改善することもほぼ不可能なのではないかと言われています。日本の3G回線はNTTドコモとソフトバンクモバイルが採用しているW-CDMA、もうひとつがau(KDDI)が採用しているCDMA2000という2つの形式がありますが、回線の形式が地域セグメントを難しくしているのではなく、形式を問わず端末に振られるIPアドレスがあまりに動的過ぎて判断が出来無い、というのが理由なんだと思います。

※あくまで「IPアドレス」を主軸に考えた場合ですからね。

※Googleのエンジニアと話したのではないので100%この理由によってセグメントできない仕様になっている、というのは定かではないですが、仕組み上こんなところだと思います。(投資対効果の視点で改善しない、という線もなくはないかもしれませんけども。)

少し詳細を説明しますと、IPアドレスには逆引きという機能を使ってIPを示す文字列を取得できます。

(例)
IP:122.22.251.209

文字列:p3209-ipbfp401yosemiya.okinawa.ocn.ne.jp
(この文字列を”ホスト名”と言います)

これを見ると、沖縄のOCNだなってのが分かると思うんです。ただし、3G回線になるとそういう割り振り方はしておらず以下のようなものが多いです。

IP:182.249.240.222

文字列:KD182249240222.au-net.ne.jp

こうなってしまうと何も分からないので別のアプローチで探るしかなく、その方法はある程度の蓄積とデータ分析が必要となります。

となると、契約数が増え続けて、かつ動的にIPを振られすぎてしまうとそもそも分かりようがなく、キャリアがデータを公開してくれない限りはGoogleやYahoo側では判断が難しい状況となります。

その為、こういう状況下では改善が難しい、という話になるのかと思います。こうなってしまうとあとはCookieで紐付けるとか、クエリの履歴などで紐付けるとか、Wifi経由ならプロバイダの発行するホスト名で分かるとか、そういうやり方になる次第ですね。

最後はちょっとした豆知識的な形になってしまいましたが、スマートフォンリスティング広告の地域セグメントがかかるのは上記で書き出した前提条件が含まれた時と、WiFiに接続してアクセスしてきた場合のみとなり、3G回線”だけ”の情報では地域セグメントをかけることはできません、というお話しでした。

まぁ、何が言いたいかというと、どんなことでもそうなんですけど、物事ってのは何となく断片的に理解するのではなくて、根本から理解することで新しい発想や解決策がうまれる、ということですね。

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理屈で言えばこんな感じ、という形で書き出した記事なので、ここが違うぞ、という箇所があればコメント頂けると大変ありがたいです。

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ちなみに、ここで書き出した情報はあくまで表上に出ているものから推測して書き出しています。うちで取得しているデータで「こういうのもとってるな」「項目の優先度も加味しているな」というものも実際にはいくつかありますが、ここではシェアしません。

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