降りかかる問題は選べないが、問題に向かう態度は選べる 。ライフ・イズ・ベジタブル―オイシックス創業で学んだ仕事に夢中になる8つのヒント/感想
仕事をしていると、こちらの都合とまったく関係なく問題が次々と降りかかってくる。問題を選ぶことはできないが、問題を解く態度は100パーセント自分たちで決めることができる。どうせなら楽しみながら問題を解いて、明るい日々を送りたいし、きっとその方が上手に問題を解くことができると思う。
このフレーズに大きく共感したのが本書を手に取ったきっかけでした
そんな見出しで始まる本書は、食品販売・食生活サポートを行うオイシックス株式会社の代表取締役社長、高島 宏平氏が手掛ける初めての書籍で、「売れない・買えない・お金ない」という壮絶な創業期を乗り越え、現在で利用者は75万人を超える大きな組織へと発展を遂げるまでの軌跡が具体的に、時には生々しく描かれた書籍です。
本書の特徴的なところは「成功物語本」ではないと筆者は言いきります。その代り、どう一生懸命頑張ってきたか、どうしたら一生懸命になりやすいかが描かれている「夢中物語本」であると。ふむふむ。未だ夢の途中ということですね。わかります。
読み進めるうちに筆者の言うとおり、オイシックスは未だ夢半ばであり、未だ発展途上であることを強く印象付けられます。
有機野菜の宅配サービスを1度でも検討した経験がおありの方であれば、オイシックスとらでぃっしゅぼーやは比較してしまったこともあるだろうと思うのですけども、斯く言う私も実際に数年前に双方のサンプルを申し込んで、さまざまな観点かららでぃっしゅぼーやの会員になった経緯があります。
そこでちょっと調べてみるとオイシックスが会員75万人(2012/3:詳細)、らでぃっしゅぼーやが会員10万人超(2012/2:詳細)と、結構な差があることは今回調べてみて初めて解りました。
ということは、紛れもなくオイシックスはこの分野でのNo.1企業なのだ。一つの分野でのNo.1企業が未だ発展途上とはなかなかではないか。
本書の中ではオイシックス創業の経緯や、これまであった数多くの困難、幾度となく訪れる倒産の危機、また、それをどのようにして乗り越え、改善し、今の地位になることが出来たのかなどの経験談が満載で、281ページにも上る大作にも関わらず、一気に読み進めてしまうほどに面白い書籍ではないかと思いますよ。
ライフ・イズ・ベジタブル/レバレッジメモ
チーム全体が背伸びすることでチームが成長する。
「今の自分たちの実力では、ちょっと難しい」と思うことにあえて挑戦する。
チャレンジに一番大切なことは「仲間づくり」
将来企業を目指す学生さんに「起業を成功させるために学生のうちにやっておくべきことはなんでしょうか?」と聞かれる際に、私は迷わず「仲間づくり」と答えている。
「何からやったらいいのか分からない」という状況のときに、何から手を付けるか?
目の前の状況を俯瞰して、解くべき問題を明確に設定し、その問題を細分化して小さな問題にしていく。つまり、目の前にある大問題を、小問題にするのである。大きな問題と小さな問題では解きやすさが違う。小問題に分ける事によって、何が分からないか、分かるために何をすればいいかが考えられるようになるのである。
コンサルタントとしての正しいあり方
何かの問題に向き合うとき、まずアイディアを思いついてしまう。数字などの現状を見て仮説を立てなければいけないのに、その前に結論のアイディアが浮かんでしまうのは、コンサルタントの姿としては正しくない。ロジカルに思考を進めたうえでアイディアを出すのが、コンサルタントの正しいあり方なのである。
素朴な疑問
起業後もビジネスを進化させていくためには、常に、生活者の視点での「素朴な疑問」を持ち続ける努力が必要である。
トラブルをただの「つらい出来事」にするか、「充実した体験」にするか
トラブルが発生したとき、特にその当事者は、責任を感じて落ち込んでしまいがちだ。だが、当事者が落ち込もうとどうしようと、結局のところ、問題を解決しないことには先に進めない。それなら、まず解決することに集中して、そのあと、原因の追究と再発の防止について考えればいい。特に大きな問題の場合は、問題を一刻でも早く解かないと致命的になることもあるからだ。一刻も早く解くためには、当事者が最大限の力を発揮しなければならない。そのためには、つらいつらいと思いながら解くよりは、楽しく解いた方がより良い解決方法を見つけられるのではないか。トラブルをただの「つらい出来事」にするか、「充実した体験」にするかは自分たちが選ぶ態度によって決まってくる。
収益を上げることの重要性
基本的に、世の中に対して良いことをしようと思ったら、サステイナブルでなければならない。それには、きちんと収益を上げる必要がある。
ライフ・イズ・ベジタブル/まとめ
こうやって本書のレバレッジメモを記載していくと、この書籍は単なるオイシックス創業物語というものだけではなく(勿論その視点で読み進めても十分楽しい!)、かつてマッキンゼー・アンド・カンパニーに所属した高島氏の問題解決法や思考方法を列挙した書籍といっても過言ではないのではないか?と気づきます。
ロジカル思考でアイディアを出す、分析から解決方法を導き出すなど、問題解決としても良い刺激を受けることは間違いないでしょうし、レバレッジメモでは多くは記載しませんでしたがベンチャー創業時のチームの作り方、従業員との接し方などは経営者としての高島氏の姿勢から多くの学びがあるはずです。
個人的にも非常に学びが多く、素敵な書籍に巡り合えたことを嬉しく思います。
#
本書を読むことでこれまでサイト内だけでは見えなかったオイシックスの中身が垣間見えました。その代表的な1つがオイシックスのルールにある、「生産者が安心して自分の子どもに食べさせられる食材をお届けする」というものです。こんなに”思い”ある会社だとは正直思わなかったなぁ。書籍なので多少盛っている(本書内で多少話を盛っていると宣言されてます)としても、読み終わった後はオイシックスを贔屓せざるをえません。さぁて、乗り換えるかな。
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 358
最近の記事
- 今、付き合っている運用型広告代理店は大丈夫なのか、今後どのように運用型広告代理店を選定しどのように付き合うべきなのか、を見極める術2016年09月28日
- 経営の力2016年03月11日
- 当たり前のことを当たり前にこなす人は総じて「当たり前のレベル」が高い2016年03月07日
- これから独立する君へ知っておいてほしい15のこと2016年02月10日
- 2015年に読んだけど紹介しなかった良書13選2016年01月18日