仮説ドリブンでリスティング広告を成功に導く方法


リスティング広告は、だれもが常に失敗する可能性を抱えている。しかし、将来のリスクをできるだけ予測し、成功の確率をあげる工夫はできると僕は考えている。

その手法の一つとして、仮説ドリブンでリスティング広告を成功に導く方法を紹介したい。

仮説ドリブンとは

仮説ドリブンとは仮説ありきの考え方といった意味でとらえてもらえれば良いだろう。全てのものを仮説ありきで考え、積み重ねていくことが重要だ。

そして大切なことは、当初組み立てた成功への仮説のどこがずれたのかをいち早く発見し、改善することにある。

たとえそのアカウントが一定の目安を超えて成功を収めつつあった場合でも、当初の仮説との乖離をシビアに分析、検証することで、当初の仮説の判断の間違いを発見することができる。仮説が当初のまま完璧にフィットすることなどありえない。

仮説ドリブンを実行しよう

検索連動型広告の場合

例えば、「ロレックスを購入する人」にアプローチする場合のことを仮説ドリブンで考えてみよう。

まずは検索連動型広告からだ。

「ロレックスを購入する人」は、直接検索エンジンに直接検索クエリを入力することを過程する。一体、どんな検索クエリを入力するのだろうかを徹底的に考える、そして何よりもアウトプットしていくことが重要だ。

その検索クエリは「ロレックス 通販」のように、如実に商品購入の意思を表すような具体的なものだったり、少し遠ざかったような「高級腕時計 通販」といったような検索クエリかもしれない。

検索連動型広告のキーワードの洗い出しでは、こういった形で対象とするユーザーをペルソナ的に作り上げ、検索エンジンを利用する際の状況を思い浮かべながら、そのユーザーが利用するであろう検索クエリを網羅的に洗い出すことが重要だ。

ただし、「ロレックスを購入する人」はインターネットを利用する際に検索エンジンだけを相手にしているわけではないはずだ。

Google AdWords、ディスプレイネットワークの場合

インターネットユーザーは、検索に費やしている時間はほんの数%しかないと言われており、残りの時間は各種サイトの「閲覧」に時間を割り当てている。

参照:検索連動型広告って本当に効果があるの? 利用するうえで知っておきたい大前提-MarkeZine

そこで、検索エンジンとはいったん離れ、「ロレックスを購入する人」がどういったサイトを訪問しているのかを仮説ドリブンでみていこう。

※あくまで一例

「ロレックスを購入する人」は、上記のように「ロレックスの歴史」について関連性の高いサイトを訪問している場合が考えられる。

また、「ロレックスを購入する人」はこの商品に直結する関連性の高いサイトだけを訪れているわけでもないはずだ。そうなれば、上図でも上げているように「ワイン」について関心度が高い傾向があるかもしれないし、関心は「高級車」なのかもしれない。

ここまで導き出せれば、ある程度ユーザー層が具体化してくるだろう。引き続き多くの仮説を組み立てることでさまざまな可能性を生み出すことができるようになる。

ここで洗い出したものは検索連動型広告で入札しても中々コンバージョンには結びつきにくい。そこで、こういった仮説の中で関連性があるであろうサイトを閲覧しているユーザーに広告を届けることができるのが、Google AdWordsのディスプレイネットワークだ。ディスプレイネットワークを利用することで、ユーザーが関心を持っているであろうサイトへの配信が的確に可能になる。

検索だけを意識している場合、可能性はかなり制限されている。インターネット上の全てを意識した場合、その可能性は無限大だ。

このように、検索連動型広告は対象のユーザー層がどういった検索クエリを網羅的に洗い出すことが重要であり、ディスプレイネットワークでは対象のユーザー層がどういった行動をとっているのかにフォーカスすることが重要なのだ。

こんな風に仮説ドリブンによってさまざまなアプローチ手法を見つけることができれば、あとは行動あるのみである。

なぜ”仮説ドリブン”が大事なのか?

上記で上げた例はあくまで仮説の段階に過ぎない。

しかし、なぜ”仮説”が大事なのか?それは以前にも紹介しているが、エンリコ・フェルミが提唱したように、仮説を立てる、立て続けるには意味がある。

実験には2つの結果がある。もし結果が仮説を確認したなら、君は何かを計測したことになる。もし結果が仮説に反していたら、君は何かを発見したことになる。

つまり、仮説は立て続けることにより、必ず仮説の精度が上がるのだ。失敗から学ばない人間などいない。(注意:稀にいる)

問題は、仮説を立てることをめんどくさがってしまうということに他ならない。これを解消するには仮説立てすることを習慣化する必要がある。

全ての物事を仮説立て、検証し、その仮説と現実との乖離を少しずつなくしていくことができれば、あなたの仮説ドリブンは徐々にではあるが、精度の高いものに仕上がっていくことは間違いない。

これに関して、私は初期設定の大事さ、アカウント設計の大切さを下記の記事で書き出している。

参照:リスティング広告の初期設定についての大きな誤解

仮説ドリブンでリスティング広告を成功に導く方法/まとめ

全てのことは仮説を立ててから始まると言っても過言ではないほどに仮説を立てることは重要で、繰り返しになるけれど、全てのものを仮説ありきの考え方で構築していくことこそが、仮説ドリブンの思考法だ。

実践の仮説ドリブンでは、ここで上げているもの以上の膨大なカテゴリーを仮説立て、洗い出し、それらに価値を与え、重要度をつけ、実際に実行し、検証し、新たに仮説立てする必要があることを忘れてはいけない。仮説立て、仮説検証は永遠のテーマであり、最適化に終わりはない。

# ちなみに、初期に立てた仮説は必ず外れる。問題はそれからだ。

# 拙著が紹介されました。コンバージョン計測の必要性と注意点 | リスティング広告 成功の法則 | Web担当者Forum

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