リスティング広告におけるビックキーワードの取扱説明書

SEOにおいてもリスティング広告においても、ビックキーワードの取り扱いや考え方、またリスクテイクはしっかりと理解しておかねばなりません。

経営層は”上位表示すべき”と判断しても、現実的な思考をもつ現場ではさまざまなコストやリスク、それらによって発生する利益とのトレードオフを思考の中で巡らしながら”上位表示は不要”と結論づけることも少なくなく、経営層と現場ではビックキーワードに関する意識の乖離があることも多いのではないでしょうか?

そんな悩める現場の方々の為に、リスティング広告におけるビックキーワードの取扱説明書をお送りします。

リスティング広告におけるビックキーワードの6つの対策法

さまざまな広告文でテストする

ビックキーワードで検索をするユーザーはそのモチベーションが明確ではないケースが多いのが特徴です。例えば「母の日」と検索するユーザーは「母の日のプレゼント」を探しているユーザーもいれば、「母の日の時期」を検索しているユーザーもいますよね。

そんなときに有効なのが”広告文でサービスを明確に伝える”事です。花束を扱っているようであれば花・配送時期・価格・種類…etc…などを広告文に盛り込むことで明確に花を販売していることが理解できますし、無駄なクリックも限りなく少なくなるでしょう。

それらを踏まえるとさまざまな広告文でテストすることは必須条件となってきます。ユーザーの意図を理解せず、闇雲な広告文の設定は無駄な広告費が発生している可能性があります。更には広告文は文章だけではなく、リンク先URLも含めてCVR(コンバージョン率)の推移も追う必要がある場合もあります。

勿論、品質スコアの為にもキーワードを広告文に含めるのを忘れないことも重要になってきますし、キーワードを含める際にはそのポジションも重要になってくるケースも存在しています。

幾度となくさまざまなテストを繰り返すことで、より良い効果を出せるように導くことが重要となってきます。

確率論で見る

広告文やリンク先URLがある程度定まってきたらここからは確率論で見ることも必要になってきます。特定のビックキーワードで流入させた場合、どの程度のCVR(コンバージョン率)が生み出されるのかを見極め、そのCVR(コンバージョン率)から適切なCPC(クリック単価)を設定することで、論理的には赤字を免れることが可能になります。

参照:競争の激しいBIGキーワードの対処法

市場状況やサイトの状況などによってはLPO(ランディングページ最適化)によってCVR(コンバージョン率)の向上を行わなければいけないケースも出てくるでしょうし、そもそもビックキーワードへの入札を再考した方が良いケースもありえます。

上位表示でのテストをしてみる

ビックキーワードはその検索ボリュームの多さからか、広告掲載順位によって異なる成果を生むことも多々あります。その為、どの広告掲載順位の際に大きく成果を生むのかを見極める必要があります。

Google AdWordsでは広告掲載順位ごとのデータを取得することはできませんが、「Google 検索: 上部、Google 検索: その他、検索パートナー: 上部、検索パートナー: その他」とデータを分割してみることができます。

①特定のキーワードタブにて②[分割]メニューの[上部 vs その他]を選択すれば③それぞれのデータを見ることができます。
※Yahooリスティング広告ではこれらの機能が備わっていません。

以前はGoogle AdWordsをGoogle アナリティクスと連携させていれば、Google AdWordsの広告掲載順位ごとのコンバージョン推移を詳細に見ることができましたが、新しくなったGoogle アナリティクスでは今のところコンバージョンのデータを見ることができなくなっています。

となると、広告掲載順位ごとの成果をすべて正確に取得することは非常に難しい為、ある程度概算的なものもで良いかもしれません。

個人的にお薦めしたいのは、リアルな成果との連携による感覚値での調整ですけどね。例えば予め定めた日程の中で何時から何時にビックキーワードの掲載順位を一気に引き上げるなどして実際の成果(電話でのコンバージョンも含まれるのであれば)の推移を追ってみるなど、さまざまな試行錯誤することが重要になってきます。

時間帯配信をテストしてみる

リスティング広告の中でもとりわけ懐疑的に思われがちなのがこの時間帯配信です。しかしながら限られた予算の中で成果の最大化を余儀なくされるリスティング広告にて時間帯配信は非常に有効なリスティング広告戦略の一つです。

特にビックキーワードのような多大なトラフィックを生み出す配信のものは成果の上がりやすい時間帯に集中して配信することで、より多くの成果を生む可能性を秘めています。

参照:アドワーズで配信曜日・配信時間の強弱をつけて最適化
参照:Yahooリスティング広告で時間帯配信を設定する方法

完全一致と部分一致を利用する

多大なトラフィックが見込めるビックキーワードこそが複数のキーワードマッチでの運用に適しているのはあまり語られることはありません。複数のキーワードマッチを利用して明確な戦略をとることがビックキーワードでの成果の分かれ目でもあります。詳細は
部分一致と完全一致の効果的な使い分けで記載しています。

記載しているのは基本的な内容ではあるかもしれませんが、非常に重要で見落とされがちな概論の一つと言えるでしょう。

マルチチャネルで貢献度を分析する

アトリビューション概念がもはや当たり前になってきた昨今では、ビックキーワードの評価をCPA(獲得単価)だけで行っているのは前時代的なプレイヤーの思考であり、決して誉められるものではありません。

そのビックキーワードの本来の価値を測るためにはGoogle アナリティクスのマルチチャネル(他のアクセス解析ツールでも可)を利用して、貢献度を見る必要があります。

以下の記事ではGoogle アナリティクスのマルチチャネルを利用してどのように貢献度を測るのかの一部を紹介しています。

参照:成果の上がらないキーワードを停止するまでのベストプラクティス

リスティング広告におけるビックキーワードの取扱説明書/まとめ

ビックキーワードの成果の検証をする方法はここでも記載した通りに多種多様です。今回ご紹介した内容の中で利用できそうなものを使い、実際にテストをしてビックキーワードの価値を明確化し、今後どのように取り扱っていくのかを決定することができるようになるでしょう。

経営者を納得させるのが難しいという方々も、経営者は数字(売上やコスト)で見せることで納得するケースが多々ありますし、数字でしか説得できない経営者も多いはずです。明確な計測方法と結論的データを導き出すことができれば、より良い環境で施策を行えることは間違いありません。

根拠のないビックキーワードの上位表示ほど無駄な施策はありません。

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